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23(R-18)

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「たすけて……エドモンド」


 自分を追い詰めた相手を呼ぶなんて間違っている。そう思うのに、心の奥底では彼の助けを期待している自分が確かに居たのだ。

(なんでこんなことになったんだろう?)

 
 この部屋に来なければ、こんな目に合わずに済んだのだろうか。
 しかし、わたしとエドモンドの関係は最初からどこかボタンを掛け違えているようにも思えるーーその理由を考えようとすると、熱で浮かされている状態だからか上手く頭が回らない。 
 だけど、そのことを考えている間だけは快楽から逃れられる気がして、必死に頭を働かせる。そして、子供の頃に何か異変がなかったか思い出そうしたその時、勢い良く布団が剥ぎ取られた。


 突然の出来事に驚いてビクリと肩を揺らす。次いで自分を見下ろす冷ややかなアイスブルーの瞳とかち合う。


「エドモンド……」
「思ったより仕事が早く片付きましてね。昼までにはまだ時間はありますが、貴女の様子を一度見に来ました……それにしても随分と頑張っているようですね」


 彼はわたしのすぐ横に腰を下ろし、そしてわたしの耳朶に息を吹きかける。

「ひっ……ぁ」

 たったそれだけのことなのに、大袈裟に身体を揺らして、媚びるような甘い声をあげた自分の存在が恥ずかしくて仕方がない。


「おやおや。僕は少し息を吹き掛けただけだというのに、フィオナの身体は随分と敏感になっているようだ」

 わざとらしく、わたしをそしる彼を睨め付ける。けれど彼は「怖いですねぇ」と思ってもいないことを呟くものだから、余計に腹立たしく感じた。


「……わたしに触れないというルールでは?」

 苛立ちを募らせたことで可愛らしくないことを言ってしまう。しかし、彼はニコリと笑みを深めたのだ。

「ええ。ですから触れてはないでしょう」

 生意気なことを言ったお仕置きだといわんばかりに、今度は先程よりも更に長く、耳に息を吹き掛けられた。背筋にビリビリと走る官能。大袈裟なほどに身体を震わせて嬌声をあげる無様さに涙が出そうだ。


「やめて……」

 毅然とした態度で注意したつもりだった。だというのに、未だ快楽の余韻を残っているせいで、ただの懇願になってしまう。


「可愛らしい人だ。ねぇ、そんなに頬を赤らめて、本当は何か期待しているのではないですか? 僕なら貴女が望むモノを与えられます。だから貴女の口で、なにが欲しいか強請ってくれませんか? もし素直に言えたのなら、僕は喜んで奉仕して差し上げますよ」

 耳元で甘く囁く彼の言葉に頷いてしまいそうになるーーけれど彼の誘惑はそれだけではなかった。
 

 
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