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序章
さて、100年分くらいの金を稼ぐか(2)
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物語の世界で、エルフという存在は美男美女が多い。
人間から見れば理想過ぎる完璧な体付きをしていて、まさに精霊とも呼べる。
――なんていう常識は、この世界に存在しない。
まず第一に、エルフという種族自体を見たことのある人がどれくらいいるだろうか。
俺と、もう1人ある人物は見たことがあるが、それ以外で耳に挟んだことも無いのだから、やはり発見されていないのだろうか。
先日使った【転移】は時間制限のあるもので、一度使ってから1年間は使用することが出来ない。
まあ、違う魔法を使えば転移と同じことも出来るが、それはそれで面倒な準備が必要だ。
一言で、見知らぬ大地に飛べる。
これこそ理想の未知を探す魔法だと思うだろう。
「ふわぁ・・・・・・・・なんで死にそうなんだ?俺」
目を開けた先にあったのは、猛毒の塗られた槍。
体感出来るほどの速度で、ゆっくりとその穂先へと俺の体は下がっていき――
(<”査眼”>)
<邪ー「アウトだな」
最初の一文字、”邪”の時点で理解出来た。
この場所は、『人外圏』なのだな。
そして、その中で俺の索敵に捕まらない種族なんて1つしかいない。
「精霊族だな?」
答えは――ない。
ただ、降下する速度が少しだけズレたことから、正解だろう。
言葉を理解するが故に、俺の発言に動揺する。
技能と戦闘力、精霊術に関してはかなり高いが、生憎対人の心得は無いからな。
森と生きる精霊族にとって、獲物以外と戦うことは無い。
もっといえば、この森に『人型暴食邪種』は精霊族しかいなかったはずだ。
「【冷徹なる氷山の一撃】」
淡々と呟いただけで、魔力がほんの一握り消費されて槍ごと貫いた。
ついでに、俺の体も貫かれたが問題ない。
緑の輝きが、俺の貫かれた腹に集まり、数秒で再生された。
俺の種族は特殊で、その恩恵か”邪属性以外の攻撃全てで死ぬことは無い”という能力がある。
この森にある毒は全て”邪属性”だし、攻撃全てにも邪属性が含まれている。
だからこそ、俺は俺の魔法で破壊した。
まあ当然、精霊族から見れば俺は反抗したのだから敵と認識されるだろう。
(たしか、精霊族は金類を集めていたな)
森に無く、そして森を傷付けない硬貨や宝石を、精霊族は好んだはずだ。
肌に感じる程に殺気が高まる中、俺は『異空間』から宝石を大量に取り出した。
(さて、100年分くらいの金が稼げるだろう)
精霊族は、かなりの金持ちである。
使わないし、大量に溜める。
何故硬貨を持っているのかは謎しかないが、それでも充分に現代でも使える硬貨を大量に持っている。
この宝石を格安で売れば、もらえるだろう。
(名が確か――『虹極水晶』だっけか。人族に売ろうとしても売れないしな)
在庫処分にはもってこいの存在だと思う。
何よりも、宝石を出した時点から精霊族からの殺気が全て消えた。
代わりに、好奇心が大半を占めた視線を宝石が独占している。
人族の”国程度の金では足りないくらいに高価”らしいが、まあ大丈夫だろう。
声を大きくして、俺は告げた。
「貿易をしに来ただけだ」
<tips>
『精霊族の習性』
好奇心が有り余っているため、宝石や硬貨など、輝いた物を好んで集める。
また、それを提供してくれる者には敵意を見せず、友好に接してくれるという。
狩りには主に睡眠性のある矢を使い、熟睡したところを特殊な精霊術によって浮遊させ、猛毒のある槍で突き刺して殺す。
基本肉は食べない種族だが、その皮を使ったりと動物自体の狩りは行っている。
人間から見れば理想過ぎる完璧な体付きをしていて、まさに精霊とも呼べる。
――なんていう常識は、この世界に存在しない。
まず第一に、エルフという種族自体を見たことのある人がどれくらいいるだろうか。
俺と、もう1人ある人物は見たことがあるが、それ以外で耳に挟んだことも無いのだから、やはり発見されていないのだろうか。
先日使った【転移】は時間制限のあるもので、一度使ってから1年間は使用することが出来ない。
まあ、違う魔法を使えば転移と同じことも出来るが、それはそれで面倒な準備が必要だ。
一言で、見知らぬ大地に飛べる。
これこそ理想の未知を探す魔法だと思うだろう。
「ふわぁ・・・・・・・・なんで死にそうなんだ?俺」
目を開けた先にあったのは、猛毒の塗られた槍。
体感出来るほどの速度で、ゆっくりとその穂先へと俺の体は下がっていき――
(<”査眼”>)
<邪ー「アウトだな」
最初の一文字、”邪”の時点で理解出来た。
この場所は、『人外圏』なのだな。
そして、その中で俺の索敵に捕まらない種族なんて1つしかいない。
「精霊族だな?」
答えは――ない。
ただ、降下する速度が少しだけズレたことから、正解だろう。
言葉を理解するが故に、俺の発言に動揺する。
技能と戦闘力、精霊術に関してはかなり高いが、生憎対人の心得は無いからな。
森と生きる精霊族にとって、獲物以外と戦うことは無い。
もっといえば、この森に『人型暴食邪種』は精霊族しかいなかったはずだ。
「【冷徹なる氷山の一撃】」
淡々と呟いただけで、魔力がほんの一握り消費されて槍ごと貫いた。
ついでに、俺の体も貫かれたが問題ない。
緑の輝きが、俺の貫かれた腹に集まり、数秒で再生された。
俺の種族は特殊で、その恩恵か”邪属性以外の攻撃全てで死ぬことは無い”という能力がある。
この森にある毒は全て”邪属性”だし、攻撃全てにも邪属性が含まれている。
だからこそ、俺は俺の魔法で破壊した。
まあ当然、精霊族から見れば俺は反抗したのだから敵と認識されるだろう。
(たしか、精霊族は金類を集めていたな)
森に無く、そして森を傷付けない硬貨や宝石を、精霊族は好んだはずだ。
肌に感じる程に殺気が高まる中、俺は『異空間』から宝石を大量に取り出した。
(さて、100年分くらいの金が稼げるだろう)
精霊族は、かなりの金持ちである。
使わないし、大量に溜める。
何故硬貨を持っているのかは謎しかないが、それでも充分に現代でも使える硬貨を大量に持っている。
この宝石を格安で売れば、もらえるだろう。
(名が確か――『虹極水晶』だっけか。人族に売ろうとしても売れないしな)
在庫処分にはもってこいの存在だと思う。
何よりも、宝石を出した時点から精霊族からの殺気が全て消えた。
代わりに、好奇心が大半を占めた視線を宝石が独占している。
人族の”国程度の金では足りないくらいに高価”らしいが、まあ大丈夫だろう。
声を大きくして、俺は告げた。
「貿易をしに来ただけだ」
<tips>
『精霊族の習性』
好奇心が有り余っているため、宝石や硬貨など、輝いた物を好んで集める。
また、それを提供してくれる者には敵意を見せず、友好に接してくれるという。
狩りには主に睡眠性のある矢を使い、熟睡したところを特殊な精霊術によって浮遊させ、猛毒のある槍で突き刺して殺す。
基本肉は食べない種族だが、その皮を使ったりと動物自体の狩りは行っている。
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