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閑話 イタリア共同演習9
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一人、二人と刀で攻撃をして相手の持ち点を少しずつ減らしていく。むろん夜神も相手からの攻撃をなるべく受けないようにしながら、ギリギリの所で勝負していく。
本隊と別働隊の挟み撃ちによりベルナルディ中佐率いる部隊は少しずつ数を減らしていく。そして数名になった頃に何とかして退路を見つけてベルナルディ中佐達は消えていった。
「夜神お疲れさん。後は元の場所に戻っていくだけだけど、気を抜くなよ。カルロ中佐は意外と粘るからな~最後までなにがおこるか分からんからな」
「了解!虎次郎も気をつけてね。庵君まだ動ける?動けそうなら作戦遂行するよ!」
「大丈夫です!動けます。このまま移動開始します」
「庵青年も気をつけろ~あんまり持ち点ないだろう?ゼロにならないように気をつけろ!少しでも点数のある人員は多いに越したことはないからな」
「分かりました。気をつけて元の場所に戻っていきます」
敬礼をして庵は移動する。それを見て夜神も移動開始する。
七海の作戦「鮭の母川回帰」海で過ごして、また元いた川に戻る。それを自分達に当てはめると、また元いた場所に戻るのだ。夜神は刀を納めるとまた、森の中を走っていく。
五時間に及ぶサバイバルゲームが終わろうとしている。何処からでも分かるのように花火が上がった。
やっと終わった。長かった。元の場所に戻る時にベルナルディ中佐と少しだけ対峙したが向こうも持ち点を気にしてか、すぐに引いてくれたので助かった。
サバイバルゲームに参加した軍人が広場に集められる。皆、色々とボロボロだったり、悔しくて顔を歪ましている者もいる。そしてお互いの軍の上層部の幹部が結果を発表する。
『今回の持ち点上位の三名を発表する。一位は日本軍の夜神凪中佐。二位はイタリア軍のカルロ・ベルナルディ中佐。三位は日本軍の七海虎次郎少佐の以上三名である。皆、拍手して互いを褒め称えるように!』
パチパチと拍手を皆が一斉にする。
何とか、今回も一位を取ることが出来た。ベルナルディ中佐とは僅かな差であると考えている。持ち点を述べてくれたら良いのだが、そこは曖昧にするので困ったものだ。
ベルナルディ中佐は悔しそうな顔をしている。だが、お互い力を出し合った軍の仲間だ。
好き嫌いはあるが、夜神はベルナルディ中佐の所まで行くと握手を求めるように手を出す。
『お互い、力を出し合った結果です。いい勝負でした。ありがとうございます』
『こちらこそ、中々いい勝負をありがとう。悔しいがやはり夜神中佐は強いな。まだまだ頑張らないといけない事を、改めて考えさせられたよ』
握手をして互いの健闘を褒める。するとベルナルディ中佐は突然ニッコリして夜神に聞いてくる
『勝者は相手国の人を指名して、観光する件だが夜神中佐は誰を指名するのだい?私なら喜んで指名を受けるよ!』
握手の握力が強まった。
中々離れそうにない。こちらは一生懸命に離れようとしているのにビクともしないのは何故なのだろう?
『あ~それですか・・・・・・イタリア軍の女性軍人のみなさ~ん!!』
夜神は何とかしてベルナルディ中佐の手から離れると、集団でいるイタリア軍の女性軍の所まで行く。
それを見ていたイタリア軍の男性達は『ぬおぉーー』や『やっぱり』『ちくしょー』と声が上がる。日本軍の皆さんは「毎回の事だねー」「おなじみの光景だー」と慣れている様子。
『観光案内をお願いしたいのですが、いいですか?』
夜神が少し遠慮気味にお願いすると、イタリア軍の女性達は嬉々として話しかけていく
『勿論よ!!』
『光栄だわ!夜神中佐からお願いされるとか』
『何が食べたい?』
『行きたい所とかある?』
『夜神中佐直々のご指名とか嬉しすぎる』
『女に生まれて良かった!』
と、黄色い歓声で勝者の相手国の軍人ご指名を喜んで承る女性軍と、落胆の色を見せる男性軍の二極化に七海は笑いそうになるのを必死に堪えて、肩をピクピクする
「日本軍の共同演習の名物だな。毎回の事だけどこの二極化かが面白すぎる」
「虎、笑いすぎ。あなたが考えたとんでも案でしょう。こうなることを分かっていいて言い出したんでしょう?」
「しきぶぅ~~人生楽しまなきゃ損だろ。夜神が勝者になるのは分かりきったことなんだから、それに便乗して何が悪い?」
七海は無精ひげを撫でて、式部の肩に手をポン!と置く。式部も虎次郎の言いたい事が何となくではあるが、分かるような気がするのでため息で答える。
いつ、何が起るか分からない自分達の状況。少しでも楽しでいたいと思うのは誰もが思うことだ。
虎次郎はお祭り男だが、その根源にあるのは「いつ、何時、自分はどうなるか分からない。だったら楽しもう」だ。周りを巻き込んでいくのは如何なもとかと思うが、それでも憎めないのは虎次郎が出している雰囲気もあるかもしれない。
夜神が相手国の女性軍人達と色々と打ち合わせをして、最期はお互い手を降って別れる。
それを見ていたベルナルディ中佐は「後期の共同演習こそは!!」と密かに呟いて己の闘志に火をつけているのを誰も知らなかった。
本隊と別働隊の挟み撃ちによりベルナルディ中佐率いる部隊は少しずつ数を減らしていく。そして数名になった頃に何とかして退路を見つけてベルナルディ中佐達は消えていった。
「夜神お疲れさん。後は元の場所に戻っていくだけだけど、気を抜くなよ。カルロ中佐は意外と粘るからな~最後までなにがおこるか分からんからな」
「了解!虎次郎も気をつけてね。庵君まだ動ける?動けそうなら作戦遂行するよ!」
「大丈夫です!動けます。このまま移動開始します」
「庵青年も気をつけろ~あんまり持ち点ないだろう?ゼロにならないように気をつけろ!少しでも点数のある人員は多いに越したことはないからな」
「分かりました。気をつけて元の場所に戻っていきます」
敬礼をして庵は移動する。それを見て夜神も移動開始する。
七海の作戦「鮭の母川回帰」海で過ごして、また元いた川に戻る。それを自分達に当てはめると、また元いた場所に戻るのだ。夜神は刀を納めるとまた、森の中を走っていく。
五時間に及ぶサバイバルゲームが終わろうとしている。何処からでも分かるのように花火が上がった。
やっと終わった。長かった。元の場所に戻る時にベルナルディ中佐と少しだけ対峙したが向こうも持ち点を気にしてか、すぐに引いてくれたので助かった。
サバイバルゲームに参加した軍人が広場に集められる。皆、色々とボロボロだったり、悔しくて顔を歪ましている者もいる。そしてお互いの軍の上層部の幹部が結果を発表する。
『今回の持ち点上位の三名を発表する。一位は日本軍の夜神凪中佐。二位はイタリア軍のカルロ・ベルナルディ中佐。三位は日本軍の七海虎次郎少佐の以上三名である。皆、拍手して互いを褒め称えるように!』
パチパチと拍手を皆が一斉にする。
何とか、今回も一位を取ることが出来た。ベルナルディ中佐とは僅かな差であると考えている。持ち点を述べてくれたら良いのだが、そこは曖昧にするので困ったものだ。
ベルナルディ中佐は悔しそうな顔をしている。だが、お互い力を出し合った軍の仲間だ。
好き嫌いはあるが、夜神はベルナルディ中佐の所まで行くと握手を求めるように手を出す。
『お互い、力を出し合った結果です。いい勝負でした。ありがとうございます』
『こちらこそ、中々いい勝負をありがとう。悔しいがやはり夜神中佐は強いな。まだまだ頑張らないといけない事を、改めて考えさせられたよ』
握手をして互いの健闘を褒める。するとベルナルディ中佐は突然ニッコリして夜神に聞いてくる
『勝者は相手国の人を指名して、観光する件だが夜神中佐は誰を指名するのだい?私なら喜んで指名を受けるよ!』
握手の握力が強まった。
中々離れそうにない。こちらは一生懸命に離れようとしているのにビクともしないのは何故なのだろう?
『あ~それですか・・・・・・イタリア軍の女性軍人のみなさ~ん!!』
夜神は何とかしてベルナルディ中佐の手から離れると、集団でいるイタリア軍の女性軍の所まで行く。
それを見ていたイタリア軍の男性達は『ぬおぉーー』や『やっぱり』『ちくしょー』と声が上がる。日本軍の皆さんは「毎回の事だねー」「おなじみの光景だー」と慣れている様子。
『観光案内をお願いしたいのですが、いいですか?』
夜神が少し遠慮気味にお願いすると、イタリア軍の女性達は嬉々として話しかけていく
『勿論よ!!』
『光栄だわ!夜神中佐からお願いされるとか』
『何が食べたい?』
『行きたい所とかある?』
『夜神中佐直々のご指名とか嬉しすぎる』
『女に生まれて良かった!』
と、黄色い歓声で勝者の相手国の軍人ご指名を喜んで承る女性軍と、落胆の色を見せる男性軍の二極化に七海は笑いそうになるのを必死に堪えて、肩をピクピクする
「日本軍の共同演習の名物だな。毎回の事だけどこの二極化かが面白すぎる」
「虎、笑いすぎ。あなたが考えたとんでも案でしょう。こうなることを分かっていいて言い出したんでしょう?」
「しきぶぅ~~人生楽しまなきゃ損だろ。夜神が勝者になるのは分かりきったことなんだから、それに便乗して何が悪い?」
七海は無精ひげを撫でて、式部の肩に手をポン!と置く。式部も虎次郎の言いたい事が何となくではあるが、分かるような気がするのでため息で答える。
いつ、何が起るか分からない自分達の状況。少しでも楽しでいたいと思うのは誰もが思うことだ。
虎次郎はお祭り男だが、その根源にあるのは「いつ、何時、自分はどうなるか分からない。だったら楽しもう」だ。周りを巻き込んでいくのは如何なもとかと思うが、それでも憎めないのは虎次郎が出している雰囲気もあるかもしれない。
夜神が相手国の女性軍人達と色々と打ち合わせをして、最期はお互い手を降って別れる。
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