蒼炎のカチュア

黒桐 涼風

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第十五章 軍神

15-3 ナギサイド

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「何事ですか?」

 また、誰か来たな。今度は、体格がいいレオの家族と異なり、カチュアと差ほど、背丈が変わらない、獣人族の女性が現れた。レオの家族のように、全身毛だらけだったり、顔のパーツがマスコット見たいだったり、足が長すぎだったりなど、見た目にインパクトはないみたいだが。……何、次はどんな人が来るかなあって、期待していたんだ私。

 その女性は、レオの制裁を受け、体中真っ黒に焦げた三人に目が入った。

「は~。兄さん達も相変わらずですね。レオちゃんが制裁をするたびに、城が壊れてきているのに……」

 ため息を付いた。

「ところで、あなたは?」
「申し訳ごさいません。私は、ダグザ現王カイザの妹のオリーです。レオちゃんの叔母にあたります」

 え? レオの叔母? いや! 若過ぎない!? 下手したら、カチュアと同年代に見えなくないか。

「あたしの叔母といっても、オリー姉は二十五歳の兄貴よりか若いけどな」

 なるほど、歳の差兄妹か。……私達の周り、兄と妹の兄妹構成多くない?

「お見苦しいところ見せてごめんなさい」

 オリーとかいう人は、カチュア達に向かって、お辞儀をした。

「妾はダグザ王と謁見をしたいのだが……」

 マリンが体中真っ黒に焦げた三人を見て。

「これ、大丈夫か?」
「ああ……、兄さん達、レオちゃんに物凄く溺愛していて構いたいとは、思うんですけど、いつも事態を大きくしてしまって、その度に、レオちゃんに制裁をくらわしているのです。この国で、一番、怒らせてはいけないのはレオちゃんなんです。それにしても懲りませんね。此間、レオちゃんが戻った時も同じように、レオちゃんの目の前で取り合いをして、同じように制裁を喰らったのに」

 こんなのが、日常茶飯事かよ。で、制裁はあの炎の光線を食らわせているのかよ。あの強力な炎の光線を食らっているのに、頑丈な人達だな。そう言えば、獣人族はカウンターという、受けたら受けた分、倍返しをする戦法が得意な亜種だから、体はタフで有名だったな。しかも、その倍返しは悪口でも適用されるから、マゾとバカにしていた人間を塵も残さず、制裁したという話もあって、それも、勇能力の持ち主で、障壁を一発で破壊したらしい。
 
「すみませんね。お見苦しいところを見せてしまって」

 再び、カチュア達に向かって、お辞儀をした。

「いや……叔母方も大変ですね」
「あ~。やっぱ、オリー姉と、一緒にいたほうが気が楽だな。暑苦しくないし」
「ま! それは嬉しいですね」

 あれ? オリーから一瞬、不気味な笑みを浮かべたような。気のせいか?

「取り敢えず、兄さん達を謁見の間へ運びましょう」
「メンドクセーけど仕方がないか」

 レオとオリーは真っ黒に焦げた三人の足を掴んで、引きづる。

「じゃあ、マリン、謁見の間へ行くか」
「行くのはいいんだけど、これ、話聞けるのか?」
「私も王に用がありますので一緒に」
「取り敢えず、こちらへお食事持っていきますので、ごゆっくりしていてください」

 マリンとメリアは謁見の間へ向かっていった。さて、マリン達が戻ってくるまで、私はどう過ごそうかな? 取り敢えずは、場内の探索かな?

「ところでナギちゃん」
「何だ?」
「あの人。ええとぉ~」
「レオの叔母のオリーのこと?」
「あ! そうよ。あの人、何だが、レオちゃんのご家族と似た感情を感じるわ。それに、レオちゃんに異常な愛も感じるのよ~」
「レオのことを可愛がってはいるよな。とは言っても、あの家族よりかは、愛情は控えめで……」

 その時、さっき、オリーが一瞬見せ、不気味な笑みを浮かべたことを思う出す。それに加えて、カチュアが感じた異常な愛。もしかして……。

「結局。親族全員、レオを狙っているんかい!」

 あの人、レオに好感を持たせるために、適度の距離感を保っていたわけか。現にレオには鬱陶しく思われていないし。

 そう、彼女は実は、気持ちに正直な獣人族とは思えない程の腹黒系だった。
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