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幼少期編

王都

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王都に到着した俺とリリナは、王都の中を歩いていた。
目指しているのはギルドと呼ばれる機関だ。
此処で登録すれば、五歳でもお金を稼ぐことが出来る。

そうすれば、生き抜くことも出来るのだ。
リリナには俺の魔力適正を幾つかと、スキルも少しだけ付与してある。
それは話してあるし、同意も貰っている。

リリナも、防衛手段を持たないと危険なのは理解しているのだ。
暫く歩き、ギルドらしき場所に辿り着いた。
中に入ると、そこにはかなり静かな空間があった。

別に、呑んだ暮れがいないとかそんな話じゃない。
目前に一人の男が倒れており、そしてその男の前にいる女性。
その周りに囲むように男達が立っており、その顔は唖然としたものだ。

微妙な空間の中を、俺は素通りして歩いた。
なんだか嫌な予感があったし、それに早く登録したかったからだ。
受付の女性も固まっていたが、俺が来た事で復帰した。


「どうしたの?」

「登録に来ました」


俺の発言に驚いたように、その女性は固まった。
まあ、流石に五歳でギルドに登録しようとする人はほとんどいないだろう。
女性は、困ったように笑って答えた。


「駄目よ。だって、冒険者は危ない仕事だもの」

「知ってます。それに、俺には戦う力がちゃんとあります」


力強く答えると、女性は少し真面目な顔で俺を見つめた。
俺も、しっかりとその瞳を見つめ返した。


「なら、試験を受けてもらいます」

「試験?」


女性が言った試験という言葉に、俺は首を傾げた。
女性は、そんな俺を置いて奥から一つの水晶を持って来た。
丁寧に布で包まれた水晶からは、僅かに魔力を感じる。


「この水晶に触れてください。もしも、それで金色の輝いたら良いでしょう」

「?分かった」


そう答えて、俺は水晶に触れた。


「へ?」


女性はそれだけで驚いた様子だったが、俺にはよく分からない。
しかし、それよりもこの現状が不可解だった。
水晶が、輝かしく金色に輝いているのだ。

それも、ギルド内を明るく照らすように爛々と。
その光景に見蕩れていると、後ろから魔力の高まりを感じた。
俺が選んだのは、”対処”と”適応”そして”反撃”の三つだ。

一瞬で横に跳躍した。
直後、俺のいた場所に雷が落下した。
それを避けた俺は、放った相手に突撃していた。

相手は、まさか避けて反撃してくるとは思っていなかったのだろう。
まったく対応出来ずに俺に殴られた。
その途端、俺の手が輝き魔法が発動する。


「”起死回生”」


そう俺が呟くと同時に、男は後ろに吹き飛んだ。
壁に激突して倒れた男の腹は、大きく凹んでいる。
その出来事に、ギルド内はまたもや静まった。

そこへ、ギルドの二階から人が降りてきた。
赤い髪を伸ばした綺麗な女性だ。
その瞳は、真っ直ぐ俺と先ほどの女性を見つめている。

ふと、俺は自分が探られているような感覚に陥った。
そして、女性の顔が大きく驚愕している。


(まさかッ!?)


「シッ!!」


俺は、女性の懐に一瞬で詰め寄り、腹に一撃を与えた。
背中を押さえたことで女性は吹き飛ぶことは無く、静かに気絶した。
俺は、そんな女性を見ながら複製を発動した。


【複製により、スキル”鑑定””鑑定妨害”を取得しました】


(やっぱり・・・・・・・・・)


俺は、予想が的中したことを実感した。
__________________________________
名前 リュウ・シルバー
LV 12
魔力適正 複製 神力 氷抵抗 炎電 保管庫 絶空 取得 炎剣 強奪 反撃 
     弱毒 閃光 付与 対処 適応
スキル 魔法技能 暗算 成長促進 剣術 成長補正 自然魔力 舞技 鑑定
    鑑定妨害
称号 女神の慈悲 女神の心 神々の黄昏 神の代行者
___________________________________

どうやら、鑑定を妨害するためのスキルも取得できたみたいだ。
でも、鑑定のスキルを取得したのが一番嬉しい。
これがあれば、魔力適正を複製するのがかなり楽になるからだ。

ホクホクとした気分の俺とは違い、ギルド内は騒然としていた。
この女性、実はギルドマスターだったのだ。
それを、五歳の子供が殴り倒したことによって騒ぎが起きている。

まあ、俺はそんなこと知ったこっちゃないんだけどね。
という訳で、先ほどの女性の場所に戻って来た。
そこでは、物凄い速さでカードを作成する女性が待っていた。


「あ!君、はい。これがギルドカードです。金色はほぼ全ての依頼を受けられるからね」

「ありがとうございます」


俺はお礼を言ってから、リリナと一緒にギルドを出た。
今日からは二人だけなため、まずは宿を取る必要があるのだ。
そうしなくては、寝る場所が無い。

そこへ、ギルドに入ったばかりの時にいた女性が走ってきた。
どうやらかなり疲れているようだが、俺に用事ではないだろう。
俺はリリナを促して先に進み始めた。


「ま、待って!」

「はい?」


まあ、呼びかけられたのだから答えるのは普通だろう。
女性というより、この人物は少女寄りの身長だ。
もしかして、そこまで俺と歳が変わらないのかも知れない。


「貴方、さっきギルドで金のカード貰ったよね!」

「まあ」

「一体、どんな手品をしたらそうなるの!?」

「手品?」


この少女が何を言いたいのかが分からない。
手品というが、俺は何もしていないし、する気も無い。
俺が首を傾げると、少女は頬を膨らませた。


「白々しいわね!赤の天才と呼ばれるこの私が聞いてるのよ!答えなさいよ!」

「?」


赤の天才とか言われても誰か知らないし。
それに、何よりも何もしていないのだからしょうがないだろう。
そこで、俺は昨日の鍛錬で騎士達が驚いていたのを思い出した。


「なら、明日の朝・・・・・・・そうだな。ギルドの裏にあった練習場に来てよ。俺の鍛錬を見せるから」

「・・・・・・・まあ、それで許してあげるわ」

「ありがとう。じゃあね!」


そう告げて、俺は歩き始めた。
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