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1 ぼくは決心した
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試合に負けた。
1―0で。
しかも、ぼくのオウンゴールで。
まっすぐ帰る気になれなかった。
サッカーボールをかかえて、神社によった。
――くやしかった。
――はずかしかった。
なみだがとまらなかった。
考えに考えて、サッカーをやめようと決心した。
気がつくと、あたりは暗くなっていた。
空をみると月がでている。
満月だった。
ずいぶん長い間、考えこんでいたらしい。
「そこの!」
こま犬の前を通りすぎようとしたぼくに、だれかが声をかけた。
へんなやつが立っていた。
うす暗くて、よく見えなかったけど、年寄りであることはまちがいない。
おとなにしては、ずいぶん小さかった。
長いひげをはやして、へんな服をきている。
神主のかっこうにそっくりだった。
「どうした? えらくつらそうではないか。もしや、ここがどこだかわかっておらんのではないか?」
だまって通りすぎようと思った。
だが、そいつのまわりが、ぼんやりと光っていることに気がついた。気のせいだろうか?
「――神社だけど」
「それならどうして、おまいりをしていかぬのじゃ。『こまったときの神だのみ』ということばを知らぬわけでもあるまい」
聞いたことはあるけど、そんなことをしてもむだに決まっている。
だが、そいつは、ぼくの返事を待たずにつづけた。
「そのほうは運がよいぞ。願いは、かなえられたもどうぜんじゃ。なにしろ神さまであるわしが、じきじきに聞いてやろうといっておるのだからな」
1―0で。
しかも、ぼくのオウンゴールで。
まっすぐ帰る気になれなかった。
サッカーボールをかかえて、神社によった。
――くやしかった。
――はずかしかった。
なみだがとまらなかった。
考えに考えて、サッカーをやめようと決心した。
気がつくと、あたりは暗くなっていた。
空をみると月がでている。
満月だった。
ずいぶん長い間、考えこんでいたらしい。
「そこの!」
こま犬の前を通りすぎようとしたぼくに、だれかが声をかけた。
へんなやつが立っていた。
うす暗くて、よく見えなかったけど、年寄りであることはまちがいない。
おとなにしては、ずいぶん小さかった。
長いひげをはやして、へんな服をきている。
神主のかっこうにそっくりだった。
「どうした? えらくつらそうではないか。もしや、ここがどこだかわかっておらんのではないか?」
だまって通りすぎようと思った。
だが、そいつのまわりが、ぼんやりと光っていることに気がついた。気のせいだろうか?
「――神社だけど」
「それならどうして、おまいりをしていかぬのじゃ。『こまったときの神だのみ』ということばを知らぬわけでもあるまい」
聞いたことはあるけど、そんなことをしてもむだに決まっている。
だが、そいつは、ぼくの返事を待たずにつづけた。
「そのほうは運がよいぞ。願いは、かなえられたもどうぜんじゃ。なにしろ神さまであるわしが、じきじきに聞いてやろうといっておるのだからな」
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