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4話目 優しいな

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「な、なんで?まだ日は高いですけど……」

「早めに帰ってきちゃダメか?寂しがってたみたいだしな。」

「いやそんなことないですはい。」



帰ってきてるのだったら声かけてくれればいいのに!焦ったじゃないかよ!あーびっくりした。楽しそうな顔しちゃって全くもう!


「あ、そういえばギルさん。僕水が飲みたくて…」

「ん?ああ、飲んでいいぞ?」

「いや、どう飲むのか分からない…と言いますか……。」


地球にいた頃あった蛇口は無く、謎の魔法陣があるのみ。実はちょっと触ってみたりしたのだが反応はなかったためお手上げだ。


「ここに手をかざせば水が出るぞ。説明してなかったな、すまなか……」

「え?なにもおきませんでしたよ?」

「……。」


ギルの眉間にシワが寄った。おかしいな。なんか変なこと言ったかな。


「うーん。こちらの世界に来る時、加護を神から授かるはずなのだが……」


加護???加護をつけてもらった記憶は無い。なんならエネルギーのおまけみたいな扱いだったしな。素直に「多分加護はないです。」と伝えると難しい顔になってしまった。え、もしかして僕やばい?唖然としている僕にギルは丁寧に話してくれた。


「ここの人間は皆体に血液と気が流れているんだ。魔法陣に触れたり言霊に乗せたりすると水が出たり火がついたりする。これは気の作用だ。ハルにはそれがないのかもしれない。」


え?じゃあ、1人だと水も飲めないってこと?しかも実用化されてるとしたらかなり僕生きづらいのでは。おいおい神様。気の流れって地球でもあったけど相当鍛錬を重ねた人がたどり着く境地的なんだろ?無理だ。僕に習得なんて。あのジジイ末代まで恨んでやろうか。っと落ち着け自分。ここで怒ったってなんも変わんないぞ!……変わんないんだよなぁ。なんかちょっと……

「……。」

「そんな悲観するな。お医者様に見てもらって、解決しないならば助け合えばいい。水は汲み取っておけばいいし、原始的な方法なら火でもなんでも起こせる。心配しなくてもなんとかなるから安心しなさい。だから泣くな。」

「?!」

手で涙を拭われるまで、自分が泣いてることに気づかなかった。さっきまで神様への怒りばっかりだったけど。そっか、僕怖いんだ。相手が地球人そっくりだったから忘れてた。ここは異世界で、人の作りも環境も違うんだった。

でも微笑みかけてくれる人がいるだけでこんなに安心するなんて、知らなかった。今までにもこんな人がいたなら……今と違う未来があったのかもなんて。
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