263 / 348
第十八章 闇に染まった英雄
18-5 スイレンサイド
しおりを挟む
何とか、国都の外に現れた魔物の集団を討伐した私達。
他の街で救助していた仲間も終わったようで、現在は国都に集結しているッス。
「これで大丈夫なんだよ」
エドナちゃんが怪我を負った人達を、治癒術で、怪我を治しているッス。治癒術を使える方は希少だから、助かったッス。
実は、私はさっきまで、エドナちゃんが治癒術を使えることを忘れていたッス。エドナちゃんは、転んで奇跡を起こすのと、規格外の風の矢を射るイメージしかなかったッス。
「ふう。……いつかの賭博事件を思い出しますね」
ロゼッタさんが、魔物の死骸を見ながら、ため息を付きながら、
一方、ルナちゃんが、魔物の死骸を、じーと見つめているッス。
「ルナちゃん、どーしたの~?」
カチュアさんが声を掛けたッスが、ルナちゃんは反応がないッス。真剣に魔物の死骸を観察している見たいッス。
「ルナちゃーん~。ルナちゃ~ん……」
カチュアさんが何度呼んでも、反応がないッス。
「聞こえないかしら~? それなら~……、スゥ~~」
カチュアさんが大きく息を吸ったッス。
「ルナちゃーーーん!!!」
カチュアさんが大声で、ルナちゃんを呼んだッス。
「いやああああああ!!!」
ドーーーン!!! ドーーーン!!!
カチュアさんの大声で、驚いたルナちゃんが、後方へ転んで、お尻を強く地面にぶつけたッス。
「何しているんですか!!!」
起き上がったルナちゃんが、すぐさま立ち上がって、カチュアさんに怒鳴ったッス。
「も~。呼んでも、ルナちゃんが、返事してくれなかったもん~」
カチュアさんが頬を膨らませたッス。
「それは、すみません。……で? 何で、エドナさんまで転んでいるんですか?」
本当ッス。エドナさんが地面にお尻を付いていたッス。
「はうう。カチュアさんが、急に大声を出したから驚いたんだよ」
「ごめんね、エドナちゃん」
「あたしは平気なんだよ」
「ところで、何のようですかカチュアさん?」
「あ~! そーだったわ~。ルナちゃん、魔物の死骸を見ていたから、どーしたのかな~って」
「ああ……そうでしたか。……襲って来た魔物達を見ていると、こうも、ありえない光景なんて、そうそう見れるものではありませんと思って……」
「何か、問題あるんですか?」
エドナちゃんが尋ねたッス。
「襲った魔物の、型が違い過ぎるんですよ」
そうッス。都を襲った魔物達の種類が違い過ぎるッス。魚型の魔物は陸でも生殖は可能ッス。でも、だからといって、別の魔物同士に一緒にいることなんて、ありえないッス。
「……気になりますね」
「ルナちゃん?」
「前回のセシルの奇襲もそうですが、急に魔物を利用し始めましたね」
「人不足かな?」
「だとしても、リスクがあり過ぎです」
「魔物を調教できる確信があったからかな? それでも、型の違う魔物を同時に使うことなんて、まずしないはずッス」
確かに、此間のセシル侵攻は、コルネリア兵自体攻めに行かないで、魔物を使って進行していたッス。
魔物を使うこと自体は、珍しいことではないッス。だけど、自分の飼いならしたはずの魔物に食べられるのが、よく聞く話ッス。それに、型の違う魔物が強力することなんてないッス。寧ろ、互いを食べようとするッス。それ以前に、魔物の体内には、魔石があるッス。その魔石を食べたら、さらに凶悪な魔物が生まれるッス。だから、まず型の違う魔物を同時に放つことはしないッス。
これは尋常じゃないッス。明らかに、コルネリア軍は魔物の調教術なのか、それとも、サリナさんが昔、亜種を使った人体実験を行っていたと言われていたアルタミストの生き残りが提供したッスっかな?
「でも、どうします? 魔物討伐は必要だけど、ゲブンを捕らえなければ、また、魔物を使ってまた襲ってくるかもしれない。だから、魔物討伐しつつ、ゲブンを捕らえる必要があるんです」
確かに、すでに解き放たれた魔物は、どうすることはできませんが、
すると、都の出入口に向かって、ロランス兵達が向かって来たッス。その中央にいたのは……。
「お兄様! 兵を連れてどこにいるんですか?」
「ああ。ゲブンの隊が、どこに陣地を構えているか、分かったんだ。今から、ゲブンを討ち取りに行く」
「なら、私も行くッス」
「いや、スイレン。時期、聖王になるお前を危険にさらすに訳には……」
「十分、危険な目に会っているんだから、今更ッス」
「そう言うわけには……」
「そうと決まれば、行くッス! 早くいくッス!」
「強引ですね~」
「それなら、私も行くわ~」
すると、ロゼッタさんが、カチュアの前に立って、首を横に振ったッス。
「カチュア、すまないが、ゲブンは私が捕らえる。カチュアは魔物から民を守ってほしい」
「いいのかしら~? ゲブンを捕らえないと、この戦は終わらないわ~」
「敵将を倒すだけが戦いではない。民を守り切るこそだ。だから、ロランスの民を魔物から救ってやって欲しいわ」
ロゼッタさんの言葉で、カチュアさんが沈黙しちゃったッス。そして……。
「分かった~、でも、あのオークには気を付けて~。オーク見たいだから~」
「ゲブンのこと? 確かに見た目は、オークだけど、それは見た目だけで、魔物じゃないよ、ゲブンは。でも、周りは魔物だから気を付けるよ」
私達は、お兄様引き連れたロランス軍と共に、ゲブン討伐に向かうッス。
しかし、この時は、思いもしなかったッス。カチュアさんの、忠告の本当の意味を。
他の街で救助していた仲間も終わったようで、現在は国都に集結しているッス。
「これで大丈夫なんだよ」
エドナちゃんが怪我を負った人達を、治癒術で、怪我を治しているッス。治癒術を使える方は希少だから、助かったッス。
実は、私はさっきまで、エドナちゃんが治癒術を使えることを忘れていたッス。エドナちゃんは、転んで奇跡を起こすのと、規格外の風の矢を射るイメージしかなかったッス。
「ふう。……いつかの賭博事件を思い出しますね」
ロゼッタさんが、魔物の死骸を見ながら、ため息を付きながら、
一方、ルナちゃんが、魔物の死骸を、じーと見つめているッス。
「ルナちゃん、どーしたの~?」
カチュアさんが声を掛けたッスが、ルナちゃんは反応がないッス。真剣に魔物の死骸を観察している見たいッス。
「ルナちゃーん~。ルナちゃ~ん……」
カチュアさんが何度呼んでも、反応がないッス。
「聞こえないかしら~? それなら~……、スゥ~~」
カチュアさんが大きく息を吸ったッス。
「ルナちゃーーーん!!!」
カチュアさんが大声で、ルナちゃんを呼んだッス。
「いやああああああ!!!」
ドーーーン!!! ドーーーン!!!
カチュアさんの大声で、驚いたルナちゃんが、後方へ転んで、お尻を強く地面にぶつけたッス。
「何しているんですか!!!」
起き上がったルナちゃんが、すぐさま立ち上がって、カチュアさんに怒鳴ったッス。
「も~。呼んでも、ルナちゃんが、返事してくれなかったもん~」
カチュアさんが頬を膨らませたッス。
「それは、すみません。……で? 何で、エドナさんまで転んでいるんですか?」
本当ッス。エドナさんが地面にお尻を付いていたッス。
「はうう。カチュアさんが、急に大声を出したから驚いたんだよ」
「ごめんね、エドナちゃん」
「あたしは平気なんだよ」
「ところで、何のようですかカチュアさん?」
「あ~! そーだったわ~。ルナちゃん、魔物の死骸を見ていたから、どーしたのかな~って」
「ああ……そうでしたか。……襲って来た魔物達を見ていると、こうも、ありえない光景なんて、そうそう見れるものではありませんと思って……」
「何か、問題あるんですか?」
エドナちゃんが尋ねたッス。
「襲った魔物の、型が違い過ぎるんですよ」
そうッス。都を襲った魔物達の種類が違い過ぎるッス。魚型の魔物は陸でも生殖は可能ッス。でも、だからといって、別の魔物同士に一緒にいることなんて、ありえないッス。
「……気になりますね」
「ルナちゃん?」
「前回のセシルの奇襲もそうですが、急に魔物を利用し始めましたね」
「人不足かな?」
「だとしても、リスクがあり過ぎです」
「魔物を調教できる確信があったからかな? それでも、型の違う魔物を同時に使うことなんて、まずしないはずッス」
確かに、此間のセシル侵攻は、コルネリア兵自体攻めに行かないで、魔物を使って進行していたッス。
魔物を使うこと自体は、珍しいことではないッス。だけど、自分の飼いならしたはずの魔物に食べられるのが、よく聞く話ッス。それに、型の違う魔物が強力することなんてないッス。寧ろ、互いを食べようとするッス。それ以前に、魔物の体内には、魔石があるッス。その魔石を食べたら、さらに凶悪な魔物が生まれるッス。だから、まず型の違う魔物を同時に放つことはしないッス。
これは尋常じゃないッス。明らかに、コルネリア軍は魔物の調教術なのか、それとも、サリナさんが昔、亜種を使った人体実験を行っていたと言われていたアルタミストの生き残りが提供したッスっかな?
「でも、どうします? 魔物討伐は必要だけど、ゲブンを捕らえなければ、また、魔物を使ってまた襲ってくるかもしれない。だから、魔物討伐しつつ、ゲブンを捕らえる必要があるんです」
確かに、すでに解き放たれた魔物は、どうすることはできませんが、
すると、都の出入口に向かって、ロランス兵達が向かって来たッス。その中央にいたのは……。
「お兄様! 兵を連れてどこにいるんですか?」
「ああ。ゲブンの隊が、どこに陣地を構えているか、分かったんだ。今から、ゲブンを討ち取りに行く」
「なら、私も行くッス」
「いや、スイレン。時期、聖王になるお前を危険にさらすに訳には……」
「十分、危険な目に会っているんだから、今更ッス」
「そう言うわけには……」
「そうと決まれば、行くッス! 早くいくッス!」
「強引ですね~」
「それなら、私も行くわ~」
すると、ロゼッタさんが、カチュアの前に立って、首を横に振ったッス。
「カチュア、すまないが、ゲブンは私が捕らえる。カチュアは魔物から民を守ってほしい」
「いいのかしら~? ゲブンを捕らえないと、この戦は終わらないわ~」
「敵将を倒すだけが戦いではない。民を守り切るこそだ。だから、ロランスの民を魔物から救ってやって欲しいわ」
ロゼッタさんの言葉で、カチュアさんが沈黙しちゃったッス。そして……。
「分かった~、でも、あのオークには気を付けて~。オーク見たいだから~」
「ゲブンのこと? 確かに見た目は、オークだけど、それは見た目だけで、魔物じゃないよ、ゲブンは。でも、周りは魔物だから気を付けるよ」
私達は、お兄様引き連れたロランス軍と共に、ゲブン討伐に向かうッス。
しかし、この時は、思いもしなかったッス。カチュアさんの、忠告の本当の意味を。
0
お気に入りに追加
10
あなたにおすすめの小説
今日の授業は保健体育
にのみや朱乃
恋愛
(性的描写あり)
僕は家庭教師として、高校三年生のユキの家に行った。
その日はちょうどユキ以外には誰もいなかった。
ユキは勉強したくない、科目を変えようと言う。ユキが提案した科目とは。
王女、騎士と結婚させられイかされまくる
ぺこ
恋愛
髪の色と出自から差別されてきた騎士さまにベタ惚れされて愛されまくる王女のお話。
性描写激しめですが、甘々の溺愛です。
※原文(♡乱舞淫語まみれバージョン)はpixivの方で見られます。
保健室の秘密...
とんすけ
大衆娯楽
僕のクラスには、保健室に登校している「吉田さん」という女の子がいた。
吉田さんは目が大きくてとても可愛らしく、いつも艶々な髪をなびかせていた。
吉田さんはクラスにあまりなじめておらず、朝のHRが終わると帰りの時間まで保健室で過ごしていた。
僕は吉田さんと話したことはなかったけれど、大人っぽさと綺麗な容姿を持つ吉田さんに密かに惹かれていた。
そんな吉田さんには、ある噂があった。
「授業中に保健室に行けば、性処理をしてくれる子がいる」
それが吉田さんだと、男子の間で噂になっていた。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
獣人の里の仕置き小屋
真木
恋愛
ある狼獣人の里には、仕置き小屋というところがある。
獣人は愛情深く、その執着ゆえに伴侶が逃げ出すとき、獣人の夫が伴侶に仕置きをするところだ。
今夜もまた一人、里から出ようとして仕置き小屋に連れられてきた少女がいた。
仕置き小屋にあるものを見て、彼女は……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる