蒼炎のカチュア

黒桐 涼風

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第十七章 忌まわしき過去

17-1 ロゼッタサイド

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 私ことロゼッタが、アトラ皇帝が崩御してすぐに、帝都に戻った。だが、帝都に戻ってきて早々に、新ゲス皇帝の勢力に拘束されそうになったが、シグマ様が私とアルヴスを逃がしてくれた。しかし、その代わりにシグマ様が、新ゲス皇帝の勢力よって捕まってしまった。

 何とか、逃げきれた、私とアルヴスは、カチュア達と別行動をしていた、マリン様の友人で、私の親戚でもあるアイラさんと、へルディア姫の側近のアニーとギルティの二人と合流した。

 何でも、帝国軍に狙われている妖精族のエドナを連れてダグザへ向かう際に、大人数では目立ってしまうため、エドナを含めた少人数でダグザへ向かうことにしたみたいだ。残りの者達はロランスもしくは、セシルに向かったり、アイラさんのように帝都に残って、現皇帝の動向を探っていたみたいだ。そして、合流したアイラさんとへルディア姫の側近二人で、しばらく、新ゲス皇帝の勢力によって囚われたシグマ様を捜索していた。しかし。



 コルネリア内のセシル王国国境付近。

「はあ、はあ、はあ、はあ……。マジ、やばかったしー。何なのよ、あいつら? やっていることが、人間じゃないしー」

 へルディア姫の側近の一人で、帝都では、あまり見ない派手めな化粧をした女性のギルティが息を切らしながら、喋っている。

 ギルティは、性格が軽そうな女性の印象があり、表面上は、そのイメージは崩れていない。だけど、表に出してはいないが、内心は怒っているように感じる。

 それもそっか。あの同じ人間だと思えない程、非道な光景を見たからね。私も本当なら奴らを、槍で串刺しにしたい程、怒りを覚えたからね。

 槍で串刺しにしたいって、思ってしまうなんて、私もアルヴス見たいに、なってきているような。

「帝都の闇って奴かな」

 この首のない馬デュラハンモドキに乗っている人も、へルディア姫の側近の一人もアニーで、ピンク髪の可愛らしい女の子だ。……と思っていたが、こいつは、女の子見たいな見た目だが、実は男だ。私の周りには、巨乳率の高めだがら、初めて、アニーと会った時は、安心したが、実は男だったというオチなんて。神様は私に嫌がらせでもしているのかしら? 

 彼から話を聞いたのだが、カチュアは一発で彼を男性って見抜いたらしい。相変わらずカチュアは勘が鋭いね。のんびりマイペースの割には。カチュアと初めて出会った頃の、私の格好は男の子ぽくって、殆どの人達から男の子と勘違いされがちだったんだ。あの頃は、立派な騎士になるために、身なりを気にしていなかったから、男の子に間違えられるのは無理もなかった。そんな男の子に間違えられる格好をしていたにも関わらず、カチュアは私を女の子として、見抜いたんだ。

 そう言えば、アニーにそんな話をしていたら、メリア様も昔は、男の子みたいな性格で、上半身裸で森の中で遊んでいたらしい。さすがに、外で上半身裸で出歩かないが、メリア様には、どこかシンパシーを感じていたんだが、どこかしら、かつての男の子ぽさを感じていたから見たいだ。現にメリア様は時々、自分のことを「俺」って言っていたから。私は私で、気を付けてはいるが、かつての口調の荒さが出てしまうことがある。

 ……でも、何で、あんなに胸が育っているの? 私は全く育っていないのに!!! チクショォォォォオォォォ!!!

「おーい。何怖い顔しているの?」

 は! 顔に出ていたか! アイラさんが退き気味で声を掛けてきた。

「いや! 何でもない! 何でもないから!」

 やばい! お姫様、相手に嫉妬していたんだろう? 何だか、急に冷静になってきた。

 話は戻して、アニーとギルティは、本来、帝国貴族達に狙われている妖精族のエドナをダグザへ送るため、主君のメリア様と同行するはずだったが、大人数で、エドナを連れて、逃げるには目立ってしまうため、帝都の現状を知るためにアイラと共に、コルネリアに残ったんだって。この二人は傭兵として実力は高く、特にアニーは情報通だから、隠密には適しているから、らしい。

 まあ、私達の現状は、コルネリア兵に追われている。奴らのとんでもない場面を目撃し、それをコルネリア兵に見つかったために追われることに。必死に逃げる私達は何とか、帝都ナウザから脱出した。アルヴスは、まだやることがあると言って、一人、帝都に残っていった。

 そして、私達が逃げる先は、アニーから、カチュア達が現在、セシル王国にいると知らせが聞いたから、セシル王国へ向かうことに。

「しかし、走っていたらお腹すいたしー、何か食べたいしー」

 ギルティがそう言うと、アニーを乗せているデュラハンモドキを凝視始めた。口元から涎が垂れているようだけど、もしかして……。

「だから、やめろ! 食べようとするな! 怯えているだろ!」

 頭がないから分からないんだけど、確かに、体が震えている。

 てか、あれを食べようとしているの! 馬肉とかあるみたいだけど、この馬、全然おいしそうには見えないよ! 一見、魔物と間違えられる見た目をした、この馬を!

「ところで、アニー」

 アイラさんが、アニーに話しかけてきた。

「ロランス組と別れる際、ルナから聞いたんだけど、アニーは確か、コルネリアの貴族の出身だっけ? 両親とかは大丈夫なのか?」
「あちゃ~。メリアかディーンが漏らしたのか。まあ、秘密にすることではないんだけどね」
「その話を聞いたルナでさえ、理解できない内容だったみたいだから、僕に聞いたみたいだ。まあ、幼い子には理解できなかったんだろうね」
「オレの母さんはへルディアにいる。クソ親父に不倫されたショックで、実子であるオレを連れてへルディアへ駆け落ちしたんだ。それ以降、クソ親父と腹違いの兄と弟には会っていないんだ。それどころか腹違いの兄と弟には会っていないんだ。オレが掴んだ情報だと、三人揃って、色んな女性に手を付けてきたんだ。だけど、その中には人妻もいたそうだ。で、その旦那さんに剣かなんかで斬りかかってきて、親子三人揃って、一生子供が作れない体にされたらしい」
「わ~。想像以上にドロドロした話だな」

 その話きいたことある。数か月前に、とある貴族一家が数十人の男性に襲われた事件があったね。その動機は、自分の妻達がその貴族一家に連れていかれたそうだね。まさか、その貴族一家の身内がアニーだったということかな? 結局、貴族一家は跡継ぎが生まれない体にされたということで、貴族という身分を返還される結果になったらしい。

「いたぞ!」

 振り向くと、大勢の帝国軍の姿があった。追ってのようだ。

「まずい! 追いつかれたか!」

 すると、ギルティが二本の斧を取り出し、片手ずつ斧を持って構えた。斧の二刀流なんて珍しいね。

「……アニー」
「分かっている」

 アニーは魔術で、炎を出した。その炎はギルティの二本の斧を包んだ。

「行くしー」

 ギルティが斧を勢いよく振るうと、その衝撃と共に、纏っていた炎も飛んで行った。

 ボォォオォォォオォォ!!!

「ぎゃあああああ!!!」

 炎に包まれた帝国兵の悲鳴が響き渡った。

 緑豊かな草原が、跡形もなく灰まみれになってしまった。

「さあ、とっとと逃げるよ!」

 何事もなかったかのように、セシル王国へ、再び進行するアニーとギルティ。

 ……いつまでも、呆然と立っていないで、私も行こうか。



 とにかく、帝都に見たことを、マリン様達に、知らせないと。帝国の連中が、人を意図的に魔物化させた現場を目撃した直後に見つかってしまったから、ポッポ便で知らせる、暇がなかったから何としてでも、マリン様達に伝えないと。
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