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2章
82(R-18)
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いくら馬車の中でユリウスに触れられていたとはいえ、部屋に戻ってからは彼に淫らなことを仕掛けられていなかった。
わたしが一方的に触れていただけ。
だというのに実際に彼のモノを見て、触れることで、ユリウスとの情事を思い出して欲情を募らせてしまっていたのだ。
それを否応なく自覚して、強烈な羞恥に襲われる。
「リーシャ……?」
一瞬とはいえ、突然固まったわたしを不自然だと感じたのだろう。
戸惑いがちに彼がわたしの名を呼ぶ。
けれど自分のこの痴態。絶対にユリウスだけには知られたくなかった。
赤らめた頬を彼に見られないように、さらに俯く。
下唇をきつく噛み締めるわたしにもはや先程までの威勢はない。
頭にあるのはどうやってこの場を乗り切ろうとするかだけ。
そろりと腰を上げようとした。しかし。彼がわたしの腕を引っ張ったものだから。ついユリウスを見やってしまったのだ。
「あ……」
視線を向けたことでわたしの頬が赤くなっていることに彼も気付いたようだ。ユリウスは眼を丸くした後(のち)、口を開く。
「先程までの威勢はどうしたのです?」
ユリウスはわたしの様子から自分が優勢になろうとしていると察したのだろう。
やれやれといわんばかりの仕草はいやに余裕を孕んでいる。
「ユリウス……」
なんて抜け目のない男なのだろうと思う。けれどそれでも好きという気持ちが薄れないのだから、拗らせた初恋に参ってしまう。
「次は僕が責める番です」
妖艶に微笑み、わたしを自分の胸の元へと引き摺り込まれる。跨るような体勢になると、未だ硬い彼のモノがドレス越しに下腹部へ当たる感触が生々しい。
逃げないようにと腰に廻された彼の腕。その手が臀部へと伸び、ねっとりと撫でる。
「……んっ」
中途半端に官能が高められているせいで、やけに反応してしまう。腰をくねらせて動いてしまえば、自分から彼のモノを押し当てているようで、恥ずかしさにより拍車を掛けた。
「リーシャ。僕を求めてください」
わたしの下着を剥ぎ取って、乱雑に床に捨てる。その性急さは彼もわたしと同じ気持ちだからだろう。
お互いに中途半端に服を纏った状態で、得られるであろう快楽を望んでいる。
それを如実に思い描けるのは、何度も身体を繋がってきた証拠だ。
火照った身体が欲求を訴える。彼に抱かれたいと全身が叫ぶ。
ユリウスだってきっと同じ思いであろう。
現に直接肌に触れる彼のモノはこれ以上にない程に猛って存在を主張している。
「……ん、ん」
長いドレスの裾を捲って、自分から腰を落として求める。
言葉で彼を求めなかったのは、それ以上に早く蓄積された欲望を発散させたかったから。望んだ熱の解放がもどかしくて堪らない。
潤んだ蜜壺は貪婪に彼を求め、戦慄く。けれど欲しい気持ちばかりが強くて、上手く腰を落とすことすら出来ない。
「ああ、リーシャ。可愛いですね」
貴女が僕を求めているのだと思うと気分が良い、そう彼は囁く。
ユリウスが私の腰を支え、ゆっくりと押し入る。
彼に抱かれる期待から愛液がはしたなく溢れ出る。潤沢に濡れた淫筒がようやく彼を受け入れることが出来たと収縮して悦ぶ。
「あ、ああ……」
呼吸を荒げ、彼の背に手を回す。少し動けば、どちらのモノか分からない体液がぬちぬちと卑猥な音を奏でる。
彼に導かれるまま、上下に身体を揺らす。
待ち望んでいた快楽が得られた充足感で、気分が高揚する。
今の自分は、さぞやはしたない顔をしているだろう。
だらしなく空いた口からは意味のない嬌声ばかりが洩れ出る。
「ひ、ぁ……んんっ」
媚びるような声は甘く、男の情欲を煽るものとなっている。
互いの汗は飛び散り、むわりとした篭った空気が室内を包む。
本能のまま腰を突き動かし、ひたすらに彼を求める。
もはや快楽の虜となった身体。激しく何度も下から穿たれると、背中が弓なりにしなって仰け反る。
胎の行き止まりを猛った屹立で突かれれば、目の前に快楽の火花が弾け飛ぶ。
「あ、ああっ……!」
待ち望んでいた多幸感からきゅうきゅうと媚肉が蠕動し、男の精を強請った。
強欲にも一滴残らず搾り取ろうと淫らに蠢き、彼のモノを締め付けたのは無意識のこと。ユリウスはそれに低く呻いた後に、荒々しく叩き付け、胎の奥へと自身の滾った熱を吐き出した。
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