55 / 59
・
しおりを挟む
豪華な夕食を食べ終えたら、ゲーム大会が開催された。
ゲーム機は男の子組と二湖ちゃんが持ち寄ってきてくれてた。
オープンスペースに同じゲーム機が4台揃っている様子は壮観だ。
そして、この大画面でする、クラゲのゲームも。
「ちょっとちょっと、何でこっちにしかいけないのーーー!!?私まっすぐ進みたいのにーーっ!!同じ所ぐるぐる回ってるーーっ!!」
「穂香、モモオカートもまっすぐ進めないもんねー。あれ?李衣菜のは、調味料でてこないよ?品切れ?」
「杏果ちゃんっ、これどうしたらっ!?」
「ふふっ、これ、楽しいー!!」
「逆になんでそんなことになんのよっ!!ふつうにこのスティックをまっすぐ押せばまっすぐ進めるのにっ!!李衣菜は、ボタンの色推し間違えてるから!!って、なんか日向はじめてなのに上手いし!!ちょっと、男子、私一人でポンコツ初心者二人組教えきれないからっ!手伝ってよっ!!」
杏果ちゃんにレクチャーをうけて、まずは女子からゲームを始めたんだけど……私と李衣菜ちゃんの物覚えの悪さに杏果ちゃんは早々に音を上げた。
入れ替わり立ち代わり、いろんな管理人さんが挨拶に来てくれるから、男子はオープンスペースの入り口付近で、対応してくれていたんだけど、李衣菜ちゃん一人では手に負えないようだ。
「じゃー、久臣が一番しっかりしているから、管理人さん達に挨拶頼むわ。俺と学がゲームの方な」
「……おー。頼んだ」
「なんで、まっすぐ進めないのーー?穂香、実は方向音痴とか?」
「いや、実社会では、全然方向音痴じゃなっ!!ってまた壁にしか進めないよーーー!!?」
「瀬口さんは、ちゃんとボタン押せるようになったけど…今度は力強すぎ!!スティック壊れ……ってちょっと待ってて!!」
学君はどこかに走っていった。
「えへへ、李衣菜できるようになったっ!」
「おう、スティック折れそうだけどな」
しばらくして、学君が持ってきたのは……ピンク色の丸いゴムみたいな丸いパーツを持ってきた。
「……ぜぇぜぇ。瀬口さんっ、このパーツ、スティックにはめよう?そしたら、狙いつけやすくなって、そんなに折れそうになるまで……スティック押さなくて済むからっ」
「え、何それ秘密兵器っ??わーー、つけてつけてっ!!……おーーー。やりやすいーーー!!」
「ねえねえ、学君、私相変わらず、前に進めないんだけど」
「俺には手に負えねえ。頼んだぞ、学」
「えと……うん、頑張る」
「実質私と日向のたたかいじゃないっ!持ち主の私よりはじめてやる日向が上手ってどういうことよ」
「このゲーム楽しいです!」
こんな調子でなんだかんだ、皆が仲良くなれた気がする。
今度は男子のみでゲームをし出している。
高度すぎる戦いで、まったくついていけない。
結局私、まっすぐ進めるようにならなかったし、最終的に学君が遠い目をしていたからね。
申し訳ないことをした。
私は杏果ちゃんと連れ立ってトイレに行っていた。
トイレはエレベータースペースのほど近くにある。
手洗い場で杏果ちゃんを待つのも微妙かなと思って、エレベーターホールで待つことにした。
6機あるエレベーターは色んなへと動いている。
管理人さんがいろんな階を見て回っているみたいだし、人の移動も盛ん何だろう。
そう思ってみていたら、ここ、15階で1機のエレベーターが止まった。
中から出てきたのは、見たことのない管理人さんだ。
那賀さんと同じ服を着ている。
私はペコっと頭をさげてこんばんわーと挨拶をした。
そうしたら、もう一人、背の高い男の子がーーーーーって。
「やっと、やっっっと会えたっっ!!」
私はいつのまにかその男の子の腕の中にいた。
柔軟剤なのか、香水なのかわからないけど、今まで嗅いだことのない香りがする。
なんていうか、異国の香り?オリエンタルな匂いだ。
「ほら、行こう?」
ぱっと、拘束を解かれて、手を繋がれて、力強く引っ張られる。
「……!!!」
嫌なのに、三歩位でエレベーター前に着いてしまうから、私の抵抗なんてまるでないも同然のようだ。
「あの……放してください。手。」
極力刺激しないように、普通の声で話しかける。
彼が、手を離してくれることを願って。
「どうして?やっと会えたんだからいいじゃない、手くらい。ほら、エレベーター着いたよ?」
「……いやっ」
私の声が聞こえてないのか、聞いていないのか。
私は手を引かれてエレベーターに乗り込まされてしまった。
「……どうして、こんなことするんですか?」
「ふふっ、それはついてのお楽しみ」
繋いでいないほうの手で、人差し指を立ててシーというポーズを取っている。
こんな時なのに嫌になるくらいに様になっている。
「こんな人さらいみたいなこと、する人だと思っていませんでしたーーーーーー樹林君。」
樹林君は色素の薄い瞳を細めて、まぶしいものでも見るようにこちらを見ていた。
ゲーム機は男の子組と二湖ちゃんが持ち寄ってきてくれてた。
オープンスペースに同じゲーム機が4台揃っている様子は壮観だ。
そして、この大画面でする、クラゲのゲームも。
「ちょっとちょっと、何でこっちにしかいけないのーーー!!?私まっすぐ進みたいのにーーっ!!同じ所ぐるぐる回ってるーーっ!!」
「穂香、モモオカートもまっすぐ進めないもんねー。あれ?李衣菜のは、調味料でてこないよ?品切れ?」
「杏果ちゃんっ、これどうしたらっ!?」
「ふふっ、これ、楽しいー!!」
「逆になんでそんなことになんのよっ!!ふつうにこのスティックをまっすぐ押せばまっすぐ進めるのにっ!!李衣菜は、ボタンの色推し間違えてるから!!って、なんか日向はじめてなのに上手いし!!ちょっと、男子、私一人でポンコツ初心者二人組教えきれないからっ!手伝ってよっ!!」
杏果ちゃんにレクチャーをうけて、まずは女子からゲームを始めたんだけど……私と李衣菜ちゃんの物覚えの悪さに杏果ちゃんは早々に音を上げた。
入れ替わり立ち代わり、いろんな管理人さんが挨拶に来てくれるから、男子はオープンスペースの入り口付近で、対応してくれていたんだけど、李衣菜ちゃん一人では手に負えないようだ。
「じゃー、久臣が一番しっかりしているから、管理人さん達に挨拶頼むわ。俺と学がゲームの方な」
「……おー。頼んだ」
「なんで、まっすぐ進めないのーー?穂香、実は方向音痴とか?」
「いや、実社会では、全然方向音痴じゃなっ!!ってまた壁にしか進めないよーーー!!?」
「瀬口さんは、ちゃんとボタン押せるようになったけど…今度は力強すぎ!!スティック壊れ……ってちょっと待ってて!!」
学君はどこかに走っていった。
「えへへ、李衣菜できるようになったっ!」
「おう、スティック折れそうだけどな」
しばらくして、学君が持ってきたのは……ピンク色の丸いゴムみたいな丸いパーツを持ってきた。
「……ぜぇぜぇ。瀬口さんっ、このパーツ、スティックにはめよう?そしたら、狙いつけやすくなって、そんなに折れそうになるまで……スティック押さなくて済むからっ」
「え、何それ秘密兵器っ??わーー、つけてつけてっ!!……おーーー。やりやすいーーー!!」
「ねえねえ、学君、私相変わらず、前に進めないんだけど」
「俺には手に負えねえ。頼んだぞ、学」
「えと……うん、頑張る」
「実質私と日向のたたかいじゃないっ!持ち主の私よりはじめてやる日向が上手ってどういうことよ」
「このゲーム楽しいです!」
こんな調子でなんだかんだ、皆が仲良くなれた気がする。
今度は男子のみでゲームをし出している。
高度すぎる戦いで、まったくついていけない。
結局私、まっすぐ進めるようにならなかったし、最終的に学君が遠い目をしていたからね。
申し訳ないことをした。
私は杏果ちゃんと連れ立ってトイレに行っていた。
トイレはエレベータースペースのほど近くにある。
手洗い場で杏果ちゃんを待つのも微妙かなと思って、エレベーターホールで待つことにした。
6機あるエレベーターは色んなへと動いている。
管理人さんがいろんな階を見て回っているみたいだし、人の移動も盛ん何だろう。
そう思ってみていたら、ここ、15階で1機のエレベーターが止まった。
中から出てきたのは、見たことのない管理人さんだ。
那賀さんと同じ服を着ている。
私はペコっと頭をさげてこんばんわーと挨拶をした。
そうしたら、もう一人、背の高い男の子がーーーーーって。
「やっと、やっっっと会えたっっ!!」
私はいつのまにかその男の子の腕の中にいた。
柔軟剤なのか、香水なのかわからないけど、今まで嗅いだことのない香りがする。
なんていうか、異国の香り?オリエンタルな匂いだ。
「ほら、行こう?」
ぱっと、拘束を解かれて、手を繋がれて、力強く引っ張られる。
「……!!!」
嫌なのに、三歩位でエレベーター前に着いてしまうから、私の抵抗なんてまるでないも同然のようだ。
「あの……放してください。手。」
極力刺激しないように、普通の声で話しかける。
彼が、手を離してくれることを願って。
「どうして?やっと会えたんだからいいじゃない、手くらい。ほら、エレベーター着いたよ?」
「……いやっ」
私の声が聞こえてないのか、聞いていないのか。
私は手を引かれてエレベーターに乗り込まされてしまった。
「……どうして、こんなことするんですか?」
「ふふっ、それはついてのお楽しみ」
繋いでいないほうの手で、人差し指を立ててシーというポーズを取っている。
こんな時なのに嫌になるくらいに様になっている。
「こんな人さらいみたいなこと、する人だと思っていませんでしたーーーーーー樹林君。」
樹林君は色素の薄い瞳を細めて、まぶしいものでも見るようにこちらを見ていた。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
中学生ユーチューバーの心霊スポットMAP
じゅん
児童書・童話
【第1回「きずな児童書大賞」大賞 受賞👑】
悪霊のいる場所では、居合わせた人に「霊障」を可視化させる体質を持つ「霊感少女」のアカリ(中学1年生)。
「ユーチューバーになりたい」幼なじみと、「心霊スポットMAPを作りたい」友達に巻き込まれて、心霊現象を検証することになる。
いくつか心霊スポットを回るうちに、最近増えている心霊現象の原因は、霊を悪霊化させている「ボス」のせいだとわかり――
クスっと笑えながらも、ゾッとする連作短編。
悪魔さまの言うとおり~わたし、執事になります⁉︎~
橘花やよい
児童書・童話
女子中学生・リリイが、入学することになったのは、お嬢さま学校。でもそこは「悪魔」の学校で、「執事として入学してちょうだい」……って、どういうことなの⁉待ち構えるのは、きれいでいじわるな悪魔たち!
友情と魔法と、胸キュンもありの学園ファンタジー。
第2回きずな児童書大賞参加作です。
守護霊のお仕事なんて出来ません!
柚月しずく
児童書・童話
事故に遭ってしまった未蘭が目が覚めると……そこは死後の世界だった。
死後の世界には「死亡予定者リスト」が存在するらしい。未蘭はリストに名前がなく「不法侵入者」と責められてしまう。
そんな未蘭を救ってくれたのは、白いスーツを着た少年。柊だった。
助けてもらいホッとしていた未蘭だったが、ある選択を迫られる。
・守護霊代行の仕事を手伝うか。
・死亡手続きを進められるか。
究極の選択を迫られた未蘭。
守護霊代行の仕事を引き受けることに。
人には視えない存在「守護霊代行」の任務を、なんとかこなしていたが……。
「視えないはずなのに、どうして私のことがわかるの?」
話しかけてくる男の子が現れて――⁉︎
ちょっと不思議で、信じられないような。だけど心温まるお話。

四尾がつむぐえにし、そこかしこ
月芝
児童書・童話
その日、小学校に激震が走った。
憧れのキラキラ王子さまが転校する。
女子たちの嘆きはひとしお。
彼に淡い想いを抱いていたユイもまた動揺を隠せない。
だからとてどうこうする勇気もない。
うつむき複雑な気持ちを抱えたままの帰り道。
家の近所に見覚えのない小路を見つけたユイは、少し寄り道してみることにする。
まさかそんな小さな冒険が、あんなに大ごとになるなんて……。
ひょんなことから石の祠に祀られた三尾の稲荷にコンコン見込まれて、
三つのお仕事を手伝うことになったユイ。
達成すれば、なんと一つだけ何でも願い事を叶えてくれるという。
もしかしたら、もしかしちゃうかも?
そこかしこにて泡沫のごとくあらわれては消えてゆく、えにしたち。
結んで、切って、ほどいて、繋いで、笑って、泣いて。
いろんな不思議を知り、数多のえにしを目にし、触れた先にて、
はたしてユイは何を求め願うのか。
少女のちょっと不思議な冒険譚。
ここに開幕。
生贄姫の末路 【完結】
松林ナオ
児童書・童話
水の豊かな国の王様と魔物は、はるか昔にある契約を交わしました。
それは、姫を生贄に捧げる代わりに国へ繁栄をもたらすというものです。
水の豊かな国には双子のお姫様がいます。
ひとりは金色の髪をもつ、活発で愛らしい金のお姫様。
もうひとりは銀色の髪をもつ、表情が乏しく物静かな銀のお姫様。
王様が生贄に選んだのは、銀のお姫様でした。
ミズルチと〈竜骨の化石〉
珠邑ミト
児童書・童話
カイトは家族とバラバラに暮らしている〈音読みの一族〉という〈族《うから》〉の少年。彼の一族は、数多ある〈族〉から魂の〈音〉を「読み」、なんの〈族〉か「読みわける」。彼は飛びぬけて「読め」る少年だ。十歳のある日、その力でイトミミズの姿をしている〈族〉を見つけ保護する。ばあちゃんによると、その子は〈出世ミミズ族〉という〈族《うから》〉で、四年かけてミミズから蛇、竜、人と進化し〈竜の一族〉になるという。カイトはこの子にミズルチと名づけ育てることになり……。
一方、世間では怨墨《えんぼく》と呼ばれる、人の負の感情から生まれる墨の化物が活発化していた。これは人に憑りつき操る。これを浄化する墨狩《すみが》りという存在がある。
ミズルチを保護してから三年半後、ミズルチは竜になり、カイトとミズルチは怨墨に知人が憑りつかれたところに遭遇する。これを墨狩りだったばあちゃんと、担任の湯葉《ゆば》先生が狩るのを見て怨墨を知ることに。
カイトとミズルチのルーツをたどる冒険がはじまる。
忠犬ハジッコ
SoftCareer
児童書・童話
もうすぐ天寿を全うするはずだった老犬ハジッコでしたが、飼い主である高校生・澄子の魂が、偶然出会った付喪神(つくもがみ)の「夜桜」に抜き去られてしまいます。
「夜桜」と戦い力尽きたハジッコの魂は、犬の転生神によって、抜け殻になってしまった澄子の身体に転生し、奪われた澄子の魂を取り戻すべく、仲間達の力を借りながら奮闘努力する……というお話です。
※今まで、オトナ向けの小説ばかり書いておりましたが、
今回は中学生位を読者対象と想定してチャレンジしてみました。
お楽しみいただければうれしいです。
【シーズン2完】おしゃれに変身!って聞いてたんですけど……これってコウモリ女ですよね?
ginrin3go/〆野々青魚
児童書・童話
「どうしてこんな事になっちゃったの!?」
陰キャで地味な服ばかり着ているメカクレ中学生の月澄佳穂(つきすみかほ)。彼女は、祖母から出された無理難題「おしゃれしなさい」をなんとかするため、中身も読まずにある契約書にサインをしてしまう。
それは、鳥や動物の能力持っている者たちの鬼ごっこ『イソップ・ハント』の契約書だった!
夜毎、コウモリ女に変身し『ハント』を逃げるハメになった佳穂。そのたった一人の逃亡者・佳穂に協力する男子が現れる――
横浜の夜に繰り広げられるバトルファンタジー!
【シーズン2完了! ありがとうございます!】
シーズン1・めざまし編 シーズン2・学園編その1 更新完了しました!
それぞれ児童文庫にして1冊分くらいの分量。小学生でも2時間くらいで読み切れます。
そして、ただいまシーズン3・学園編その2 書きだめ中!
深くイソップ・ハントの世界に関わっていくことになった佳穂。これからいったいどうなるのか!?
本作はシーズン書きおろし方式を採用。全5シーズン順次書き上がり次第公開いたします。
お気に入りに登録していただくと、更新の通知が届きます。
気になる方はぜひお願いいたします。
【最後まで逃げ切る佳穂を応援してください!】
本作は、第1回きずな児童書大賞にて奨励賞を頂戴いたしましたが、書籍化にまでは届いていません。
感想、応援いただければ、佳穂は頑張って飛んでくれますし、なにより作者〆野々のはげみになります。
一言でも感想、紹介いただければうれしいです。
【新ビジュアル公開!】
新しい表紙はギルバートさんに描いていただきました。佳穂と犬上のツーショットです!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる