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第十章 妖精の少女
10-1 ナギパート
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カチュア達は戦場になり得る場所に、一番近い街アヴァルへ戻ってきた。
その街の宿屋の店主モニカに戦争が起きることを伝えていた。
そして、宿屋に入ったカチュア達はと言うと。
「はうう……、ごめんなさいなんだよ!」
入って早々、エドナは転んで、床に穴を開けてしまう。しかも、頭から床に突っ込んだため、体上半身は床の穴にはまっていて、下半身だけ、地上で見えている状態に。そう、床に、はまった逆立ち状態だ。こう言うのなんて言うんだっけ? イヌガミケ? それは、ほって置いて、そんな状態だから、スカートが捲れ、パンツが丸出しに。
今はカチュアが足を引っ張って脱出した。まあ、力が強すぎて、天井にぶつかるギリギリまで、エドナが飛んでいってしまったが。
しかし、この宿屋はエドナが引き起こした、ドジで破損額がとんでもないことになっているはずだ。
一見、エドナはこの宿にとって、損害を与えるため厄介なお客様だと、思われがちだが、そうではない。エドナは、この街では、人気者で、宿屋に彼女の銅像が立っているほどだ。それを拝めるために、宿屋を利用する客が多いため、エドナが出した破損額以上に上回る収入を得ているらしい。
この宿屋の店主モニカによれば、帝都の宿屋の方がお客が引き起こした揉め事で、しょっちゅう施設内は壊され損害額がとんでもないらしい。それに比べれば、エドナは可愛い方らしい。
「は~。相変わらずですね」
ルナが呆れ顔になっていた。
「街長には、このことは既に兄様が伝えています。もしもの時は、シグマ様の部下の元避難をしてください」
この街の街長にはシグマの部下である、アルヴスが説明したらしい。そのアルヴスは既にカチュア達が到着する前に出て行ってしまった。現在、この場にはいない、マリンががっかりしていた。
「分かったわ。ルナちゃんも気をつけて」
現在いるのは、カチュア、エドナ、ルナ、スイレン。後は、犬? の人形に入った小人族のミラ。
小人族は体が小さくって、初めて魔道具を作り出した亜種と言われていたらしい。技術力が高く、それ目的で奴隷となった歴史があるらしく、そのため、人々から姿を消したらしい。だから、人前には出れないミラは、どこにもいそうな犬? の人形の中に入っている。
その、ミラの犬の人形に関しては、デカすぎて、危険種か魔物と疑わう人がいたけど、ルナがフォローしてくれている。だけど、誤魔化し内容が「体を膨らませて、空飛ぶ魔術の副作用」って、無理があるような。寧ろ、動物で実験していることだから、それはそれで、変な目で見られるような。
現在、カチュア達は二手に分かれていて、この場にはいない、マリン、アイラ、ユミル、レオはアヴァルの外でコルネリア軍の動向を探っている。
マリンは不服だった。まあ、理由は分かりたくないが、分かる。
そう言えば、ずっと気になっていたが、ルナはさっきから、体をピクピクと震えている気がする。この体の震えは確か、久しぶりに会った時からの気がする。
「あの~」
「どーしたの?」
ルナがカチュアに声を掛ける。
「本当によろしかったんですか?」
「何が~」
「また、戦いに巻き込まれるかもしれません。カチュアさんは戦うのは好きじゃないと、口にしていましたよね?」
「戦いに巻き込まれる人達を助けないと~」
相変わらず、これから戦いが起きるにも関わらず、微笑ましい笑顔を見せるカチュア。
「それに、今回は、戦いが起きる前に止めるんでしょ?」
「そうです。そのためには、カチュアさんとエドナさんの感知能力が必要なんです」
「……ところで、わたし達はこれから、どーするんだっけ?」
「そう言えば、何だっけ?」
『さっき、説明したばかりだ!』
マリン達と別れる前にルナから説明をしたはずなんだが。とても、重大なことを。
「相変わらずで安心しました」
ため息を吐いているが、同時に安心したような表情も出すルナ。
「スイレンちゃんは分かる」
スイレンに尋ねる。
「……取り敢えず、敵をぶっ飛ばすってことッス?」
拳を前に突き出して何を言っているんだ、この子。
「分かったわ~」
『話を聞いていた人のセリフじゃないだろ! おまえも話聞いていないだろ!』
直接、カチュアの口を借りて突っ込みを入れたいが、周りに人がいるため、表に出れない。
普通は別の精神体が入っているのは、信じられないが、私とカチュアは性格が違い過ぎる。現にマリンなど、カチュア達と同行する者達には、迂闊に表に出てしまっただけで、バレてしまっている。だから、誰も信じないからといって、表に出て喋るのは危険だ。
まあ、それは置いといて、問題はスイレンだ。
レオと二人で旅立った時、当時の目的をすっぽかして、カチュア達に着いてきて、挙句に、その目的も忘れているからな。
「あー、あれですねー。魔物を解き放った黒幕を問い詰めるんですよねー」
「そうです。お互いピリピリしている中、明らかに人為的で魔物騒動が起きたら、理由はどうあれ、戦いが始まります。それを防がないと」
そう。戦争が起きる原因は魔物が原因。コルネリアの仕業ではないなら、黒幕がいるはずだ。シグマの部下である、カチュアの幼馴染のロゼッタと、ルナの兄アルヴスがシグマとは別行動で、そいつらを探している。
マリンの不機嫌な理由は、まさにこれ。
「そこで、カチュアとエドナですねー」
「え? なんで、あたし達?」
「ん~、スイレンちゃんは分かる?」
「……敵をぶっ飛ばす?」
「ぶっ飛ばす」と言うたび、拳を前に突き出す。
『さっきから、脳筋返答だな!』
てか、スイレンって、こんなキャラだっけ? レオがいないからか? でも、改めて、スイレンの人物像を見ていくと、清楚な女性な見た目だが、レオ曰く、アクティブらしい。レオが「ゴリラ」って言うたび、キレ顔でレオの胸元を掴んでいる。うん、こんな人だな。
それは、ほって置いて、目的はつまり、その黒幕を探すことだ。
「できることに限界はありますが、やれることはしないとです」
いざ、出発だ。
「あの~、その人形って、別のありますか? 例えば、猫とか」
「あるには、あります。けど、どうして?」
「こんなエドナさん以上に大きい犬なんて、いませんから」
『いや! 猫もいないだろ!』
そして、犬人形はルナどころか、レオよりも、大きいのに、敢えて、エドナを比較対象にしたよ。
その街の宿屋の店主モニカに戦争が起きることを伝えていた。
そして、宿屋に入ったカチュア達はと言うと。
「はうう……、ごめんなさいなんだよ!」
入って早々、エドナは転んで、床に穴を開けてしまう。しかも、頭から床に突っ込んだため、体上半身は床の穴にはまっていて、下半身だけ、地上で見えている状態に。そう、床に、はまった逆立ち状態だ。こう言うのなんて言うんだっけ? イヌガミケ? それは、ほって置いて、そんな状態だから、スカートが捲れ、パンツが丸出しに。
今はカチュアが足を引っ張って脱出した。まあ、力が強すぎて、天井にぶつかるギリギリまで、エドナが飛んでいってしまったが。
しかし、この宿屋はエドナが引き起こした、ドジで破損額がとんでもないことになっているはずだ。
一見、エドナはこの宿にとって、損害を与えるため厄介なお客様だと、思われがちだが、そうではない。エドナは、この街では、人気者で、宿屋に彼女の銅像が立っているほどだ。それを拝めるために、宿屋を利用する客が多いため、エドナが出した破損額以上に上回る収入を得ているらしい。
この宿屋の店主モニカによれば、帝都の宿屋の方がお客が引き起こした揉め事で、しょっちゅう施設内は壊され損害額がとんでもないらしい。それに比べれば、エドナは可愛い方らしい。
「は~。相変わらずですね」
ルナが呆れ顔になっていた。
「街長には、このことは既に兄様が伝えています。もしもの時は、シグマ様の部下の元避難をしてください」
この街の街長にはシグマの部下である、アルヴスが説明したらしい。そのアルヴスは既にカチュア達が到着する前に出て行ってしまった。現在、この場にはいない、マリンががっかりしていた。
「分かったわ。ルナちゃんも気をつけて」
現在いるのは、カチュア、エドナ、ルナ、スイレン。後は、犬? の人形に入った小人族のミラ。
小人族は体が小さくって、初めて魔道具を作り出した亜種と言われていたらしい。技術力が高く、それ目的で奴隷となった歴史があるらしく、そのため、人々から姿を消したらしい。だから、人前には出れないミラは、どこにもいそうな犬? の人形の中に入っている。
その、ミラの犬の人形に関しては、デカすぎて、危険種か魔物と疑わう人がいたけど、ルナがフォローしてくれている。だけど、誤魔化し内容が「体を膨らませて、空飛ぶ魔術の副作用」って、無理があるような。寧ろ、動物で実験していることだから、それはそれで、変な目で見られるような。
現在、カチュア達は二手に分かれていて、この場にはいない、マリン、アイラ、ユミル、レオはアヴァルの外でコルネリア軍の動向を探っている。
マリンは不服だった。まあ、理由は分かりたくないが、分かる。
そう言えば、ずっと気になっていたが、ルナはさっきから、体をピクピクと震えている気がする。この体の震えは確か、久しぶりに会った時からの気がする。
「あの~」
「どーしたの?」
ルナがカチュアに声を掛ける。
「本当によろしかったんですか?」
「何が~」
「また、戦いに巻き込まれるかもしれません。カチュアさんは戦うのは好きじゃないと、口にしていましたよね?」
「戦いに巻き込まれる人達を助けないと~」
相変わらず、これから戦いが起きるにも関わらず、微笑ましい笑顔を見せるカチュア。
「それに、今回は、戦いが起きる前に止めるんでしょ?」
「そうです。そのためには、カチュアさんとエドナさんの感知能力が必要なんです」
「……ところで、わたし達はこれから、どーするんだっけ?」
「そう言えば、何だっけ?」
『さっき、説明したばかりだ!』
マリン達と別れる前にルナから説明をしたはずなんだが。とても、重大なことを。
「相変わらずで安心しました」
ため息を吐いているが、同時に安心したような表情も出すルナ。
「スイレンちゃんは分かる」
スイレンに尋ねる。
「……取り敢えず、敵をぶっ飛ばすってことッス?」
拳を前に突き出して何を言っているんだ、この子。
「分かったわ~」
『話を聞いていた人のセリフじゃないだろ! おまえも話聞いていないだろ!』
直接、カチュアの口を借りて突っ込みを入れたいが、周りに人がいるため、表に出れない。
普通は別の精神体が入っているのは、信じられないが、私とカチュアは性格が違い過ぎる。現にマリンなど、カチュア達と同行する者達には、迂闊に表に出てしまっただけで、バレてしまっている。だから、誰も信じないからといって、表に出て喋るのは危険だ。
まあ、それは置いといて、問題はスイレンだ。
レオと二人で旅立った時、当時の目的をすっぽかして、カチュア達に着いてきて、挙句に、その目的も忘れているからな。
「あー、あれですねー。魔物を解き放った黒幕を問い詰めるんですよねー」
「そうです。お互いピリピリしている中、明らかに人為的で魔物騒動が起きたら、理由はどうあれ、戦いが始まります。それを防がないと」
そう。戦争が起きる原因は魔物が原因。コルネリアの仕業ではないなら、黒幕がいるはずだ。シグマの部下である、カチュアの幼馴染のロゼッタと、ルナの兄アルヴスがシグマとは別行動で、そいつらを探している。
マリンの不機嫌な理由は、まさにこれ。
「そこで、カチュアとエドナですねー」
「え? なんで、あたし達?」
「ん~、スイレンちゃんは分かる?」
「……敵をぶっ飛ばす?」
「ぶっ飛ばす」と言うたび、拳を前に突き出す。
『さっきから、脳筋返答だな!』
てか、スイレンって、こんなキャラだっけ? レオがいないからか? でも、改めて、スイレンの人物像を見ていくと、清楚な女性な見た目だが、レオ曰く、アクティブらしい。レオが「ゴリラ」って言うたび、キレ顔でレオの胸元を掴んでいる。うん、こんな人だな。
それは、ほって置いて、目的はつまり、その黒幕を探すことだ。
「できることに限界はありますが、やれることはしないとです」
いざ、出発だ。
「あの~、その人形って、別のありますか? 例えば、猫とか」
「あるには、あります。けど、どうして?」
「こんなエドナさん以上に大きい犬なんて、いませんから」
『いや! 猫もいないだろ!』
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