5 / 6
#5
しおりを挟む
あれから数日が経ち、あの少女に──波瑠花に会うことはなかったし、電話もかかってはこなかった。
だけどわたしは、勝手に登録された番号を消さずにそのままにしていた。気味が悪かったけれど、わたしの番号を知られてしまっているので、消去することに意味がないと思ったからだ。
そんなある日、部屋のベッドで寝転がりながらスマホの画像を整理していると、そのなかに撮った覚えのないムービーがあって、そのサムネイルは、灰色の鱗に見えなくもない、とても不気味な物だった。
なんだろ……これ……?
ちょっと怖いけど、やっぱり気になるので再生してみる。
『ごめんね! 違うの、違うの! ほんとうにごめんね!』
えっ……これって……あのときの……わたしの声?
『あー! やだ、ごめんごめん、ごめんなさい! ほんとにごめんなさいっ!』
どうやら、わたしが波瑠花に駆け寄ったときにスマホの動画撮影が起動していたらしく、サムネイルの正体は、そのムービーだった。ほとんどの画像は無茶苦茶なもので、指先のアップやアスファルトの道路ばかりだったけれど、そのなかに一瞬だけ、波瑠花の泣き顔がしっかりと映っていた。
嘘泣きと言っていた彼女。
でも、動画に記録されていた波瑠花の表情は、とてもそんなふうには見えなかった。
「マジ泣きじゃん、絶対に……」
びっくりして泣いただけ──ううん、違うと思う。やっぱ、情緒不安定なのかも。だけど、そう決めつけるには情報が足りないし、そもそも、わたしが知っている事といえば、彼女の名前と通っている中学校くらいだ。あ、それと携帯電話の番号も。
スマホの画面を閉じて横向き寝になる。
それからしばらくのあいだ、波瑠花について考えていた。
だけどわたしは、勝手に登録された番号を消さずにそのままにしていた。気味が悪かったけれど、わたしの番号を知られてしまっているので、消去することに意味がないと思ったからだ。
そんなある日、部屋のベッドで寝転がりながらスマホの画像を整理していると、そのなかに撮った覚えのないムービーがあって、そのサムネイルは、灰色の鱗に見えなくもない、とても不気味な物だった。
なんだろ……これ……?
ちょっと怖いけど、やっぱり気になるので再生してみる。
『ごめんね! 違うの、違うの! ほんとうにごめんね!』
えっ……これって……あのときの……わたしの声?
『あー! やだ、ごめんごめん、ごめんなさい! ほんとにごめんなさいっ!』
どうやら、わたしが波瑠花に駆け寄ったときにスマホの動画撮影が起動していたらしく、サムネイルの正体は、そのムービーだった。ほとんどの画像は無茶苦茶なもので、指先のアップやアスファルトの道路ばかりだったけれど、そのなかに一瞬だけ、波瑠花の泣き顔がしっかりと映っていた。
嘘泣きと言っていた彼女。
でも、動画に記録されていた波瑠花の表情は、とてもそんなふうには見えなかった。
「マジ泣きじゃん、絶対に……」
びっくりして泣いただけ──ううん、違うと思う。やっぱ、情緒不安定なのかも。だけど、そう決めつけるには情報が足りないし、そもそも、わたしが知っている事といえば、彼女の名前と通っている中学校くらいだ。あ、それと携帯電話の番号も。
スマホの画面を閉じて横向き寝になる。
それからしばらくのあいだ、波瑠花について考えていた。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
〈社会人百合〉アキとハル
みなはらつかさ
恋愛
女の子拾いました――。
ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?
主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。
しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……?
絵:Novel AI
とある高校の淫らで背徳的な日常
神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。
クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。
後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。
ノクターンとかにもある
お気に入りをしてくれると喜ぶ。
感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。
してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。
初愛シュークリーム
吉沢 月見
ライト文芸
WEBデザイナーの利紗子とパティシエールの郁実は女同士で付き合っている。二人は田舎に移住し、郁実はシュークリーム店をオープンさせる。付き合っていることを周囲に話したりはしないが、互いを大事に想っていることには変わりない。同棲を開始し、ますます相手を好きになったり、自分を不甲斐ないと感じたり。それでもお互いが大事な二人の物語。
第6回ライト文芸大賞奨励賞いただきました。ありがとうございます
ドラキュラ伯の水葬
つなかん
ライト文芸
かつては栄華を誇っていたルーマニアの貴族の娘、ナタリアとマリアは美しい双子だった。
外見はそっくりだが性格はまるで違った。ナタリアは精神不安定で亡くなった母親に似ており、明るいマリアを嫌悪しつつもその存在に救われていた。吸血症を患っているナタリアは『ドラキュラ伯』とあだ名をつけられ、いつもコンプレックスに苛まれていた。
王政が廃止され屋敷を追い出された双子は兄と共に危険を伴う政府の“仕事”を請け負うこととなる。しかし、二人の異常な関係に気づいた兄はナタリアを“密告”する。
「西ドイツに亡命すれば自由な世界が広がっている」マリアの言葉を信じ、ナタリアは船に乗る。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる