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第1部
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少ししてクルリとリューナイトが戻ってきた。
「どうだった?」
私達を興味で見る人達がいたが、その中をすっと奥へ消えていく姿が、何人も見えた。
「私が数える限り、見知った顔は28人です。学園内の方は差程知りませんが、パーティや茶会などで見ておりますので、確実です。他に同じ年頃の方がおられましたが、申し訳ありませんが人混みに紛れておりましたので、把握は出来ませんでした」
クルリが静かな答えた。
さすがクルリ、的確だわ。
「私の方も同じです。私は18人ですが、同じ年頃の方々が同様の動きを見せていましたので、その方々を足しましたら、48人となります」
「ありがとう」
さすがリューナイト。
2人とも細かく見てくれている。
やはり思った通りだ。それに、さっきの男達、誰一人として王妃様の噂の真相を知らない様子だった。よく考えたものだわ。
「どういう事?何の数なの?さっきのスティングの行動は噂を払拭する為にしたのでしょう?何を調べさせたの?」
「え?」
思っていなかった事をカレンに言われ足が止まった。
「違うのか?」
フィーも同じように思っていたらしく、不思議そうに私を見てきた。
フィーとカレン、そして私は顔を見合せ、目をぱちくりさせた。
少し考え、ああ、と思った。
「あ・・・そうか、そうね。そういう取り方もあるのね。思いつかなかったわ」
全く考えていなかった。少し騒ぎを起こして、人を集めたかったのに、結果的に私の株を上げたことになったんだ。
あら?
上手くやった、というやつかしら?
「じゃあ何を考えてたの?」
「それは・・・、少し確認したい事があるの。それを確認してからかな」
焦ってはいけない。
「さあ、もう少し祭りを楽しみましょうよ」
「いつ分かる!?明日?明後日!?」
子供みたいなことを聞くカレンに、気持ちが落ち着いてきた。
カレンの前向きな性格が私に歯止めをかけてくれる。いつも後ろ向きだった自分を、立ち止まらせてくれる。
そうして、全てを包み込むような顔で私を見つめる、フィー。
ああ・・・。
昔から私をそんな風に見ていたわね。
ごめんなさい、やっと気づいたわ。
「明日かな?さあ、行こうよ。広場の方で雑技団が来てるらしいよ。せっかくだから色々見てみようよ」
「雑技団!?行ってみよう!!」
元気な声で楽しそうに飛び跳ねる度に髪を振り乱すカレンに、また元気を貰えた。
その後は祭りを色々楽しんだ。
ただ、楽しみすぎて紙風船を貰いに行く暇がなく、リューナイトが貰いに行ってくれた。
だって、雑技団を見た後に、
あ、あれ何!?食べたい!
あれ何!?これやりたい!!
カレンのそのか言葉が出る度に、食べ物なら全種類買う、とか言うし。
勿論、全部食べれる訳が無い。
少し食べたら、もういらない、とか言うし。
遊具になると、皇女様としての気品は?と思う程楽しそうに笑いながら欲しいものが取れるまでやるし、お陰で、護衛についてきている人達の荷物がどんどん増えてきた。
何処が、贅沢三昧育てられてない、わよ。十分贅沢だわ。
フィーと顔を見合せ、何度も苦笑いしてしまった。
でも、クルリの作ってくれた服のお陰と、私の事を公にしない約束を守ってくれているようで、近くを通る人達は私達をちらりと見るが、興味無さそうに去って行った。
勿論遠くから見張るように立っている人達もいるけれど、想定内だわ。
と言う事をやっている間に時間はすぎて、
紙風船を貰いに行く時間がなかったのだ。
「どうだった?」
私達を興味で見る人達がいたが、その中をすっと奥へ消えていく姿が、何人も見えた。
「私が数える限り、見知った顔は28人です。学園内の方は差程知りませんが、パーティや茶会などで見ておりますので、確実です。他に同じ年頃の方がおられましたが、申し訳ありませんが人混みに紛れておりましたので、把握は出来ませんでした」
クルリが静かな答えた。
さすがクルリ、的確だわ。
「私の方も同じです。私は18人ですが、同じ年頃の方々が同様の動きを見せていましたので、その方々を足しましたら、48人となります」
「ありがとう」
さすがリューナイト。
2人とも細かく見てくれている。
やはり思った通りだ。それに、さっきの男達、誰一人として王妃様の噂の真相を知らない様子だった。よく考えたものだわ。
「どういう事?何の数なの?さっきのスティングの行動は噂を払拭する為にしたのでしょう?何を調べさせたの?」
「え?」
思っていなかった事をカレンに言われ足が止まった。
「違うのか?」
フィーも同じように思っていたらしく、不思議そうに私を見てきた。
フィーとカレン、そして私は顔を見合せ、目をぱちくりさせた。
少し考え、ああ、と思った。
「あ・・・そうか、そうね。そういう取り方もあるのね。思いつかなかったわ」
全く考えていなかった。少し騒ぎを起こして、人を集めたかったのに、結果的に私の株を上げたことになったんだ。
あら?
上手くやった、というやつかしら?
「じゃあ何を考えてたの?」
「それは・・・、少し確認したい事があるの。それを確認してからかな」
焦ってはいけない。
「さあ、もう少し祭りを楽しみましょうよ」
「いつ分かる!?明日?明後日!?」
子供みたいなことを聞くカレンに、気持ちが落ち着いてきた。
カレンの前向きな性格が私に歯止めをかけてくれる。いつも後ろ向きだった自分を、立ち止まらせてくれる。
そうして、全てを包み込むような顔で私を見つめる、フィー。
ああ・・・。
昔から私をそんな風に見ていたわね。
ごめんなさい、やっと気づいたわ。
「明日かな?さあ、行こうよ。広場の方で雑技団が来てるらしいよ。せっかくだから色々見てみようよ」
「雑技団!?行ってみよう!!」
元気な声で楽しそうに飛び跳ねる度に髪を振り乱すカレンに、また元気を貰えた。
その後は祭りを色々楽しんだ。
ただ、楽しみすぎて紙風船を貰いに行く暇がなく、リューナイトが貰いに行ってくれた。
だって、雑技団を見た後に、
あ、あれ何!?食べたい!
あれ何!?これやりたい!!
カレンのそのか言葉が出る度に、食べ物なら全種類買う、とか言うし。
勿論、全部食べれる訳が無い。
少し食べたら、もういらない、とか言うし。
遊具になると、皇女様としての気品は?と思う程楽しそうに笑いながら欲しいものが取れるまでやるし、お陰で、護衛についてきている人達の荷物がどんどん増えてきた。
何処が、贅沢三昧育てられてない、わよ。十分贅沢だわ。
フィーと顔を見合せ、何度も苦笑いしてしまった。
でも、クルリの作ってくれた服のお陰と、私の事を公にしない約束を守ってくれているようで、近くを通る人達は私達をちらりと見るが、興味無さそうに去って行った。
勿論遠くから見張るように立っている人達もいるけれど、想定内だわ。
と言う事をやっている間に時間はすぎて、
紙風船を貰いに行く時間がなかったのだ。
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