【朗読台本】いろいろなおはなし

【3分朗読】本を開けば

本というものは非常に素敵なものですね。

毎日仕事をして、帰ってはすぐにご飯を食べて、そして寝る。そんな何も無い生活をしていた私に希望を見出してくれました。

私が生きるこの世界は、ただただ生きるために働いてお金を貰う。そのようなちんけなものに見えていました。
よく目を凝らしてみれば、新しい美しい世界が広がっていることにも気づかなかった私は、それはそれはつまらない日常を送っていたことでしょう。

一度(ひとたび)本を開けば、それは私の心に喜怒哀楽の感情をもたらし、また知識をも授けてくれる。

ある日は青年が幼い頃の記憶を頼りに、思い出の山へ出かける話。

ある日は自己犠牲を省みず、陰ながら誰かを支え、静かに消えてしまう報われない話。

ある日は花言葉で心情を表現したロマンチックな恋の話。


私は沢山のお話を読みました。


怖い話、楽しい話、悲しい話、沢山のお話を読んでまいりましたがいずれもどこか美しさを感じさせるものがありました。

本を読むうちに、私はこの世界の美しさに気づくことができたのです。


この世界は、儚く、今にも消えてしまいそうな脆い存在でありながらこんなにも輝いて見える。


私はこの美しい世界をいつでも見られるよう、なにかに残したいと考えました。


そこで私は昔から大好きだったカメラを手に取り、美しい景色や情景にカメラを向けたのです。


カシャ。


世界を切り取る音。


カシャ。


思い出を切り取る音。


カシャ。


歯切れの良い淡々とした音が世界のあらゆる場所で鳴り響く。


いつの間にか私のカメラロールは宝石箱のようにきらきらと輝いていました。


「あーこんなこともあったな。」


「ここ、あの時のだ!」


「いい思い出だったな。」


そんなことを口にしながら、思わず笑みが零れていました。


毎日働き詰めの生活、なんて窮屈な世界なんだろうと何度も思いました。


しかし決めつけていたのは自分自身で、様々な本から色々な人の世界、考え方を見てみるとこんなにも考え方は変わるのですね。


本を開く度に新たな世界が広がる。


本が私にとって新しい世界を構築していくのです。


そして私は今、自分の考えを伝えたくてこうして文を綴っています。
誰かが書いた本が私を救ったように、私が書いた文章も誰かを救うきっかけになればと願って。


この世界がつまらないと感じた時、生きるのが苦しくなってしまった時、ふとした瞬間に本を開いてみてください。


きっと貴方が思っている以上にこの世界は素晴らしく、美しいと思います。






新しい世界、知りたくないですか？





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終わり


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《後書き》

毎日の朗読のウォーミングアップになるような短い作品を書こうと思い書いてみたのですが、ただの私の感想文のようになってしまいました。

良ければ準備運動程度に考えて軽く読んでみてくださいね。