6畳間のお姫さま

黒巻雷鳴

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お姫さまの嗜み

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 しずけさのなか、おひめさまのおなかおとが、6畳間ろくじょうま領土りょうど全体ぜんたいにかわいらしくひびきました。だいぶと食事しょくじ時間じかんぎていたのです。

 さすがに寛大かんだいなおひめさまも、つよ苛立いらだちをかくせません。きょうのいままで、食事しょくじ時間じかんおくれたことはありませんでした。意図的いとてきに、おひめさまから食事しょくじらなかったことは何度なんどもありましたが、そのぎゃくはありなかったのです。

 ドアのまえっては、椅子いすにすわる。ドアのまえっては、椅子いすにすわる。おひめさまは何度なんどかそれをかえし、ついには、憤怒ふんど表情ひょうじょうかべて、しろいふわふわのベッドへこしをドスンとろしました。

 かんがえてみれば、昨夜さくやからおかあさんが家事かじをしている様子ようすはなく、1階いっかいからなんの物音ものおとこえてはきません。もしかしたら、どこかとおくへおものにでもかけたのでしょうか?

 でも、過保護かほごのおかあさんにかぎって、なにもわずにそとかけることなんてありません。おひめさまは仕方しかたなくベッドへよこたわると、もうすこしだけつことにしました。

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