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ただの片思い
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「本当、大したことなくてよかった」
祖父が母に連れられ、屋敷に戻った。本当にただの過労だったようで、点滴を数本打ってもらい、帰されたとのことだった。
「気ばかり若くても、年だな」
そう言って苦笑いする祖父に、そんなことないよ、と言えばいいのか、そうだよ、と言えばいいのかわからず、黙る。
「あずさ、今週末。わかってるわよね?」
母、佳子が容赦なく念を押してきた。この状況でNOと言えるほど鋼の心臓は持ち合わせていない。あずさは黙って頷いた。
「それと、今週はおじいちゃんずっとこっちなんだけど、お母さん金曜だけどうしても抜けられない会議があるの。休み、取れる?」
「多分大丈夫。じゃ、木曜の夜にこっちに来るね」
「お願いね」
そんな約束を交わし、夕飯も食べずに自宅に戻る。明日の仕事に差し支えないよう、早めに帰りたかったのだ。
やはり自分の家が一番落ち着く、などと年寄じみたことを考えていると、携帯の着信音が鳴った。見ると、奥田里美、の文字。会社でなにかあったのだろうか、と、慌てて出る。
「もしもし、里美ちゃん? なにかあった?」
『あ、吉宮先輩! あ、えっと、お爺様は、』
「ああ、うん、大丈夫。本当にただの過労だったみたいで、休養を取れば問題ないって」
『それならよかったです! あの、実はプライベートなことなんですけど、ちょっと話を聞いてほしくて……』
「うん、いいわよ。今どこ? 外で会う? それとも、うちに来る?」
『いいんですかっ?』
「私はもう戻ってるから、大丈夫。場所、わかるよね?」
『はい! あと三十分くらいで行けます!』
ということで、急遽里美が自宅に来ることになった。冷蔵庫を漁る。酒のツマミになりそうなものをさっと作り待つことにする。アルコールは多分……里美が買ってくるだろう。
三品目を作り終えたところで玄関のチャイムが鳴る。ドアを開けると、コンビニの袋を掲げ、里美が
「来ちゃいました」
と言った。
早速女子会の開始だ。
里美とはこうして何度か家飲みをしたことがあった。よく出来た子で、可愛くてちやほやされてきただろうに、奢り高ぶるような態度は一切ない、サバサバ系女子である。
「うわ、じゃあいよいよ週末にお見合いなんですかっ?」
実家での話をすると、里美が眉間に皺を寄せ同情的な意見を述べる。
「誰か先輩を攫ってくれる人がいたらいいんですけどねぇ~」
そう言われ、何故か雪光の顔が浮かぶ。
(何考えてるの、私っ)
慌てて妄想をかき消した。
「それはそうと、どうしたの? なに? 誰かに告白でもされた?」
あずさが訊ねると、里美が驚いた顔であずさを見る。
「え? なんでわかったんですかぁぁ?」
ビンゴ、だ。
「なんとなく、ね。里美ちゃん、真面目だから。どうやって断ったら仕事に支障が出ないか、とか考えてるんでしょ?」
「えええっ? そこまでっ?」
「相手は……後藤君か」
「きゃ~! 先輩怖い! 予言者? エスパー? えええっ?」
本気で驚く里美を前に、思わず笑いがこぼれる。
「あはは、やだな、エスパーって何よ。っていうか、後藤君見てたらわかるわよ。いつもラブビーム出してたし」
「ラブ……ビーム、」
里美が繰り返した。全く気付かなかったようだ。
「で、彼はあえなく撃沈するわけか~。いい子だと思うんだけど、なにが駄目?」
訊ねると、里美は缶チューハイをぐっと飲み干し、
「駄目なわけじゃないですよ。ただ、私……、」
「え? 好きな人がいるってこと?」
言われる前に、口にしてしまう。
「やっぱり能力者~!」
里美に指をさされる。
「いや、だって告白されて、相手は別に駄目じゃなくて、でも断ろうとしてて、彼氏はいない……ってことは気になる人がいるっていう一択じゃない?」
笑って答える。
「そっか」
里美が納得したように頷いた。
「相手はどこの誰? うちの会社の人?」
「いえ、それがうちの会社の人ではないんですけどぉ」
歯切れが悪い。
「……関係先?」
「……です」
なるほど。
あずさの勤める会社には、よく関係先の会社の人間が出入りするのだ。社内の男性に限らず異性との接点は多く、実際それで結婚した女子社員もいる。同じ会社ではないから気を遣うこともなく、関係を持ちやすい、ということもあるようだった。
「どのくらい仲良くなったの?」
挨拶程度なのか、ご飯くらいは一緒に行けたのか。
「この前初めて声を掛けました。こんにちは、って」
「遅っ」
「だぁって、すごく人気なんですよ、彼! 他所の部署の子が狙ってたみたいで、声掛けて仲良くなったんだけど、連絡先の交換はしてくれないし食事に誘っても絶対断られるって。もうちゃんとした彼女がいるんじゃないかって噂になってて、だから……」
「なるほど」
世の中、早い者勝ちなのだ。いい物件ほど、早くに埋まっていく。そこまで優良物件なのかどうかは知らないが、里美が惚れるくらいなのだから、きっといい人なのだろう。
「私も協力するから、頑張りなさいよ」
「ほんとですかっ?」
「可愛い後輩のためだもん」
「やった~!」
無邪気に喜ぶ里美は、同性であるあずさから見ても魅力的で、本当に可愛いのだった。
「で、後藤先輩はどうしましょう?」
里美に言われ、
「正直に言えばいいと思う。気になる人がいるので、って」
「わかりました。そうします」
里美にフラれて落ち込む後藤のフォローをすることになるのだな、と思い、少しだけ彼に同情しつつ、ポテトサラダを口に運ぶあずさだった。
◇◇◇
自宅に帰り、数日が経った。
仕事中、ふいに呼び止められる。
「先輩っ!」
「里美ちゃん、どうかした?」
「こっちこっち!」
手を引かれ、エレベーターの方へと誘導される。今、まさにエレベーターの扉が閉まろうという瞬間、里美が小さな声で、
「あの方なんですっ」
と耳打ちをする。
じっと目を凝らすと、エレベーターに乗っていた男性とパチッと目が合ってしまった。すると、その男性がこちらに向けて手を振るのが見えたのだ。
「え? 手、振ったよ、今」
閉まり切った扉を指し、あずさが言う。
「えっ? 本当ですかっ? 先輩お知り合いなんですか?」
「は? 違うけど? 里美ちゃんに振ったんじゃなく?」
「私まだ顔見知り程度で親しいわけじゃないんですけどっ」
「……じゃ、私たちの後ろに誰かいたのかしらね?」
振り返るが、今は誰もいなかった。
「ああ、今日もカッコよかったなぁ~」
うっとり顔で目を閉じる里美を見て、あずさはほっこりした気持ちになるのだった。
恋する乙女は可愛い生き物である。
デスクに戻ると、携帯電話が点滅していた。見ると、母からのメッセージが入っている。
『週末のお見合いはおじいちゃんちで行います』
「え? 家でやるの?」
思わず声が出る。
『あずさは木曜の夜から泊まり込みになるのでしょ? ちゃんと準備しておくように!』
祖父の世話だけのつもりでいたが、見合いがあるというならそれなりの服も持っていかなければならない。少しばかり面倒だが、都内のホテルでやるよりは気楽なのかもしれないと思い直す。
「まったく……」
携帯を置き、仕事に戻る。金曜日に有給を申請した手前、少し多めに雑務をこなしておかなくてはならない。あずさは背筋を伸ばし、パソコンに向かった。
「……あのぅ、吉宮先輩、」
申し訳なさそうに声を掛けてきたのは、後藤正真だ。これは多分、例の話……、
「今日って、夜、お暇ですかぁ?」
しょぼくれた顔を見て思う。なるほど、時が来たのだ。
「仕方ないなぁ、一軒だけだよ?」
里美にフラれたやけ酒に付き合わなくてはいけないのは面倒だが、これも後輩のため。あずさは目の前の書類に目を落とし、ふぅ、と息を吐いた。
祖父が母に連れられ、屋敷に戻った。本当にただの過労だったようで、点滴を数本打ってもらい、帰されたとのことだった。
「気ばかり若くても、年だな」
そう言って苦笑いする祖父に、そんなことないよ、と言えばいいのか、そうだよ、と言えばいいのかわからず、黙る。
「あずさ、今週末。わかってるわよね?」
母、佳子が容赦なく念を押してきた。この状況でNOと言えるほど鋼の心臓は持ち合わせていない。あずさは黙って頷いた。
「それと、今週はおじいちゃんずっとこっちなんだけど、お母さん金曜だけどうしても抜けられない会議があるの。休み、取れる?」
「多分大丈夫。じゃ、木曜の夜にこっちに来るね」
「お願いね」
そんな約束を交わし、夕飯も食べずに自宅に戻る。明日の仕事に差し支えないよう、早めに帰りたかったのだ。
やはり自分の家が一番落ち着く、などと年寄じみたことを考えていると、携帯の着信音が鳴った。見ると、奥田里美、の文字。会社でなにかあったのだろうか、と、慌てて出る。
「もしもし、里美ちゃん? なにかあった?」
『あ、吉宮先輩! あ、えっと、お爺様は、』
「ああ、うん、大丈夫。本当にただの過労だったみたいで、休養を取れば問題ないって」
『それならよかったです! あの、実はプライベートなことなんですけど、ちょっと話を聞いてほしくて……』
「うん、いいわよ。今どこ? 外で会う? それとも、うちに来る?」
『いいんですかっ?』
「私はもう戻ってるから、大丈夫。場所、わかるよね?」
『はい! あと三十分くらいで行けます!』
ということで、急遽里美が自宅に来ることになった。冷蔵庫を漁る。酒のツマミになりそうなものをさっと作り待つことにする。アルコールは多分……里美が買ってくるだろう。
三品目を作り終えたところで玄関のチャイムが鳴る。ドアを開けると、コンビニの袋を掲げ、里美が
「来ちゃいました」
と言った。
早速女子会の開始だ。
里美とはこうして何度か家飲みをしたことがあった。よく出来た子で、可愛くてちやほやされてきただろうに、奢り高ぶるような態度は一切ない、サバサバ系女子である。
「うわ、じゃあいよいよ週末にお見合いなんですかっ?」
実家での話をすると、里美が眉間に皺を寄せ同情的な意見を述べる。
「誰か先輩を攫ってくれる人がいたらいいんですけどねぇ~」
そう言われ、何故か雪光の顔が浮かぶ。
(何考えてるの、私っ)
慌てて妄想をかき消した。
「それはそうと、どうしたの? なに? 誰かに告白でもされた?」
あずさが訊ねると、里美が驚いた顔であずさを見る。
「え? なんでわかったんですかぁぁ?」
ビンゴ、だ。
「なんとなく、ね。里美ちゃん、真面目だから。どうやって断ったら仕事に支障が出ないか、とか考えてるんでしょ?」
「えええっ? そこまでっ?」
「相手は……後藤君か」
「きゃ~! 先輩怖い! 予言者? エスパー? えええっ?」
本気で驚く里美を前に、思わず笑いがこぼれる。
「あはは、やだな、エスパーって何よ。っていうか、後藤君見てたらわかるわよ。いつもラブビーム出してたし」
「ラブ……ビーム、」
里美が繰り返した。全く気付かなかったようだ。
「で、彼はあえなく撃沈するわけか~。いい子だと思うんだけど、なにが駄目?」
訊ねると、里美は缶チューハイをぐっと飲み干し、
「駄目なわけじゃないですよ。ただ、私……、」
「え? 好きな人がいるってこと?」
言われる前に、口にしてしまう。
「やっぱり能力者~!」
里美に指をさされる。
「いや、だって告白されて、相手は別に駄目じゃなくて、でも断ろうとしてて、彼氏はいない……ってことは気になる人がいるっていう一択じゃない?」
笑って答える。
「そっか」
里美が納得したように頷いた。
「相手はどこの誰? うちの会社の人?」
「いえ、それがうちの会社の人ではないんですけどぉ」
歯切れが悪い。
「……関係先?」
「……です」
なるほど。
あずさの勤める会社には、よく関係先の会社の人間が出入りするのだ。社内の男性に限らず異性との接点は多く、実際それで結婚した女子社員もいる。同じ会社ではないから気を遣うこともなく、関係を持ちやすい、ということもあるようだった。
「どのくらい仲良くなったの?」
挨拶程度なのか、ご飯くらいは一緒に行けたのか。
「この前初めて声を掛けました。こんにちは、って」
「遅っ」
「だぁって、すごく人気なんですよ、彼! 他所の部署の子が狙ってたみたいで、声掛けて仲良くなったんだけど、連絡先の交換はしてくれないし食事に誘っても絶対断られるって。もうちゃんとした彼女がいるんじゃないかって噂になってて、だから……」
「なるほど」
世の中、早い者勝ちなのだ。いい物件ほど、早くに埋まっていく。そこまで優良物件なのかどうかは知らないが、里美が惚れるくらいなのだから、きっといい人なのだろう。
「私も協力するから、頑張りなさいよ」
「ほんとですかっ?」
「可愛い後輩のためだもん」
「やった~!」
無邪気に喜ぶ里美は、同性であるあずさから見ても魅力的で、本当に可愛いのだった。
「で、後藤先輩はどうしましょう?」
里美に言われ、
「正直に言えばいいと思う。気になる人がいるので、って」
「わかりました。そうします」
里美にフラれて落ち込む後藤のフォローをすることになるのだな、と思い、少しだけ彼に同情しつつ、ポテトサラダを口に運ぶあずさだった。
◇◇◇
自宅に帰り、数日が経った。
仕事中、ふいに呼び止められる。
「先輩っ!」
「里美ちゃん、どうかした?」
「こっちこっち!」
手を引かれ、エレベーターの方へと誘導される。今、まさにエレベーターの扉が閉まろうという瞬間、里美が小さな声で、
「あの方なんですっ」
と耳打ちをする。
じっと目を凝らすと、エレベーターに乗っていた男性とパチッと目が合ってしまった。すると、その男性がこちらに向けて手を振るのが見えたのだ。
「え? 手、振ったよ、今」
閉まり切った扉を指し、あずさが言う。
「えっ? 本当ですかっ? 先輩お知り合いなんですか?」
「は? 違うけど? 里美ちゃんに振ったんじゃなく?」
「私まだ顔見知り程度で親しいわけじゃないんですけどっ」
「……じゃ、私たちの後ろに誰かいたのかしらね?」
振り返るが、今は誰もいなかった。
「ああ、今日もカッコよかったなぁ~」
うっとり顔で目を閉じる里美を見て、あずさはほっこりした気持ちになるのだった。
恋する乙女は可愛い生き物である。
デスクに戻ると、携帯電話が点滅していた。見ると、母からのメッセージが入っている。
『週末のお見合いはおじいちゃんちで行います』
「え? 家でやるの?」
思わず声が出る。
『あずさは木曜の夜から泊まり込みになるのでしょ? ちゃんと準備しておくように!』
祖父の世話だけのつもりでいたが、見合いがあるというならそれなりの服も持っていかなければならない。少しばかり面倒だが、都内のホテルでやるよりは気楽なのかもしれないと思い直す。
「まったく……」
携帯を置き、仕事に戻る。金曜日に有給を申請した手前、少し多めに雑務をこなしておかなくてはならない。あずさは背筋を伸ばし、パソコンに向かった。
「……あのぅ、吉宮先輩、」
申し訳なさそうに声を掛けてきたのは、後藤正真だ。これは多分、例の話……、
「今日って、夜、お暇ですかぁ?」
しょぼくれた顔を見て思う。なるほど、時が来たのだ。
「仕方ないなぁ、一軒だけだよ?」
里美にフラれたやけ酒に付き合わなくてはいけないのは面倒だが、これも後輩のため。あずさは目の前の書類に目を落とし、ふぅ、と息を吐いた。
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