ゲームに夢を託して、無双するのは駄目なのだろうか?~だって、折角の最強ですよ?~

bakauke16mai

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1章 リアナと俺と

森の熊さん

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暫く戦闘を繰り返していると、どうやらかなり進んでいたようだ。
周囲に生えていた木の色が、黒に近づいてきている。
それと同時に、モンスターの上部に表示されるLV表示も、かなり鬼畜仕様になってきている。

シャドウ・ウルフ LV20

それだけの情報が示されるカーソルは、未だ黄緑のままだが、このまま進んでいけば必ず赤く染まっていくだろう。
カーソルの色は、相手の戦闘力を比べたときの、難易度を示していると考えて良い。

「シャドウ……影。影を使う狼か?」

右手に握るデュランダルをしっかりと構え、俺は狼の瞳を捉えた。
この時だけは、能力の高さに感謝しても良いだろう。
視界に映る狼の身体が、体感にして一瞬。動体視力によって確認出来たのは、身体が影となる瞬間だった。

(この森は、巨木によって日光が遮られている。なら、警戒もせずに死角を狙ってくるはずッ!!)

そう考えながら、背後へと剣を振り抜いた。

「ギャンッ!!」

「ビンゴ!」

光の粒子となって爆散した狼を見て、俺はそう呟いた。


『LV UP』


視界上部にそんな表示が金色で出現した。

「ん?さっきまではこんなの無かったのに」

そう呟き、俺はステータスを表示させた。


ステータス

LV 14

職業 神(3)【+1修行神】

スキル 【全能(2)】(+成長補正)

HP 6000

MP 80万

平均能力 2600

装備 神鎧・ソロモン(全身) 神剣・デュランダル 神剣・フェニックス 無限収納
_________________________________

<修行神(二次職業)>

HPを職業の2000倍で固定する。
代償として、取得経験値が20%増加する。

~運営から~

この職業を取得したんだね!なら、今日から君も立派な戦闘狂だ!

______________________

~ヘルプ~

バグですか?

~運営~

仕様です♪


どうやら、俺はさらにチートに昇ったようだ。

「多分、2000倍でも普通は破格の性能なんだろうが、残念なことにそれ以上のHPがあったんだよなぁ」

そんなことを呟く余裕があるのも、慣れだろう。
もう、壊れた性能なことには慣れた。

「さて。運営は殴り飛ばすことを確定として、まだまだLV上げするか!」

そう意気込み、俺は再び森の中を彷徨う。

ふと、視界の隅に、大きな影を見た気がした。
その方向に視線を向けた瞬間、俺の視界にはソレが映っていた。

ブラッディ・ベアー BOSS 難易度 2

フィールド、森の木々に赤い線が走り、半円型の黄色い壁が展開された。

「つまり、もう逃げ場は無いってことか」

息荒く睨みつけてくるブラッディー・ベアーを見ながら、俺はそう呟いた。
未だに不明な情報も多い。
ただ分かるのは――

「面白い」
 
この熊が、確かな強さを持っていることだけだ。

『これより、第4フィールド<深淵に近き森>にてフィールドバトルが開始されます』

大きく、確かな声で、森の中にそんな言葉が流れた。
何処か無機質な声が告げた内容に驚いたのは俺だ。

「そんな事も報告されるのか……?」

半分呆れたともいえるはずだ。

『観戦するためには、銀貨2枚を支払い、特殊転移を行ってください。参加は不可です』

『バトル開始まで、1分』

その声が聞こえると同時に、視界が灰色に染まった。
俺の周りだけ、時間が止まったようだ。
しかし、視界左下には、58と表示されたタイマーが、刻々と減っていく。

「つまり、準備時間か」

納得した。

「さて。なら、心構えくらいはしておくか?」

そう呟き、大きく深呼吸をした。
今のところ、アイテムは何も持っていない。
武器もデュランダルしかないのだから、準備も何も無いはずだ。

『3..........2............1............開始!!!』

重低音が響くファンファーレが鳴り響き、視界から色が戻った。
同時に、ブラッディ・ベアーからの冷たい殺気を浴びせられる。

「グルゥ…ガアアァア!!!」

獣らしい咆哮を上げて、ブラッディ・ベアーは駆け出した。
その巨躯からは想像も出来ない速度で俺との距離を詰め、豪快に爪を振り下ろしてくる。

「おらっ!!」

それを、デュランダルを水平に置く形で受け止める。

「流石、最高位の剣だな」

剣へと衝突した爪は、その前にある手の皮膚すら切り裂いた。
驚愕したのだろう。今まで、防がれたことすらないのかもしれない。
限界まで見開かれた瞳を見て、俺は口元を吊り上げた。

「【炎の踊影】」

炎の妖精が、火の塊が、灯火が、生きているように飛行を始めた。
これこそ、この魔法の効果である、炎による踊りだ。
そして――

「ガァッ!?」

ブラッディ・ベアーは、その背中を何ものかに斬り付けられ、驚愕したように振り返った。
しかし、その場所には誰もいない。

直後。

ザシュッ!!

また、ブラッディ・ベアーの背には切り傷が付けられた。

これこそ、この魔法の本当に意味である。
影と一体化した炎。
それは、影のある全ての場所に生まれ、影を生み出し、増殖していく。

周囲を飛び回る炎たちは、次第にその数を大幅に増やしていった。
数秒毎に、大量の炎が生まれ、その度にブラッディ・ベアーは傷付いていく。

――高温過ぎる炎は、まるで斬られたような痕を残して傷を与える。

「さあ。仕上げだ。【炎の狂想曲デスマーチ】」

今日一番の、花火の準備が完成した。
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