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2章

101(R-18)

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 啄むような口付けを彼に送った。
 自分からのキスは慣れなくて、短いものになってしまったけれど、想いだけは精一杯込める。

「好きですよ、ユリウス。貴方を愛しているんです」
「ああ、リーシャ……! 僕こそ貴女を愛していますよ!」


 早口に愛を囁く彼が愛おしい。
 好きだという気持ちを何度も告げて、そして想いを返される喜び。その幸福に酔いしれる。


「ユリウスの……もう硬い」

 下腹部に当たる屹立はスラックス越しだというのに存在を主張して窮屈そうだ。下肢を緩めた方がユリウスも楽ではないか。そう思ってそろりと手を伸ばせば、丁度そこに触れてしまい、ユリウスが張り詰めた息を吐き出した。

「……っ、リーシャ。そんな風に煽らないでください。このままじゃ我慢出来ない」
「どうして我慢する必要があるんです?」


 彼の首筋に吸い付いて跡を残す。
 強く吸い付いたから痛いかもしれないと思って舌で何度か舐めれば、ユリウスは仕返しとばかりに陰核を弾いた。

「ひっ……ん」

 弱いそこを親指の腹でグリグリと押し転がされれば、下腹部が疼いて快楽を歓迎する。

「貴女の此処だって、もう濡れているじゃないですか」

 その囁きは先程わたしがした行動の意趣返しなのだろう。

「意地悪」
「でも嫌いじゃないでしょう?」
「当たり前です! わたしがユリウスを嫌うなんてあり得ませんから」

 わたしが言い切る前に彼がクツクツと喉奥を震わせる。
 それに釣られる形でわたしも笑う。

「ねぇ、ユリウス。気付いています?」
「なんです?」
「いつの間にか貴方がわたしの愛情を疑うことがなくなったことに」


 そう囁くと彼が一瞬。目を見張ったのち、泣きそうな顔で微笑んだ。

「ええ。だって貴女が溢れんばかりの愛を向けてくれましたから」


 きつくきつく抱きしめられる。
 その抱擁はお互いの息を忘れる程。短くも熱烈な抱擁に負けるものかとわたし自身も彼の背にしがみ付く。

「愛しています」

 それはどちらの囁きだったか。
 わたしか、ユリウスか。それとも両者同時か。
 判別する前に、また口付けられる。
 舌を絡み合わせて、互いの唾液を啜る。愛と情欲が形となって現れたキスに酩酊していく。

「何度僕の想いを告げても、何度口付けを交わしても、何度身体を重ねても……胸に秘める想いが曝け出せることはないと思っていたんですけどね」

 苦笑するユリウスの瞳はどこか熱っぽいーーそれはわたしも。

「わたしだって同じですよ。ずっとわたしの方が貴方を好きだと思っていましたから」
「乙女ゲームとやらで僕の愛情を知っていたくせに?」
「あら。わたしは前世からユリウスのことが好きなんですよ? みくびってもらっては困ります」

 

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