17 / 105
第1部
17
しおりを挟む
「この生地良くない?」
「うーん、欲しいですけど高いですよ」
「大丈夫、私が出してあげるわよ。他もいるならのなら遠慮なく言いなさい」
「え、本当ですか!?え、じゃあこれも?こっちも!?」
「任せなさい。いちいち聞かなくてもいいわ。欲しいのがあれば持ってきなさいよ」
「本当ですか!?カレン様大好きです!!」
だから、相手は皇女だってば。もう少し考えてよ。
クルリの対応に、もうヒヤヒヤしなくなってしまった自分も、おかしくなったのかもしれない
ともかくカレンとクルリと大騒ぎしながら、色々な生地を出しては、小説を確認し、生地を重ねながら喋っている。
今日はお2人が約束通り遊びに来た。それも朝9時にこられた。
私は準備してたのだけど、お母様とお兄様が慌てて準備し、朝食もせずに挨拶しに来たのが、悪いけどとても笑ってしまった。
だってお母様は化粧が完璧じゃないし、お兄様は髪型が決まってなかったのだもの。
いやあ、滅多に見れないわ。
ちなみにお父様は会議があるからと出かけていなかった。
それから少しお話しして、新しい服を思案中なんです、のクルリの一言に、
生地屋へ行こう!
と、カレンが言い出し今に至っている。
初めて生地屋の方に来たけど中々楽しい。
隣はドレスを仕立てをする場所で、そっちは行ったことがあるけど、裁縫は得意じゃないから、用がなかった。
でも、生地もそうだけど、糸や、ボタン、飾り等、本当に沢山あり、見るだけでも楽しかった。
それに、クルリが元気になって良かった。
いつも王宮のお茶会から帰ってくると、辛そうな顔で言葉少なくなる。私が何も言わないから、クルリも愚痴もなく側にいてくれるが、何を言いたいのかは分かっている。
「どうした?今日は静かだな」
隣に座るフィーが声掛けてきた。
「まあね、もう何言っても聞かないし、それに、2人とも楽しそうだしね。でも、警護が凄いね」
「そうか?これでも甘いほうだがな」
仕立て屋と生地屋を全部貸し切りにし、表門も裏門、他の入口は、もの凄い帝国の警護が張り巡らさている。
「これで?ふふっ、やっぱり規模が違うね」
「そうか?帝国にいた頃ははもっと多い護衛の中で動いていたからな。襲われる事もあったからね」
「・・・やっぱり、世界が違うわね。笑いながら言う事じゃないわよ」
「そうか?・・・それよりも、スティングの方がかなり辛い立場になっていると思うがな。なあ、何故あの時誰も助けなかったんだ?まるで見て見ぬふりをするかのように、教員も生徒も、誰も、だ」
心配そうに、それでいて怒ったように聞いてきた。
「それは・・・私がお願いしているから。国には色々派閥があるでしょう?私を助けようとしたら、いざこざが起きてしまうから、黙って見るようにお願いしている」
「だが、あれは酷いだろ!?」
「そんな事ないよ。私は気にしていない。殿下は今は・・・レインがいるから少しおかしく見えてしまうかもしれないけど、それまではとても優しくて、私の事を気にしてくれていた」
スティング、いつも私の側にいて欲しい。
スティング、いつも私の事を考えてくれるな。
スティング、何か欲しいものがあるか?何でも買ってやるよ。
私は、スティングを愛しているよ。
「・・・殿下は・・・」
スティング、レインの邪魔をするな。
スティング、何故レインに冷たくするんだ。
スティング、レインはお前と違って何も持っていないのだ。
レイン、私はずっとお前の側にいるよ。
「・・・今・・・だけよ」
フィーに言っているのか、自分に言い聞かせているのか分からなかった。
ただ、何だか虚しく感じた。
フィーはそれ以上何も言わなかった。ふっと外を見ると、殿下とレインが見えた。
はっとし、すぐに入口に行きそっと扉を開けた。
扉の前には帝国軍の護衛がひしめき合って、ちゃんと見えなかったが、学園でいる時よりも、とても楽しい顔と、声がきこえた。
私には・・・見せた事の無い、微笑みと、眼差しに、今までの中で最も胸を痛くした。
そっと扉を閉めた。
「スティングはもう少し、好きなように生きた方がいいよ」
フィーが近づき、不思議な事を言った。
「私は好きなように生きてるわよ?」
「それは、ヴェンツェル公爵令嬢スティング、としてだろ?ただのスティングとしては、どうなんだ?」
「ただのスティング?」
とても楽しい声が聞こえた。
そう言えばクルリのあんなに嬉しそうな顔、初めて見た。
フィーもカレンも、私の知っている皇族の顔を、私の前ではしない。
カレンもあんな大声で笑うなんて許されないのに、自然に笑って、言葉も違う。
フィーも、何故そんな切なそうな顔しているのだろう?そんな顔、見せたら弱みを握られそうなのに、何故私に向けているのだろう。
そう言えば、さっきの殿下もそうだった。
私?
私は・・・?
「どうしたのスティング?誰かいたの?」
「あ・・・ううん。帝国の警護を見たかったの。カレンこそどうしたの?」
「クルリがね、リオンの服も作ってくれる、と言ってくれたの!」
「良かったね」
「それでオリジナルで2人の服を考えてくれるんだって!」
はい?
「勿論小説のビビの服は全部作ってもらうよ!」
はい?
「この小説は、ビビの服を毎回変えてくるから、着がいがあるよね!」
はい?
「あ、そこの人、お茶入れて。ついでにお腹空いたら何か用意してよ」
はい?
「か、かしこまりました!」
「もう・・・カレン待ってよ。とりあえずお昼食べに行こうよ。近くに経営しているお店があるから、そこに行こう。もう連絡してあるの」
「よし、では事件解決の前に腹ごしらえよ!!」
「おお!そのセリフありましたね!!」
「はいはい、 行くよ。ほら、お店の人に少し休憩させて上げてよ」
「休憩?何言ってるのよ。私達をもてなす事に、命をかけるくらいの意気込みがあって当然でしょ」
産まれながらの高貴な存在は、言葉1つにしても支配者の威圧を放つ。
「も、申し訳ありません!!」
だから店員も、当然泣き出し土下座してしまった。
「・・・カレン、出ようよ」
「うん♪」
「ごめんな、自由な奴だから」
ため息をつき、フィーが謝ってきた。
「ううん。凄く楽しいよ」
本当にそう思ったから笑って言ったら、ほっとした顔で優しそうに微笑んだ。
「そんな顔をいつもして欲しいな」
顔を真っ赤にしながらそう言うと離れていった。
ん?
まただ。
フィーを見て、何か胸が痛い。
何だろ?
「うーん、欲しいですけど高いですよ」
「大丈夫、私が出してあげるわよ。他もいるならのなら遠慮なく言いなさい」
「え、本当ですか!?え、じゃあこれも?こっちも!?」
「任せなさい。いちいち聞かなくてもいいわ。欲しいのがあれば持ってきなさいよ」
「本当ですか!?カレン様大好きです!!」
だから、相手は皇女だってば。もう少し考えてよ。
クルリの対応に、もうヒヤヒヤしなくなってしまった自分も、おかしくなったのかもしれない
ともかくカレンとクルリと大騒ぎしながら、色々な生地を出しては、小説を確認し、生地を重ねながら喋っている。
今日はお2人が約束通り遊びに来た。それも朝9時にこられた。
私は準備してたのだけど、お母様とお兄様が慌てて準備し、朝食もせずに挨拶しに来たのが、悪いけどとても笑ってしまった。
だってお母様は化粧が完璧じゃないし、お兄様は髪型が決まってなかったのだもの。
いやあ、滅多に見れないわ。
ちなみにお父様は会議があるからと出かけていなかった。
それから少しお話しして、新しい服を思案中なんです、のクルリの一言に、
生地屋へ行こう!
と、カレンが言い出し今に至っている。
初めて生地屋の方に来たけど中々楽しい。
隣はドレスを仕立てをする場所で、そっちは行ったことがあるけど、裁縫は得意じゃないから、用がなかった。
でも、生地もそうだけど、糸や、ボタン、飾り等、本当に沢山あり、見るだけでも楽しかった。
それに、クルリが元気になって良かった。
いつも王宮のお茶会から帰ってくると、辛そうな顔で言葉少なくなる。私が何も言わないから、クルリも愚痴もなく側にいてくれるが、何を言いたいのかは分かっている。
「どうした?今日は静かだな」
隣に座るフィーが声掛けてきた。
「まあね、もう何言っても聞かないし、それに、2人とも楽しそうだしね。でも、警護が凄いね」
「そうか?これでも甘いほうだがな」
仕立て屋と生地屋を全部貸し切りにし、表門も裏門、他の入口は、もの凄い帝国の警護が張り巡らさている。
「これで?ふふっ、やっぱり規模が違うね」
「そうか?帝国にいた頃ははもっと多い護衛の中で動いていたからな。襲われる事もあったからね」
「・・・やっぱり、世界が違うわね。笑いながら言う事じゃないわよ」
「そうか?・・・それよりも、スティングの方がかなり辛い立場になっていると思うがな。なあ、何故あの時誰も助けなかったんだ?まるで見て見ぬふりをするかのように、教員も生徒も、誰も、だ」
心配そうに、それでいて怒ったように聞いてきた。
「それは・・・私がお願いしているから。国には色々派閥があるでしょう?私を助けようとしたら、いざこざが起きてしまうから、黙って見るようにお願いしている」
「だが、あれは酷いだろ!?」
「そんな事ないよ。私は気にしていない。殿下は今は・・・レインがいるから少しおかしく見えてしまうかもしれないけど、それまではとても優しくて、私の事を気にしてくれていた」
スティング、いつも私の側にいて欲しい。
スティング、いつも私の事を考えてくれるな。
スティング、何か欲しいものがあるか?何でも買ってやるよ。
私は、スティングを愛しているよ。
「・・・殿下は・・・」
スティング、レインの邪魔をするな。
スティング、何故レインに冷たくするんだ。
スティング、レインはお前と違って何も持っていないのだ。
レイン、私はずっとお前の側にいるよ。
「・・・今・・・だけよ」
フィーに言っているのか、自分に言い聞かせているのか分からなかった。
ただ、何だか虚しく感じた。
フィーはそれ以上何も言わなかった。ふっと外を見ると、殿下とレインが見えた。
はっとし、すぐに入口に行きそっと扉を開けた。
扉の前には帝国軍の護衛がひしめき合って、ちゃんと見えなかったが、学園でいる時よりも、とても楽しい顔と、声がきこえた。
私には・・・見せた事の無い、微笑みと、眼差しに、今までの中で最も胸を痛くした。
そっと扉を閉めた。
「スティングはもう少し、好きなように生きた方がいいよ」
フィーが近づき、不思議な事を言った。
「私は好きなように生きてるわよ?」
「それは、ヴェンツェル公爵令嬢スティング、としてだろ?ただのスティングとしては、どうなんだ?」
「ただのスティング?」
とても楽しい声が聞こえた。
そう言えばクルリのあんなに嬉しそうな顔、初めて見た。
フィーもカレンも、私の知っている皇族の顔を、私の前ではしない。
カレンもあんな大声で笑うなんて許されないのに、自然に笑って、言葉も違う。
フィーも、何故そんな切なそうな顔しているのだろう?そんな顔、見せたら弱みを握られそうなのに、何故私に向けているのだろう。
そう言えば、さっきの殿下もそうだった。
私?
私は・・・?
「どうしたのスティング?誰かいたの?」
「あ・・・ううん。帝国の警護を見たかったの。カレンこそどうしたの?」
「クルリがね、リオンの服も作ってくれる、と言ってくれたの!」
「良かったね」
「それでオリジナルで2人の服を考えてくれるんだって!」
はい?
「勿論小説のビビの服は全部作ってもらうよ!」
はい?
「この小説は、ビビの服を毎回変えてくるから、着がいがあるよね!」
はい?
「あ、そこの人、お茶入れて。ついでにお腹空いたら何か用意してよ」
はい?
「か、かしこまりました!」
「もう・・・カレン待ってよ。とりあえずお昼食べに行こうよ。近くに経営しているお店があるから、そこに行こう。もう連絡してあるの」
「よし、では事件解決の前に腹ごしらえよ!!」
「おお!そのセリフありましたね!!」
「はいはい、 行くよ。ほら、お店の人に少し休憩させて上げてよ」
「休憩?何言ってるのよ。私達をもてなす事に、命をかけるくらいの意気込みがあって当然でしょ」
産まれながらの高貴な存在は、言葉1つにしても支配者の威圧を放つ。
「も、申し訳ありません!!」
だから店員も、当然泣き出し土下座してしまった。
「・・・カレン、出ようよ」
「うん♪」
「ごめんな、自由な奴だから」
ため息をつき、フィーが謝ってきた。
「ううん。凄く楽しいよ」
本当にそう思ったから笑って言ったら、ほっとした顔で優しそうに微笑んだ。
「そんな顔をいつもして欲しいな」
顔を真っ赤にしながらそう言うと離れていった。
ん?
まただ。
フィーを見て、何か胸が痛い。
何だろ?
715
お気に入りに追加
2,754
あなたにおすすめの小説
幼妻は、白い結婚を解消して国王陛下に溺愛される。
秋月乃衣
恋愛
旧題:幼妻の白い結婚
13歳のエリーゼは、侯爵家嫡男のアランの元へ嫁ぐが、幼いエリーゼに夫は見向きもせずに初夜すら愛人と過ごす。
歩み寄りは一切なく月日が流れ、夫婦仲は冷え切ったまま、相変わらず夫は愛人に夢中だった。
そしてエリーゼは大人へと成長していく。
※近いうちに婚約期間の様子や、結婚後の事も書く予定です。
小説家になろう様にも掲載しています。
私が産まれる前に消えた父親が、隣国の皇帝陛下だなんて聞いてない
丙 あかり
ファンタジー
ハミルトン侯爵家のアリスはレノワール王国でも有数の優秀な魔法士で、王立学園卒業後には婚約者である王太子との結婚が決まっていた。
しかし、王立学園の卒業記念パーティーの日、アリスは王太子から婚約破棄を言い渡される。
王太子が寵愛する伯爵令嬢にアリスが嫌がらせをし、さらに魔法士としては禁忌である『魔法を使用した通貨偽造』という理由で。
身に覚えがないと言うアリスの言葉に王太子は耳を貸さず、国外追放を言い渡す。
翌日、アリスは実父を頼って隣国・グランディエ帝国へ出発。
パーティーでアリスを助けてくれた帝国の貴族・エリックも何故か同行することに。
祖父のハミルトン侯爵は爵位を返上して王都から姿を消した。
アリスを追い出せたと喜ぶ王太子だが、激怒した国王に吹っ飛ばされた。
「この馬鹿息子が!お前は帝国を敵にまわすつもりか!!」
一方、帝国で仰々しく迎えられて困惑するアリスは告げられるのだった。
「さあ、貴女のお父君ーー皇帝陛下のもとへお連れ致しますよ、お姫様」と。
******
週3日更新です。
あなたたちのことなんて知らない
gacchi
恋愛
母親と旅をしていたニナは精霊の愛し子だということが知られ、精霊教会に捕まってしまった。母親を人質にされ、この国にとどまることを国王に強要される。仕方なく侯爵家の養女ニネットとなったが、精霊の愛し子だとは知らない義母と義妹、そして婚約者の第三王子カミーユには愛人の子だと思われて嫌われていた。だが、ニネットに虐げられたと嘘をついた義妹のおかげで婚約は解消される。それでも精霊の愛し子を利用したい国王はニネットに新しい婚約者候補を用意した。そこで出会ったのは、ニネットの本当の姿が見える公爵令息ルシアンだった。
さて、質問です
さち姫
恋愛
ソカリナ公爵の長女として生まれたラヤは、出来の悪い第2王子イエーガーの婚約者。
だがイエーガー王子は女性好きで、いつもラヤではなく、ほかの女性といた。
その取り巻きの女性達が、自分の方が婚約者に相応しいと、ラヤに嫌がらせをしてくる。
私、婚約破棄希望ですが、
そんな幼稚な手で嫌がらせをしてくるなら、
受けてたちますよ
さて、
質問です。
婚約破棄をされた悪役令嬢は、すべてを見捨てることにした
アルト
ファンタジー
今から七年前。
婚約者である王太子の都合により、ありもしない罪を着せられ、国外追放に処された一人の令嬢がいた。偽りの悪業の経歴を押し付けられ、人里に彼女の居場所はどこにもなかった。
そして彼女は、『魔の森』と呼ばれる魔窟へと足を踏み入れる。
そして現在。
『魔の森』に住まうとある女性を訪ねてとある集団が彼女の勧誘にと向かっていた。
彼らの正体は女神からの神託を受け、結成された魔王討伐パーティー。神託により指名された最後の一人の勧誘にと足を運んでいたのだが——。
溺愛最強 ~気づいたらゲームの世界に生息していましたが、悪役令嬢でもなければ断罪もされないので、とにかく楽しむことにしました~
夏笆(なつは)
恋愛
「おねえしゃま。こえ、すっごくおいしいでし!」
弟のその言葉は、晴天の霹靂。
アギルレ公爵家の長女であるレオカディアは、その瞬間、今自分が生きる世界が前世で楽しんだゲーム「エトワールの称号」であることを知った。
しかし、自分は王子エルミニオの婚約者ではあるものの、このゲームには悪役令嬢という役柄は存在せず、断罪も無いので、攻略対象とはなるべく接触せず、穏便に生きて行けば大丈夫と、生きることを楽しむことに決める。
醤油が欲しい、うにが食べたい。
レオカディアが何か「おねだり」するたびに、アギルレ領は、周りの領をも巻き込んで豊かになっていく。
既にゲームとは違う展開になっている人間関係、その学院で、ゲームのヒロインは前世の記憶通りに攻略を開始するのだが・・・・・?
小説家になろうにも掲載しています。
あの子を好きな旦那様
はるきりょう
恋愛
「クレアが好きなんだ」
目の前の男がそう言うのをただ、黙って聞いていた。目の奥に、熱い何かがあるようで、真剣な想いであることはすぐにわかった。きっと、嬉しかったはずだ。その名前が、自分の名前だったら。そう思いながらローラ・グレイは小さく頷く。
※小説家になろうサイト様に掲載してあります。
女官になるはずだった妃
夜空 筒
恋愛
女官になる。
そう聞いていたはずなのに。
あれよあれよという間に、着飾られた私は自国の皇帝の妃の一人になっていた。
しかし、皇帝のお迎えもなく
「忙しいから、もう後宮に入っていいよ」
そんなノリの言葉を彼の側近から賜って後宮入りした私。
秘書省監のならびに本の虫である父を持つ、そんな私も無類の読書好き。
朝議が始まる早朝に、私は父が働く文徳楼に通っている。
そこで好きな著者の本を借りては、殿舎に籠る毎日。
皇帝のお渡りもないし、既に皇后に一番近い妃もいる。
縁付くには程遠い私が、ある日を境に平穏だった日常を壊される羽目になる。
誰とも褥を共にしない皇帝と、女官になるつもりで入ってきた本の虫妃の話。
更新はまばらですが、完結させたいとは思っています。
多分…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる