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戦争編
二日目
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翌日の明朝。
昨日の戦闘から、今日は攻めてこないと予想していた。
だが、事態は思わぬ方向へと向かっていたのだ。
「うわああぁぁぁぁぁ!!?」
「ぎゃああぁぁぁぁぁ!!!」
悲痛な叫び、悲鳴が響き渡るのは、砦の”中”
用意されていた一万の軍勢は全て”餌”となっていた。
その中、俺とカレンは砦の屋上から平原と砦を見据えて、奥歯を噛み締めていた。
「それが狙いかッ!!」
「まさか、此処で魔物を使うとはね・・・・・・・・」
今、敵国の最奥に位置する場所にいた男を鑑定して理解した。
ゼスファイア帝国は、全ての生物を”道具”にしてしまったのだ。
それも、言葉通りに何かをするための道具へと。
魔力適正 奴隷化
この周辺にいる全ての生物が、昨日の魔道師軍との戦いの最中に道具へと変換されていた。
さらに、魔法も道具となる効果として、所有者が覚えていれば発動出来るようだった。
まさに、一本取られた状態だ。
「死体も復活する状態だから、本体を叩くよ?」
「了解!」
「”飛行”」
カレンを抱えて跳躍し、大空に飛び立った。
そのまま、平原を飛行して進んでいくと、遠目にテントが張られている。
周辺には、ほとんど騎士などは居らず、凶悪そうな魔物達が跋扈していた。
「やっぱり、多少の警戒はしてるか・・・・・・・・」
「でも、問題は無いんでしょう?」
「もちろん」
第一として、味方を玩ばれた時点でかなりキレているのだ。
これ以上見過ごすことも不可能だし、鬱憤を晴らす機会でもある。
それに、カレンがこんな状態にされたかもしれないという可能性があるだけで潰す理由になる。
此処で、一つだけ魔法について説明しよう。
魔法のほとんどは、詠唱というモノが存在せず、その名前を告げるだけで発動する。
それが、法則でもあるのだが、一つだけ例外があるのだ。
魔力適正につき、たった一つだけ存在する魔法
それだけは、詠唱を必要とする代わりに、一般とは天と地の差がある魔法を放てる。
ただ、俺の場合は魔力の調整が下手な所為で、馬鹿みたいに魔力が収縮されてしまうのだ。
結果として引き起こすのは、ただの厄災である。
しかし、今はその力を使おう。
『数多なる奇跡の星よ』
災厄と化すだけでこの”敵”を潰せるなら
『傲慢なる欲望の魂よ』
例え、禁術だろうが何だろうが
『焼き尽くす業火と迸る雷に飲み込まれ』
この手で掴んで、そして確実に敵を潰す。
『刹那の痛みによって消え去れ』
死ね。人を知らない外道が。
『炎皇雷蝶』
真っ赤な身体に、雷を纏った、巨大な蝶が現れた。
パタパタと羽を揺らしながらも、その姿からは底知れない圧迫を生み出す。
そして、一直線にテント目掛けて突き進んだ。
轟音と暴風、痺れと熱、そして悲鳴。
その全てが一斉に現実となって襲い掛かってきた。
激しい風に煽られながら、カレンを抱きしめて空中に留まる。
雷によって生み出された麻痺は、全て魔力で打ち消す。
熱は我慢で、カレンの分は氷で防ぐ。
悲鳴は知らん。
吹き荒れる風と煙と砂埃に巻き込まれたが、何ら問題も無いだろう。
ただ、たった一つだけ分かった事がある。
以前、公爵家で魔技を使用して封印した事があっただろう。
この”魔法”は、あれの数倍酷い。
何よりも、まったく制御できない所為でコッチにも被害が出てしまった。
詠唱中は、その魔法を使う術者の本質が表に現れる。
だから、若干厨二病状態の人みたいになるから、物凄く恥ずかしいのだ。
誰もいなかったことだけが幸いである。
こうして、二日目も終わった。
昨日の戦闘から、今日は攻めてこないと予想していた。
だが、事態は思わぬ方向へと向かっていたのだ。
「うわああぁぁぁぁぁ!!?」
「ぎゃああぁぁぁぁぁ!!!」
悲痛な叫び、悲鳴が響き渡るのは、砦の”中”
用意されていた一万の軍勢は全て”餌”となっていた。
その中、俺とカレンは砦の屋上から平原と砦を見据えて、奥歯を噛み締めていた。
「それが狙いかッ!!」
「まさか、此処で魔物を使うとはね・・・・・・・・」
今、敵国の最奥に位置する場所にいた男を鑑定して理解した。
ゼスファイア帝国は、全ての生物を”道具”にしてしまったのだ。
それも、言葉通りに何かをするための道具へと。
魔力適正 奴隷化
この周辺にいる全ての生物が、昨日の魔道師軍との戦いの最中に道具へと変換されていた。
さらに、魔法も道具となる効果として、所有者が覚えていれば発動出来るようだった。
まさに、一本取られた状態だ。
「死体も復活する状態だから、本体を叩くよ?」
「了解!」
「”飛行”」
カレンを抱えて跳躍し、大空に飛び立った。
そのまま、平原を飛行して進んでいくと、遠目にテントが張られている。
周辺には、ほとんど騎士などは居らず、凶悪そうな魔物達が跋扈していた。
「やっぱり、多少の警戒はしてるか・・・・・・・・」
「でも、問題は無いんでしょう?」
「もちろん」
第一として、味方を玩ばれた時点でかなりキレているのだ。
これ以上見過ごすことも不可能だし、鬱憤を晴らす機会でもある。
それに、カレンがこんな状態にされたかもしれないという可能性があるだけで潰す理由になる。
此処で、一つだけ魔法について説明しよう。
魔法のほとんどは、詠唱というモノが存在せず、その名前を告げるだけで発動する。
それが、法則でもあるのだが、一つだけ例外があるのだ。
魔力適正につき、たった一つだけ存在する魔法
それだけは、詠唱を必要とする代わりに、一般とは天と地の差がある魔法を放てる。
ただ、俺の場合は魔力の調整が下手な所為で、馬鹿みたいに魔力が収縮されてしまうのだ。
結果として引き起こすのは、ただの厄災である。
しかし、今はその力を使おう。
『数多なる奇跡の星よ』
災厄と化すだけでこの”敵”を潰せるなら
『傲慢なる欲望の魂よ』
例え、禁術だろうが何だろうが
『焼き尽くす業火と迸る雷に飲み込まれ』
この手で掴んで、そして確実に敵を潰す。
『刹那の痛みによって消え去れ』
死ね。人を知らない外道が。
『炎皇雷蝶』
真っ赤な身体に、雷を纏った、巨大な蝶が現れた。
パタパタと羽を揺らしながらも、その姿からは底知れない圧迫を生み出す。
そして、一直線にテント目掛けて突き進んだ。
轟音と暴風、痺れと熱、そして悲鳴。
その全てが一斉に現実となって襲い掛かってきた。
激しい風に煽られながら、カレンを抱きしめて空中に留まる。
雷によって生み出された麻痺は、全て魔力で打ち消す。
熱は我慢で、カレンの分は氷で防ぐ。
悲鳴は知らん。
吹き荒れる風と煙と砂埃に巻き込まれたが、何ら問題も無いだろう。
ただ、たった一つだけ分かった事がある。
以前、公爵家で魔技を使用して封印した事があっただろう。
この”魔法”は、あれの数倍酷い。
何よりも、まったく制御できない所為でコッチにも被害が出てしまった。
詠唱中は、その魔法を使う術者の本質が表に現れる。
だから、若干厨二病状態の人みたいになるから、物凄く恥ずかしいのだ。
誰もいなかったことだけが幸いである。
こうして、二日目も終わった。
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