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「雨」
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──前略。
6月に入り、そちらはジメジメとした梅雨の時期に入ってきたんじゃないかなと想像を巡らせています。
濡れるのは嫌いだけど、雨は好きです。
どんよりとした暗色の雲。地面を打ち付ける雨粒。パシャパシャ跳ねる水しぶき。色とりどりの傘。
普段見られない街の顔とか。人々の生活も見慣れないものになったりとかして。思い出しちゃうな~。
こちらはまだまだ春の陽気ではありますが、本日はあいにくの雨らしいです。らしいというのは、深い深い森の中なので、嵐くらいの大雨じゃないと特に影響が出ないんだそうです。
ときおり、大きな葉っぱを伝って溜まった水がバシャー! って降ってくるんだとか。【地球】じゃ見られない現象ですよね。現象って呼べるほどのものじゃないですけど。
たまに聞こえてくるそんな音が、わたしの新たな楽しみになりそうです。
それでは、またメールしますね。
草々。
森井瞳──3023.6.1
***
「お客さん来ませんね~……」
「ふふふ。そうねぇ」
木工品を取り扱う〈ヌヌ工房〉には二人だけ。森井瞳とセフィリアです。いえ、フクロウのヌヌ店長もいますから、二人と一羽です。
二人はカウンターに肩を並べて、ぼんやりと窓の外を眺めています。外がわずかに薄暗いのは、明るく照らしてくれる陽虫の数がいつもより少ないからでしょうか。
心持ち、外を歩く人の数も少ないです。
こんな時こそ修行をするチャンスなのですが、セフィリアは何も言いません。
「やっぱり雨だからですかね~?」
「ふふふ。そうね」
同じようにセフィリアが返します。この問答も果たして何度目か。片手では足りないでしょう。それでも飽きずに何度も繰り返していました。
──雨。
シトシトと地を濡らす音も、ペシペシと窓を叩く音も、肌に纏わり付くような空気も。
瞳は、好きでした。
でもそれは【地球】のことであり、ここ〝森林街〟ユグードにはありません。
湿気でバネのような癖っ毛がレベルアップしてしまう点は一緒ですが。
セフィリアはおもむろに立ち上がると、薄緑のゆるく編んだ髪をかきあげながら、にっこりとして言うのです。
「今日はもう、店じまいしちゃいましょうか」
「ほへっ? いいんですか? まだ開店してから3時間くらいしか経ってませんけど」
お昼を過ぎたくらいで、まだまだ閉店まで時間があります。それまでに一人くらいお客さんが来てもおかしくはないのに、先輩は店を閉めてしまおうというのです。
「ヌヌ店長。どうしますか?」
専用の止まり木で身じろぎひとつしないフクロウのヌヌ店長が、宇宙のような眼差しを向けて頷きました。こちらも湿気のせいか、ずんぐりむっくりに磨きをかけていました。もっさもさです。
セフィリアがドアにぶら下がった看板をひっくり返して『close』にすると、いたずらっ子のような笑みを浮かべて、瞳に手招き。
「瞳ちゃん。ちょっと外を歩いてみない?」
「え? は、あい!」
よくわからないままに返事をし、スラリと伸びた背中を追いかけるように店を出ました。ヌヌ店長は目を細めて見送ります。
もはや日課となってしまったお散歩を繰り返している瞳にはわかりました。いつもより空気が重く、少し肌寒く、シンとした静寂が霧のように充満して、森の表情が違っていることに。
「頭上と足元に注意してね」
「へ? 上と、下……。ど、どっちを見ればぁ~……」
なんのこともなく、当たり前のように警告してくるセフィリアですが、おっちょこちょいの瞳には前を見ながら後ろを見なさいと言われているようなものでした。
うろたえても仕方がないので、とりあえず頭上に注目します。
雨の影響でしょうか。やはり、暖かい陽気と光を振りまいてくれる陽虫の数が減っていました。
【緑星】的には雨の天気ですが、ユグード的には雨ではなく、『曇りときどきバシャーン』な感じ。雲は見えませんけども。
不規則に遠くからバケツの水をぶちまけたような音が鼓膜に届きます。
「傘とか、持って出なくてもよかったんですか~?」
「見ての通り木が雨を遮ってくれているから、たまに降ってくる水に気をつければ問題ないわ」
後ろ手に組んで、一歩一歩踏みしめて歩く。緩んだ地面を確かめるように。それでも視線は下がりません。
「瞳ちゃんストップ」
「うっ?」
言われて立ち止まる瞳。
危ない危ない。あと一歩踏み出していたら水たまりに足を突っ込んでいるところでした。
高所から降ってきた水によってえぐられた地面に薄く水たまりが張り、泥で濁っています。そんなところがあちこちに点在していました。
「あ、ありがとうございます~。これのことか~……」
セフィリアの『足元に注意しろ』という言葉をようやく理解。瞳のよく知る雨とは違いますから、油断していました。
〈ヌヌ工房〉の制服を汚すわけにはいきませんので、足元は要注意です。
「長靴とか履いてきたほうがよかったんじゃないですか~?」
「ゆっくり歩いて、しっかり見て、道を間違えないように気をつければ問題ないわ」
先ほどと似たようなことを言って、再び歩き出します。
今度は足元に気をつけつつも、チラリとセフィリアを見つめました。今日もやっぱり美しく、大人っぽい雰囲気を纏っていて、薄暗い森の中をまぶしく照らしています。
サラサラの髪も、長いまつ毛も、何もかもが羨ましく映りました。
「あ、瞳ちゃん。あそこ」
「あそこ?」
「パン屋さんの前。見てて」
指差されたほうへ注視してみても、そこには確かにパン屋さんがあるだけで、店の前にはこれといって見るものはありません。
どこを見ればいいのだろうと首を傾げたそのときです。
バシャーン!
大量の水が一気に落ちてきました。まさにセフィリアが指差した地点に。
なぜわかったのでしょうか? まるで未来予知のよう。
クリクリで無邪気な輝く目を向けると、察して答えてくれました。瞳は実にわかりやすい女の子です。
目は口ほどに物を言う、というのはどうやら本当のようです。
「わかるわけじゃなくってね、陽虫が教えてくれるのよ。水が落ちてきたところの真上を見てみて?」
パン屋さんの前から視線を上へスライドさせていくと、とある違和感を感じます。その部分だけ暗いような、陽虫が少ないような、そんな感じがします。
「陽虫が、さらに上から落ちてくる水に当たらないように避けるのよ。だから、陽虫のいないところから水が降ってくるってわかるの」
「ほうほう……陽虫が助けてくれてるんですね~」
人間を助けるつもりがあるのかはわかりませんが、結果として助けていることには変わりありません。
日の光を運んでくれたり、水の落ちてくる場所を教えてくれたり、素敵な出逢いへ導いてくれたり。
まさに森を守る妖精。
「感謝ですね~……」
思わず二拍一礼して拝む瞳。何を祈っているのかは知れませんが、きっと幸せなことでしょう。
そんな様子を優しく見守っていたせいか、気づくのが遅れました。
「あ、瞳ちゃ──」
バシャーン!
「ひびゃ~!? ちべたい!!」
両手を合わせて拝む瞳の頭上から、狙いすましたかのように水が落下。まるで滝修行のようでした。
一瞬にしてずぶ濡れになってしまった瞳。せっかく水たまりを回避したのに、それ以上の威力で襲撃されてしまいました。自然って恐ろしい。
「ふえぇぇ~……ご、ごめ──」
「だ、大丈夫よ瞳ちゃん、気にしなくても。制服の予備はあるから」
濡れ細った瞳に慌てて慰めの言葉をかけつつ、〈ヌヌ工房〉へ戻るために引き返します。人の目は少ないですが、以外と起伏に富んでいるので、洋服が張り付いていては色々とよろしくありません。
最初こそシュン、と落ち込んだように見えた瞳ですが、だんだんと肩が震え始めました。
「瞳ちゃん? 寒いの?」
「ふふ──あはは、あっはははは!」
瞳は凍えていたわけではなく、ただこみ上げてきた笑いを堪えていただけでした。溢れ出した笑いは、水を得て咲き誇る花のように、満開です。
「なんだかスッキリしちゃいました~! たまには濡れるのも悪くないですね~! とりゃ~!」
もはや吹っ切れたのか、陽虫の影がうすいポイントへ自ら突っ込んで行き、降ってくる水を浴びるように受け止めます。その姿は水場で元気にはしゃぐ犬のよう。
「うば~!」
バシャーン!!
「ふふふ。瞳ちゃんったら、楽しそうねぇ。……風邪引かなきゃいいけど」
困った笑みを浮かべて、落ちてくる水に飛び込む瞳を、陽虫と一緒に見守るのでした。
***
──前略。
雨の日のユグードをセフィリアさんとお散歩することになったのですが、わたしの不注意で水をバシャー! とかぶってしまいまして、それから楽しくなっちゃって水を浴びまくったのですが……。
風邪、引いちゃいました。
帰ってすぐにお風呂には入ったんですけどね……。うう……健康には自信あったのに。セフィリアさんのお手を煩わせていることのほうが、なんだか申し訳ないです。
なかなか風邪は引かないんですけど、わたしは一度引いちゃうと長引くタイプでして。
季節の変わり目は体調を崩しやすいので、そちらも気をつけてくださいね。雨に濡れたら、すぐにあったまってください。わたしのように風邪を引いてしまわないように。
またメールします。おやすみなさい。
草々。
森井瞳──3023.6.1
6月に入り、そちらはジメジメとした梅雨の時期に入ってきたんじゃないかなと想像を巡らせています。
濡れるのは嫌いだけど、雨は好きです。
どんよりとした暗色の雲。地面を打ち付ける雨粒。パシャパシャ跳ねる水しぶき。色とりどりの傘。
普段見られない街の顔とか。人々の生活も見慣れないものになったりとかして。思い出しちゃうな~。
こちらはまだまだ春の陽気ではありますが、本日はあいにくの雨らしいです。らしいというのは、深い深い森の中なので、嵐くらいの大雨じゃないと特に影響が出ないんだそうです。
ときおり、大きな葉っぱを伝って溜まった水がバシャー! って降ってくるんだとか。【地球】じゃ見られない現象ですよね。現象って呼べるほどのものじゃないですけど。
たまに聞こえてくるそんな音が、わたしの新たな楽しみになりそうです。
それでは、またメールしますね。
草々。
森井瞳──3023.6.1
***
「お客さん来ませんね~……」
「ふふふ。そうねぇ」
木工品を取り扱う〈ヌヌ工房〉には二人だけ。森井瞳とセフィリアです。いえ、フクロウのヌヌ店長もいますから、二人と一羽です。
二人はカウンターに肩を並べて、ぼんやりと窓の外を眺めています。外がわずかに薄暗いのは、明るく照らしてくれる陽虫の数がいつもより少ないからでしょうか。
心持ち、外を歩く人の数も少ないです。
こんな時こそ修行をするチャンスなのですが、セフィリアは何も言いません。
「やっぱり雨だからですかね~?」
「ふふふ。そうね」
同じようにセフィリアが返します。この問答も果たして何度目か。片手では足りないでしょう。それでも飽きずに何度も繰り返していました。
──雨。
シトシトと地を濡らす音も、ペシペシと窓を叩く音も、肌に纏わり付くような空気も。
瞳は、好きでした。
でもそれは【地球】のことであり、ここ〝森林街〟ユグードにはありません。
湿気でバネのような癖っ毛がレベルアップしてしまう点は一緒ですが。
セフィリアはおもむろに立ち上がると、薄緑のゆるく編んだ髪をかきあげながら、にっこりとして言うのです。
「今日はもう、店じまいしちゃいましょうか」
「ほへっ? いいんですか? まだ開店してから3時間くらいしか経ってませんけど」
お昼を過ぎたくらいで、まだまだ閉店まで時間があります。それまでに一人くらいお客さんが来てもおかしくはないのに、先輩は店を閉めてしまおうというのです。
「ヌヌ店長。どうしますか?」
専用の止まり木で身じろぎひとつしないフクロウのヌヌ店長が、宇宙のような眼差しを向けて頷きました。こちらも湿気のせいか、ずんぐりむっくりに磨きをかけていました。もっさもさです。
セフィリアがドアにぶら下がった看板をひっくり返して『close』にすると、いたずらっ子のような笑みを浮かべて、瞳に手招き。
「瞳ちゃん。ちょっと外を歩いてみない?」
「え? は、あい!」
よくわからないままに返事をし、スラリと伸びた背中を追いかけるように店を出ました。ヌヌ店長は目を細めて見送ります。
もはや日課となってしまったお散歩を繰り返している瞳にはわかりました。いつもより空気が重く、少し肌寒く、シンとした静寂が霧のように充満して、森の表情が違っていることに。
「頭上と足元に注意してね」
「へ? 上と、下……。ど、どっちを見ればぁ~……」
なんのこともなく、当たり前のように警告してくるセフィリアですが、おっちょこちょいの瞳には前を見ながら後ろを見なさいと言われているようなものでした。
うろたえても仕方がないので、とりあえず頭上に注目します。
雨の影響でしょうか。やはり、暖かい陽気と光を振りまいてくれる陽虫の数が減っていました。
【緑星】的には雨の天気ですが、ユグード的には雨ではなく、『曇りときどきバシャーン』な感じ。雲は見えませんけども。
不規則に遠くからバケツの水をぶちまけたような音が鼓膜に届きます。
「傘とか、持って出なくてもよかったんですか~?」
「見ての通り木が雨を遮ってくれているから、たまに降ってくる水に気をつければ問題ないわ」
後ろ手に組んで、一歩一歩踏みしめて歩く。緩んだ地面を確かめるように。それでも視線は下がりません。
「瞳ちゃんストップ」
「うっ?」
言われて立ち止まる瞳。
危ない危ない。あと一歩踏み出していたら水たまりに足を突っ込んでいるところでした。
高所から降ってきた水によってえぐられた地面に薄く水たまりが張り、泥で濁っています。そんなところがあちこちに点在していました。
「あ、ありがとうございます~。これのことか~……」
セフィリアの『足元に注意しろ』という言葉をようやく理解。瞳のよく知る雨とは違いますから、油断していました。
〈ヌヌ工房〉の制服を汚すわけにはいきませんので、足元は要注意です。
「長靴とか履いてきたほうがよかったんじゃないですか~?」
「ゆっくり歩いて、しっかり見て、道を間違えないように気をつければ問題ないわ」
先ほどと似たようなことを言って、再び歩き出します。
今度は足元に気をつけつつも、チラリとセフィリアを見つめました。今日もやっぱり美しく、大人っぽい雰囲気を纏っていて、薄暗い森の中をまぶしく照らしています。
サラサラの髪も、長いまつ毛も、何もかもが羨ましく映りました。
「あ、瞳ちゃん。あそこ」
「あそこ?」
「パン屋さんの前。見てて」
指差されたほうへ注視してみても、そこには確かにパン屋さんがあるだけで、店の前にはこれといって見るものはありません。
どこを見ればいいのだろうと首を傾げたそのときです。
バシャーン!
大量の水が一気に落ちてきました。まさにセフィリアが指差した地点に。
なぜわかったのでしょうか? まるで未来予知のよう。
クリクリで無邪気な輝く目を向けると、察して答えてくれました。瞳は実にわかりやすい女の子です。
目は口ほどに物を言う、というのはどうやら本当のようです。
「わかるわけじゃなくってね、陽虫が教えてくれるのよ。水が落ちてきたところの真上を見てみて?」
パン屋さんの前から視線を上へスライドさせていくと、とある違和感を感じます。その部分だけ暗いような、陽虫が少ないような、そんな感じがします。
「陽虫が、さらに上から落ちてくる水に当たらないように避けるのよ。だから、陽虫のいないところから水が降ってくるってわかるの」
「ほうほう……陽虫が助けてくれてるんですね~」
人間を助けるつもりがあるのかはわかりませんが、結果として助けていることには変わりありません。
日の光を運んでくれたり、水の落ちてくる場所を教えてくれたり、素敵な出逢いへ導いてくれたり。
まさに森を守る妖精。
「感謝ですね~……」
思わず二拍一礼して拝む瞳。何を祈っているのかは知れませんが、きっと幸せなことでしょう。
そんな様子を優しく見守っていたせいか、気づくのが遅れました。
「あ、瞳ちゃ──」
バシャーン!
「ひびゃ~!? ちべたい!!」
両手を合わせて拝む瞳の頭上から、狙いすましたかのように水が落下。まるで滝修行のようでした。
一瞬にしてずぶ濡れになってしまった瞳。せっかく水たまりを回避したのに、それ以上の威力で襲撃されてしまいました。自然って恐ろしい。
「ふえぇぇ~……ご、ごめ──」
「だ、大丈夫よ瞳ちゃん、気にしなくても。制服の予備はあるから」
濡れ細った瞳に慌てて慰めの言葉をかけつつ、〈ヌヌ工房〉へ戻るために引き返します。人の目は少ないですが、以外と起伏に富んでいるので、洋服が張り付いていては色々とよろしくありません。
最初こそシュン、と落ち込んだように見えた瞳ですが、だんだんと肩が震え始めました。
「瞳ちゃん? 寒いの?」
「ふふ──あはは、あっはははは!」
瞳は凍えていたわけではなく、ただこみ上げてきた笑いを堪えていただけでした。溢れ出した笑いは、水を得て咲き誇る花のように、満開です。
「なんだかスッキリしちゃいました~! たまには濡れるのも悪くないですね~! とりゃ~!」
もはや吹っ切れたのか、陽虫の影がうすいポイントへ自ら突っ込んで行き、降ってくる水を浴びるように受け止めます。その姿は水場で元気にはしゃぐ犬のよう。
「うば~!」
バシャーン!!
「ふふふ。瞳ちゃんったら、楽しそうねぇ。……風邪引かなきゃいいけど」
困った笑みを浮かべて、落ちてくる水に飛び込む瞳を、陽虫と一緒に見守るのでした。
***
──前略。
雨の日のユグードをセフィリアさんとお散歩することになったのですが、わたしの不注意で水をバシャー! とかぶってしまいまして、それから楽しくなっちゃって水を浴びまくったのですが……。
風邪、引いちゃいました。
帰ってすぐにお風呂には入ったんですけどね……。うう……健康には自信あったのに。セフィリアさんのお手を煩わせていることのほうが、なんだか申し訳ないです。
なかなか風邪は引かないんですけど、わたしは一度引いちゃうと長引くタイプでして。
季節の変わり目は体調を崩しやすいので、そちらも気をつけてくださいね。雨に濡れたら、すぐにあったまってください。わたしのように風邪を引いてしまわないように。
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