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第1部
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ギギッ、と大きな音が響き門がゆっくりと開いた。
あえて帝国馬車に乗り、カーテンを全開にし、ゆっくり動く馬車の窓から外を見た。
王宮御用達のそれも殿下専用の馬車が停まっていた。そのまわりには、よく見る殿下の側付き達が忌々しい顔つきで、私達が乗っている馬車を見上げながらも頭を下げた。
カーテンが動き、殿下の姿が見え、目が合った。
睨みつけてくる殿下に、微笑み手を振って上げ、何か喚き出したみたいだけど、カーテンを閉めた。
私の前には、フィー、カレン、護衛のザンが座り、私の横にはクルリが座っていた。
ザンが合図をすると馬車は速く動き出し、外から何か声が聞こえたが、すぐに静かになった。
「せめてこう言う時は一人で来なさいよ。隣にレインが居るなんて、ここに何しに来てるんだろう。と言うか、こんな所に主役が来てどうするの。今日は来賓客と朝食を食べながら世間話しながら交友を深めなきゃいけないのに。あら、でも、ここに帝国皇子と皇女がいるのだから、大した交友は出来ないわねえ」
ふふっとクルリが笑った。
「宜しいのではありませんか?お嬢様がいつも上手く話されて、殿下は頷くのは上手くなっていましたので、皆様の話し相手は出来なくても、調子は合わせることは出来ますよ」
私の横に座るクルリの言葉に、カレンがふん、と鼻で笑った。
「頷くのが上手い王子、なんて初めて聞く褒め言葉だわ。ところで、何したいの?」
足を組みながら、私の奥底を覗き込む獣を狙うような瞳で、はっきりと聞いてきた。
フィーも気になっていたのだろう。体を乗り出し、私を心配そうに見つめた。
いつかは聞かれるとは思っていた。つい、ザンを見てしまった。
それに気付いたのか、フィーが微笑みながら首を降った。
「ザンなら大丈夫だ。余計な事は言わないし、幼い頃からいつも俺達の味方になってくれている」
「・・・わかった。ある人の悪事を暴きたいの。お父様達がずっと探っているのだけれど、これという決め手の証拠が出てこないの」
「何が有力なのですか?」
意外にもザンが口を挟んできた。
。
「薬物」
「よくある話ね。でも、それなら足が残るでしょう?」
「皇女様、意外にそうでもありません。その足を何百人も用意し、また、その指示をする者も、何百人も用意されていた場合、どこかで痕跡が消えてしまうのです」
ゼンの言葉に素直に頷いた。
「その通り。いい所まで行くと、必ずその先が無くなる。真相を知る人間をやっと見つけても、綺忽と姿を消す、という事もあったわ」
「殺されたの?」
「分からない。死体も上がらないし、殺された痕跡も残っていない。でも、殺されたのでしょうね。それに、薬物、というのも腑に落ちないのよ。綺麗に消えて、また、どこからか出てくる」
「おかしな話しですね」ザン。
「うん。おかしなしな話だよね。お父様達は必死に探しても、突き詰めれなかった」
ゼンから目を離し、フィーとカレンを見る。
この2人がいる。
お父様の言うようにこの2人が来てから私は、本心を手に取る事が出来た。
フィーが私を特別に想っている事は、本当に嬉しく思える。そう思える気持ちが、既に、フィーに動いていると分かっている。
でも、駄目よ。
私にはするべき事がある。
全部終わってからだ。
「でも、流れが変わった。私はその流れを手に取ったわ」
そう、ハッキリ言える。
「何故そう断言できます?私は、何があってもこの方々を優先し、事が起きれば、貴方様を捨てます」
いいわザン、その厳しい忠実な気持ち。
「大丈夫よ。だって、この程度の国が帝国を敵に回すなんて有り得ないもの。ね、カレン。それに、私にもしもの時があったら助けてくれるよね、フィー?」
「勿論だ!ザン、スティングは必ず助けるんだ!!」
「・・・したたかになったわね」
「・・・御意」
「ありがとうフィー」
にっこりと微笑む私に、フィーとクルリは満足そうに微笑み、カレンとザンは、ため息をつきつつ微笑んだ。
あえて帝国馬車に乗り、カーテンを全開にし、ゆっくり動く馬車の窓から外を見た。
王宮御用達のそれも殿下専用の馬車が停まっていた。そのまわりには、よく見る殿下の側付き達が忌々しい顔つきで、私達が乗っている馬車を見上げながらも頭を下げた。
カーテンが動き、殿下の姿が見え、目が合った。
睨みつけてくる殿下に、微笑み手を振って上げ、何か喚き出したみたいだけど、カーテンを閉めた。
私の前には、フィー、カレン、護衛のザンが座り、私の横にはクルリが座っていた。
ザンが合図をすると馬車は速く動き出し、外から何か声が聞こえたが、すぐに静かになった。
「せめてこう言う時は一人で来なさいよ。隣にレインが居るなんて、ここに何しに来てるんだろう。と言うか、こんな所に主役が来てどうするの。今日は来賓客と朝食を食べながら世間話しながら交友を深めなきゃいけないのに。あら、でも、ここに帝国皇子と皇女がいるのだから、大した交友は出来ないわねえ」
ふふっとクルリが笑った。
「宜しいのではありませんか?お嬢様がいつも上手く話されて、殿下は頷くのは上手くなっていましたので、皆様の話し相手は出来なくても、調子は合わせることは出来ますよ」
私の横に座るクルリの言葉に、カレンがふん、と鼻で笑った。
「頷くのが上手い王子、なんて初めて聞く褒め言葉だわ。ところで、何したいの?」
足を組みながら、私の奥底を覗き込む獣を狙うような瞳で、はっきりと聞いてきた。
フィーも気になっていたのだろう。体を乗り出し、私を心配そうに見つめた。
いつかは聞かれるとは思っていた。つい、ザンを見てしまった。
それに気付いたのか、フィーが微笑みながら首を降った。
「ザンなら大丈夫だ。余計な事は言わないし、幼い頃からいつも俺達の味方になってくれている」
「・・・わかった。ある人の悪事を暴きたいの。お父様達がずっと探っているのだけれど、これという決め手の証拠が出てこないの」
「何が有力なのですか?」
意外にもザンが口を挟んできた。
。
「薬物」
「よくある話ね。でも、それなら足が残るでしょう?」
「皇女様、意外にそうでもありません。その足を何百人も用意し、また、その指示をする者も、何百人も用意されていた場合、どこかで痕跡が消えてしまうのです」
ゼンの言葉に素直に頷いた。
「その通り。いい所まで行くと、必ずその先が無くなる。真相を知る人間をやっと見つけても、綺忽と姿を消す、という事もあったわ」
「殺されたの?」
「分からない。死体も上がらないし、殺された痕跡も残っていない。でも、殺されたのでしょうね。それに、薬物、というのも腑に落ちないのよ。綺麗に消えて、また、どこからか出てくる」
「おかしな話しですね」ザン。
「うん。おかしなしな話だよね。お父様達は必死に探しても、突き詰めれなかった」
ゼンから目を離し、フィーとカレンを見る。
この2人がいる。
お父様の言うようにこの2人が来てから私は、本心を手に取る事が出来た。
フィーが私を特別に想っている事は、本当に嬉しく思える。そう思える気持ちが、既に、フィーに動いていると分かっている。
でも、駄目よ。
私にはするべき事がある。
全部終わってからだ。
「でも、流れが変わった。私はその流れを手に取ったわ」
そう、ハッキリ言える。
「何故そう断言できます?私は、何があってもこの方々を優先し、事が起きれば、貴方様を捨てます」
いいわザン、その厳しい忠実な気持ち。
「大丈夫よ。だって、この程度の国が帝国を敵に回すなんて有り得ないもの。ね、カレン。それに、私にもしもの時があったら助けてくれるよね、フィー?」
「勿論だ!ザン、スティングは必ず助けるんだ!!」
「・・・したたかになったわね」
「・・・御意」
「ありがとうフィー」
にっこりと微笑む私に、フィーとクルリは満足そうに微笑み、カレンとザンは、ため息をつきつつ微笑んだ。
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