蒼炎のカチュア

第八章 魔人族の脅威

８ー回想② レオサイド

　スイレンと、初めて出会った夜。

「クソ！　眠いのに、寝れねぇな～」

　昼間、だらだら過ごし過ぎたのか、外は夜空になっているに、全然寝れねぇ。

　ロランスの王女が突然、話しかけられて、つい逃げてしまった。

　だから、外は暗いのに散歩をしている。暗いとはいうが、空は雲一つ無く、星や月の光のお陰で辺りは、よく見える。

　やはり、メンドクセーが昼間は動いた方がいいか。

「ら～、ら～、ら～」

　歌声が聴こえる。それも、綺麗な声だ。

　声がするところへ行って見ると、ロランスの王女様の姿が。歌っていたのは彼女だったようだ。

「あれ？　ダグザ王のお姫様ッス」

　やば！　目が合ってしまった！

「どうも」
「散歩ッスか？」
「……ああ。その……綺麗な歌声だな」
「ありがとうッス！」
「……それでは」
「もう行っちゃうッスか？」
「……ああ」
「あの～、さっきから、どうしたッスか？」
「いや～、さっきの歌……」
「歌がどうしたッスか？」
「その……もう一度、歌って、もらっても、いいか？」
「え？　いいッスよ」

　スイレンはまた、歌ってくれた。

　あたしはスイレンの歌が好きだ。