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第八章 魔人族の脅威
8ー6 ナギサイド
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スイレンの理不尽な怒りで、銭湯が破壊された。レオじゃなくっても、ゴリラと呼びたくなるほど。
その後、スイレンはお母さんに滅茶苦茶怒られていた。多額の弁償金は当然支払いをした。一応、銭湯側は救われたな。
そんな出来事から翌朝。ギャングの先制布告から二日後。
王宮の広間にいたカチュア達。慌てて、広間に入ってくる兵の姿が。
「大変だ! 魔人族の軍政がここへ向かって来ている!」
「いよいよですか!」
皆んなが、戦場へ向かっていく。
『毎度のことだけど』
「どーしたの?」
『あなた、戦いに巻き込まれ過ぎでは?』
「ん~、そーかしら?」
『無理して、戦いに参加しなくっても』
カチュアに問いかけてみる。
「ん? なんで?」
『いや。ヴァルキュリア族は戦いは嫌いって』
「でも、敵を殺すしにしても、殺さないにしても、戦いを食い止めないと、戦いたくない一人が犠牲になっちゃうわ~」
『まあ、そうだけど』
戦いは嫌いでも、割り切ることはできるんだよな、カチュアは。
強いだけでなく、全く動じない。寧ろ、これから戦争が始まるのに、のほほーんとした表情をしていて、戦場にでる顔ではない。それがカチュアか。
カチュア達一行と聖王ネフェニー、王子レイン、その他、ロランス兵士達は、戦場になる平地へたどり着いた。
まさに、戦場の舞台と言っていい、何もない殺風景な平地。
視力がいいエドナは遠くを見上げていた。
「ん~、見えたんだよ。奥の方だけど、一昨日の魔人王さんもいるんだよ」
「エドナちゃん。周りはどー?」
平地だが、一応、左右には森が広がっている。エドナはその辺りも見渡して見た。
「魔人族は目の前にいる大軍だけなんだよ」
「目がいいな。弓を扱えるだけある」
「真っ向勝負か。ガロンの戦い方見たいだ」
世は小細工なしか。余程、力に自信があるのか。……昨日は散々、カチュアにコテンパにされていた事、忘れたのか?
「カチュア! カチュアから見て、相手の強さを見ただけで、わかるか?」
「ん~、以前戦った巨大狼の魔物……」
『フェンリムな!』
「うん、そのフェンリム並みの強さかな……」
「それは厄介じゃ」
いや、あれって、確か……。
「カチュアさんは圧倒していたんだよ。その時は蒼い炎は使っていなかったんだよ」
「あの時は、カチュアさんの力強さだけでは、フェンリムの体に傷を与える術はなかったでしたわ」
そうだった。人狼の魔物相手なら、カチュアのバカ力は通じていた。その人狼の魔物は、中級魔物だっけ? だけど、上級魔物と呼ばれていた、巨大狼のフェンリムには、カチュアのバカ力でさえ、傷を負わせることは難しかった。殴り飛ばすことは出来たが。
それが、それ並みって、厳しい戦いになるのでは? それに、あれは口からビーム出していなかったけ?
「となると、上級魔物の耐久が無ければ、カチュアにとっては敵ではないか。でも、その強さで大群は厄介だな」
「殺す気迫……殺気って、言うんだっけ? それは感じるのよ~。ただ、やる気は無さそうなのよ~」
「指揮力はゼロに近いか、それなら、実力が発揮しにくいかもしれない」
「カチュアさんは、相手の強さを見ればわかるんですね。後、殺気も」
「その殺気を頼りに、相手の不意打ちでも、攻撃を避けられるんだな」
レオは握った手を反対の平手を軽く、乗せた。よく、使うのかは、分からないが、何か閃いた時にする仕草だ。
「あ! だから、エドナのドジは避けられないのか! 納得」
「はうう……、納得されても嬉しくないんだよ!」
もうすぐ、戦いが始まるのに、萎れるエドナ。
「会話も聞こえるわ~。悪魔と戦いたくないとかが聞こえるわ~。誰のことかな~?」
「カチュア、お前、天然とか言われないか?」
レオは呆れているような目をしているよ。こういう目って、ジト目って言うんだっけ?
「何か、変なこと言ったかしら~」
『一昨日、散々、悪魔扱いされていなかっけ?』
「ん? 確かに、昨日、悪魔と叫んで帰っていたけど~、魔人族の挨拶かな~?」
『確か、耳良かったよな? お前』
「そーだけど、どーして?」
相手に恐怖を受け付けたうえ、「悪魔」呼ばりされている。そのうえ、その「悪魔」は誰に対して放ったのが分かるのに、当の本人は気づいていない。てか、気づかないのは無理がある気がする。
ある意味、「狂」が付くのにふさわしいよな。確か、蒼色の狂女だっけ?
「さて、戦闘モードに行きますか!」
ただでさえ体が大きい、レインの体が、さらに、どんどん、大きくなっていた。同時に、レインの武器となる槍も、それに比例して、大きくなっていく。
もう、倍以上大きくなっていないか? 通常の大きさでも、顔が見えなかったのに、さらに顔が見えなくなっていた。
あ! 顔は光っているから、見えなかったんだ!
「わー、さらに大きんだよ!」
「巨人族は体を大きくできるッス。ちなみに、武器は強化魔術の応用で、装備者の体格に合わせて、大きさが変わるッス。欠点は大きさは変えられても、重さは変わらないッス」
その亜種の戦い方に対応した、技術があるのか。奥が深いな。
その後、スイレンはお母さんに滅茶苦茶怒られていた。多額の弁償金は当然支払いをした。一応、銭湯側は救われたな。
そんな出来事から翌朝。ギャングの先制布告から二日後。
王宮の広間にいたカチュア達。慌てて、広間に入ってくる兵の姿が。
「大変だ! 魔人族の軍政がここへ向かって来ている!」
「いよいよですか!」
皆んなが、戦場へ向かっていく。
『毎度のことだけど』
「どーしたの?」
『あなた、戦いに巻き込まれ過ぎでは?』
「ん~、そーかしら?」
『無理して、戦いに参加しなくっても』
カチュアに問いかけてみる。
「ん? なんで?」
『いや。ヴァルキュリア族は戦いは嫌いって』
「でも、敵を殺すしにしても、殺さないにしても、戦いを食い止めないと、戦いたくない一人が犠牲になっちゃうわ~」
『まあ、そうだけど』
戦いは嫌いでも、割り切ることはできるんだよな、カチュアは。
強いだけでなく、全く動じない。寧ろ、これから戦争が始まるのに、のほほーんとした表情をしていて、戦場にでる顔ではない。それがカチュアか。
カチュア達一行と聖王ネフェニー、王子レイン、その他、ロランス兵士達は、戦場になる平地へたどり着いた。
まさに、戦場の舞台と言っていい、何もない殺風景な平地。
視力がいいエドナは遠くを見上げていた。
「ん~、見えたんだよ。奥の方だけど、一昨日の魔人王さんもいるんだよ」
「エドナちゃん。周りはどー?」
平地だが、一応、左右には森が広がっている。エドナはその辺りも見渡して見た。
「魔人族は目の前にいる大軍だけなんだよ」
「目がいいな。弓を扱えるだけある」
「真っ向勝負か。ガロンの戦い方見たいだ」
世は小細工なしか。余程、力に自信があるのか。……昨日は散々、カチュアにコテンパにされていた事、忘れたのか?
「カチュア! カチュアから見て、相手の強さを見ただけで、わかるか?」
「ん~、以前戦った巨大狼の魔物……」
『フェンリムな!』
「うん、そのフェンリム並みの強さかな……」
「それは厄介じゃ」
いや、あれって、確か……。
「カチュアさんは圧倒していたんだよ。その時は蒼い炎は使っていなかったんだよ」
「あの時は、カチュアさんの力強さだけでは、フェンリムの体に傷を与える術はなかったでしたわ」
そうだった。人狼の魔物相手なら、カチュアのバカ力は通じていた。その人狼の魔物は、中級魔物だっけ? だけど、上級魔物と呼ばれていた、巨大狼のフェンリムには、カチュアのバカ力でさえ、傷を負わせることは難しかった。殴り飛ばすことは出来たが。
それが、それ並みって、厳しい戦いになるのでは? それに、あれは口からビーム出していなかったけ?
「となると、上級魔物の耐久が無ければ、カチュアにとっては敵ではないか。でも、その強さで大群は厄介だな」
「殺す気迫……殺気って、言うんだっけ? それは感じるのよ~。ただ、やる気は無さそうなのよ~」
「指揮力はゼロに近いか、それなら、実力が発揮しにくいかもしれない」
「カチュアさんは、相手の強さを見ればわかるんですね。後、殺気も」
「その殺気を頼りに、相手の不意打ちでも、攻撃を避けられるんだな」
レオは握った手を反対の平手を軽く、乗せた。よく、使うのかは、分からないが、何か閃いた時にする仕草だ。
「あ! だから、エドナのドジは避けられないのか! 納得」
「はうう……、納得されても嬉しくないんだよ!」
もうすぐ、戦いが始まるのに、萎れるエドナ。
「会話も聞こえるわ~。悪魔と戦いたくないとかが聞こえるわ~。誰のことかな~?」
「カチュア、お前、天然とか言われないか?」
レオは呆れているような目をしているよ。こういう目って、ジト目って言うんだっけ?
「何か、変なこと言ったかしら~」
『一昨日、散々、悪魔扱いされていなかっけ?』
「ん? 確かに、昨日、悪魔と叫んで帰っていたけど~、魔人族の挨拶かな~?」
『確か、耳良かったよな? お前』
「そーだけど、どーして?」
相手に恐怖を受け付けたうえ、「悪魔」呼ばりされている。そのうえ、その「悪魔」は誰に対して放ったのが分かるのに、当の本人は気づいていない。てか、気づかないのは無理がある気がする。
ある意味、「狂」が付くのにふさわしいよな。確か、蒼色の狂女だっけ?
「さて、戦闘モードに行きますか!」
ただでさえ体が大きい、レインの体が、さらに、どんどん、大きくなっていた。同時に、レインの武器となる槍も、それに比例して、大きくなっていく。
もう、倍以上大きくなっていないか? 通常の大きさでも、顔が見えなかったのに、さらに顔が見えなくなっていた。
あ! 顔は光っているから、見えなかったんだ!
「わー、さらに大きんだよ!」
「巨人族は体を大きくできるッス。ちなみに、武器は強化魔術の応用で、装備者の体格に合わせて、大きさが変わるッス。欠点は大きさは変えられても、重さは変わらないッス」
その亜種の戦い方に対応した、技術があるのか。奥が深いな。
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