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28話 現在 東条
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「犯罪か。そうだね、これは一般的には罪を犯している。しかしそれはあくまで法律上の話で、この地下まで世間の法律を届かせなければいい。この場所を法律の外に置くことこそ、私のやりたいことでね。
世間体やしがらみの中で生きる人間たちの本来の姿をこの場所で発現させたいんだ。そのためには私は、まず人間の三大欲求である“性欲”から始めることにした。
“食欲”“睡眠欲”は満たされることが多いがこの最後の欲だけはこの社会の中で満たすことが最も難しい。
この施設なら、気にしなくてもいい。十代~七十代まで多くの子たちが在籍していてね。七十の老婆が利用されている所なんて、傑作さ。今度見せてあげよう。」
「すごいね、ここはあなたの国ってわけだ。ここで何をするにも、権限はすべてあなたが持っている。」
「一つの王国かもしれない。だが、この国は“自由”が売りだからね。この場所の自由を奪わなければ、訪れた観光客が不満をもらすことはない。」
「国民、内側の人たちはどうなの?暴動は起こらない?」
「国民?彼らは“奴隷”だよ。奴隷に落ちたものは一生奴隷として使われる運命にある。嫌なら落ちる前から警戒するんだ。殴られる前に殴れ。殺される前に殺せ。法律や秩序ができる以前の世界が本来そういった形だったことを、今の人間たちは学ぼうとしない。
人道的配慮に欠ける?人の心というものがない?そんなことを言う前にもっと勉強し、自分の頭で考えたらどうだ。歴史を辿れば結局人間なんて、そんなものなんだ。」
自らの主張を振りかざすように話す男の表情は恍惚としていて、自信に満ち溢れていた。
男の考えの中には人間が生き物の進化の過程で得てきた“思いやり”や“自己犠牲”といった尊い考え方は全くない。
人や組織に貢献することで“幸福”を得たり、夕日が海岸線の向こう側に落ちていく光景に心が攫われたり。
そんな日常を度外視している。
それではまるで人間というより、動物だ。いや、動物に失礼だな、と思う。彼らは本能に従って生きているだけで、可愛らしいものだ。
自らの考えを持ち、本能に抗うこともせずに生きている分、この男の方がよっぽど汚らわしい。
「さて、この映像は保存させてもらい、アダルトビデオ会社に販売させてもらうことも、インターネットを用いて世界中に配信することも可能だ。もしそれが嫌なら・・・というわけだ。分かりやすいだろう?」
「はあ、非道い人なのね。それが嫌なら何をしたらいいの?」
「今から俺がすることに、反抗をするな。反抗して、俺に危害を加えてみろ、どうなるかわからんぞ。」
<19章>
男が舌を出し、唇を舐める。まず下着を脱がすか、んーどうするかな、と言い嬉しそうに悩んでいる。
「分かったな。そうだな、まずは・・・」
と言い、顔を近づけてきた。噛むなよ、と言う彼の唇をよく見ると噛み傷跡のようなものが残っている。
その傷跡は塞がっているにも関わらず呪いのようにくっきりと刻まれていた。三分。男はキスを好むらしく、様々なキスをした。
あまり気持ちの良いものではなかったが、特に抵抗はしない。
「はあ、君はやはり美しいね。」
キスを終えた男は、少し息を切らせながら顔を蒸気させている。発情した男の顔って少し面白いな、とどうでもいいことを考える。
世間体やしがらみの中で生きる人間たちの本来の姿をこの場所で発現させたいんだ。そのためには私は、まず人間の三大欲求である“性欲”から始めることにした。
“食欲”“睡眠欲”は満たされることが多いがこの最後の欲だけはこの社会の中で満たすことが最も難しい。
この施設なら、気にしなくてもいい。十代~七十代まで多くの子たちが在籍していてね。七十の老婆が利用されている所なんて、傑作さ。今度見せてあげよう。」
「すごいね、ここはあなたの国ってわけだ。ここで何をするにも、権限はすべてあなたが持っている。」
「一つの王国かもしれない。だが、この国は“自由”が売りだからね。この場所の自由を奪わなければ、訪れた観光客が不満をもらすことはない。」
「国民、内側の人たちはどうなの?暴動は起こらない?」
「国民?彼らは“奴隷”だよ。奴隷に落ちたものは一生奴隷として使われる運命にある。嫌なら落ちる前から警戒するんだ。殴られる前に殴れ。殺される前に殺せ。法律や秩序ができる以前の世界が本来そういった形だったことを、今の人間たちは学ぼうとしない。
人道的配慮に欠ける?人の心というものがない?そんなことを言う前にもっと勉強し、自分の頭で考えたらどうだ。歴史を辿れば結局人間なんて、そんなものなんだ。」
自らの主張を振りかざすように話す男の表情は恍惚としていて、自信に満ち溢れていた。
男の考えの中には人間が生き物の進化の過程で得てきた“思いやり”や“自己犠牲”といった尊い考え方は全くない。
人や組織に貢献することで“幸福”を得たり、夕日が海岸線の向こう側に落ちていく光景に心が攫われたり。
そんな日常を度外視している。
それではまるで人間というより、動物だ。いや、動物に失礼だな、と思う。彼らは本能に従って生きているだけで、可愛らしいものだ。
自らの考えを持ち、本能に抗うこともせずに生きている分、この男の方がよっぽど汚らわしい。
「さて、この映像は保存させてもらい、アダルトビデオ会社に販売させてもらうことも、インターネットを用いて世界中に配信することも可能だ。もしそれが嫌なら・・・というわけだ。分かりやすいだろう?」
「はあ、非道い人なのね。それが嫌なら何をしたらいいの?」
「今から俺がすることに、反抗をするな。反抗して、俺に危害を加えてみろ、どうなるかわからんぞ。」
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「分かったな。そうだな、まずは・・・」
と言い、顔を近づけてきた。噛むなよ、と言う彼の唇をよく見ると噛み傷跡のようなものが残っている。
その傷跡は塞がっているにも関わらず呪いのようにくっきりと刻まれていた。三分。男はキスを好むらしく、様々なキスをした。
あまり気持ちの良いものではなかったが、特に抵抗はしない。
「はあ、君はやはり美しいね。」
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