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第2章 上級模範生徒集団、それが生徒会。
謎の風紀委員
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生徒会に関する詳しい情報の収集には、協力者が必要不可欠になる。
それも、生徒会役員から協力を得られれば理想的ではあるのだが、赴任したばかりの教師に心をひらいてくれるとは到底思えない。地道に誰かと信頼関係を構築するか、あるいは、弱味を握って強引に巻き込むしかなさそうだ。
次の授業のため、二階の職員室を出て上層階にある1年D組をめざして階段を昇っていると、なにやら上が騒がしいことに気づく。
そのまま階段を昇る。
原因はすぐにわかった。もうすぐ授業が始まる時間にもかかわらず、三人の男子生徒が階段踊り場で座り込み、陽気に大声を出してふざけていたからだ。
「ピー、ぺピポー!」
早く教室へ戻るように強い口調でうながすが、誰も聞く耳を持たず、注意を完全に無視して一本のエナジードリンクを仲良く回し飲みしていた。
「カァァァァッ! キクわぁ!」
「この喉ごしがたまらん……」
「ウへへへ……ヒッヒッヒ……ぱぁぴゅわぁ~」
呆けた表情で涎まで垂らす男子生徒たち。
よくエナジードリンクだけで恍惚状態になれるものだと、あきれ果てたのを通り越して感心させられる。
「んが? あらへん……空や……空やんけ、ボケぇぇぇ! 中身がもう無うなったァァァ!」
そんな彼らの一人が、鬼気迫る表情でプルトップ缶の中をのぞき込む。
「なあ、先生! エナド……エナドくれよぉぉぉぉぉ!!」
まるで、なにかに取り憑かれたかのような狂気の眼差しを向けて、その生徒は私の足にすがりついて震えた。
放課後に自販機で買えと、喉まで出かかったまさにその時──プリーツスカートを静かに揺らしながら、風紀委員の黒須が、穏やかな歩調で階段を降りて現れる。
「キミたち、もうすぐ授業の時間よ。それに指定場所以外での飲食は、校則で禁止だから」
黒須はそう言い終えるや否や、ブレザーの左ポケットから栄養補助食品のウエハース(バナナ味)の個包装を取り出して食べ始めた。いや、おまえも食べちゃダメだろう。
「チッ!」
「クソったれ!」
「おまえの家の米、腐ってるぞっ!」
教師の注意よりも風紀委員の発言力のほうが絶大のようで、男子生徒たちは謎の捨てゼリフを吐きながら、階段を駆け降りて逃げていった。
気がつけば、踊り場に二人きり。
黒須は黙々とただ、ウエハース(バナナ味)を食べながら私を見下ろしている。
お互いの沈黙が、ウエハース(バナナ味)の咀嚼音を私の耳にまで運ぶ。
黒須のあ……生徒会関係者から協力を得るとすれば、彼女が最適なのだろうか?
そんな思いを巡らせていると、授業開始のチャイムが校内に鳴り響いた。
「プピポー」
「僕のことなら、どうかお気になさらず。全校生徒が快適な学園生活をおくれるよう、僕だけが犠牲になって授業中もパトロールを続けますので、ご安心ください」
教師を前にしての堂々としたサボり発言が私を不安にさせるなか、黒須は無表情のまま、食べ終えたウエハース(バナナ味)の袋をブレザーの左ポケットにしまった。
「それでは毛利先生、失礼します」
目を閉じて軽く一礼した黒須は、きびすを返して降りてきた階段をまた昇っていく。
どうもつかめない性格の持ち主ではあるが、私の経験上、味方につけられれば頼れる存在になるであろう。生徒会だけでなく、彼女についても調べる必要がありそうだ。
うしろ姿を見送れば、プリーツスカートから水色の下着がバッチリと見えていた。
それも、生徒会役員から協力を得られれば理想的ではあるのだが、赴任したばかりの教師に心をひらいてくれるとは到底思えない。地道に誰かと信頼関係を構築するか、あるいは、弱味を握って強引に巻き込むしかなさそうだ。
次の授業のため、二階の職員室を出て上層階にある1年D組をめざして階段を昇っていると、なにやら上が騒がしいことに気づく。
そのまま階段を昇る。
原因はすぐにわかった。もうすぐ授業が始まる時間にもかかわらず、三人の男子生徒が階段踊り場で座り込み、陽気に大声を出してふざけていたからだ。
「ピー、ぺピポー!」
早く教室へ戻るように強い口調でうながすが、誰も聞く耳を持たず、注意を完全に無視して一本のエナジードリンクを仲良く回し飲みしていた。
「カァァァァッ! キクわぁ!」
「この喉ごしがたまらん……」
「ウへへへ……ヒッヒッヒ……ぱぁぴゅわぁ~」
呆けた表情で涎まで垂らす男子生徒たち。
よくエナジードリンクだけで恍惚状態になれるものだと、あきれ果てたのを通り越して感心させられる。
「んが? あらへん……空や……空やんけ、ボケぇぇぇ! 中身がもう無うなったァァァ!」
そんな彼らの一人が、鬼気迫る表情でプルトップ缶の中をのぞき込む。
「なあ、先生! エナド……エナドくれよぉぉぉぉぉ!!」
まるで、なにかに取り憑かれたかのような狂気の眼差しを向けて、その生徒は私の足にすがりついて震えた。
放課後に自販機で買えと、喉まで出かかったまさにその時──プリーツスカートを静かに揺らしながら、風紀委員の黒須が、穏やかな歩調で階段を降りて現れる。
「キミたち、もうすぐ授業の時間よ。それに指定場所以外での飲食は、校則で禁止だから」
黒須はそう言い終えるや否や、ブレザーの左ポケットから栄養補助食品のウエハース(バナナ味)の個包装を取り出して食べ始めた。いや、おまえも食べちゃダメだろう。
「チッ!」
「クソったれ!」
「おまえの家の米、腐ってるぞっ!」
教師の注意よりも風紀委員の発言力のほうが絶大のようで、男子生徒たちは謎の捨てゼリフを吐きながら、階段を駆け降りて逃げていった。
気がつけば、踊り場に二人きり。
黒須は黙々とただ、ウエハース(バナナ味)を食べながら私を見下ろしている。
お互いの沈黙が、ウエハース(バナナ味)の咀嚼音を私の耳にまで運ぶ。
黒須のあ……生徒会関係者から協力を得るとすれば、彼女が最適なのだろうか?
そんな思いを巡らせていると、授業開始のチャイムが校内に鳴り響いた。
「プピポー」
「僕のことなら、どうかお気になさらず。全校生徒が快適な学園生活をおくれるよう、僕だけが犠牲になって授業中もパトロールを続けますので、ご安心ください」
教師を前にしての堂々としたサボり発言が私を不安にさせるなか、黒須は無表情のまま、食べ終えたウエハース(バナナ味)の袋をブレザーの左ポケットにしまった。
「それでは毛利先生、失礼します」
目を閉じて軽く一礼した黒須は、きびすを返して降りてきた階段をまた昇っていく。
どうもつかめない性格の持ち主ではあるが、私の経験上、味方につけられれば頼れる存在になるであろう。生徒会だけでなく、彼女についても調べる必要がありそうだ。
うしろ姿を見送れば、プリーツスカートから水色の下着がバッチリと見えていた。
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