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入寮式といっても、注意事項の説明会みたいなものだ。
皆で館内を回って、どこに何があるのか、何時から何時まで使えるかなどの説明を受けていく。
本当は、先輩後輩の顔合わせの意味を兼ねて1階の食堂で行っているらしいんだけど、エンタメ科は先輩がいないからなのかな?このオープンスペースで那加さんに説明を受けるだけだ。
「あとは、このしおりに書いてあるので、しっかり目を通しておいてくださいね。あら、ちょっと時間あまっちゃた。そうねー、自己紹介でもしましょうか。7人だけだしっ!じゃ、そうね、李衣菜ちゃんからっ!」
適当に近くの人に当てたのか、李衣菜ちゃんが指名された。
「はい!瀬口李衣菜です!瀬口って苗字は可愛くないので、りいなって呼んでくださいー。VitterとMikMokやっています!はいっ、これ名刺ーー!!このアドレスが、りいなのアカウントだから是非フォローしてください!主にファッション系を投稿してますっ!エンタメ科、人数少なくてびっくりしたけど、皆と仲良くなれたら嬉しいですっ!」
李衣菜ちゃんは、春休みに、私とひー君と作った名刺を皆に配る。
これ、アイドルファン同士が配ったりするときに作る人がいるみたいで、せっかくエンタメ科に入るから、真似して作ってみたんだよね。
もちろんこれも私の動画に作り方をアップしたよ。
「二湖杏果です!私はメイク系の動画を投稿しています。VitterとTtubeとMikMok全部やってるよ。Kinstaは日常系の写真を投稿してる。私、ファン交換用の名刺しかないから、アドレスは今度教えますー」
杏果ちゃんは腰までの茶色の長い髪の美人さんだった。
その髪がビックリするくらいサラサラっ!
目元がなんだかキラキラ光っていて、思わず目で追っちゃう。
メイク動画を投稿しているって言ってたからお化粧なのかな?
背は私より高くて、モデルさん?ってくらいスタイルがいい。
「はいはーーい!ファンって、誰のファンなのー?りいな、実は、へへっ、FIZZERの水流透真君のファンなんだー!!」
「えっ、私も!!同担じゃんっ!!じゃあ、この名刺あげる!」
同担っていうのは同じ人を応援しているってこと。
二人はキャーキャー盛り上がり出した。
「はいはいーー、その話はあとでね。次、文月さんどうぞー!」
「文月穂香です。Ttubeの「推し活ぐー!」というチャンネルでハンドメイド系動画を投稿しています。チャンネル名と投稿者名はお父さんが決めたので、今となってはちょっと恥ずかしいなって思っています。李衣菜ちゃんと同じ小学校の出身です。私も名刺作ったのでもらってくださいー。」
私も皆に名刺を配って回った。
「穂香はねー、FIZZERの樹林棋王君のファングッズ作ってるの!すっごい上手でねー、本まで出してるんだよー!」
「え、本?すごいね!」
近くに座っていた男の子が、話しかけてくれた。
茶色というか黄色っぽい短髪の男の子は自己紹介がまだだから、何と呼んでいいかわからない。
日に焼けた肌に白い歯がまぶしい爽やかなスポーツマンって感じの男の子。
ムキムキって感じじゃなくて、なんだか豹とか鹿みたいな、しなやかな筋肉がついている感じ。
「あ、ありがとう!」
「じゃあ、次は加行さん!」
話していた男の子が立ち上がった。
「加行烈です!烈って呼んで!俺もVitterとTtube、MikMok、Kinsta全部やってる!なんでかってと、皆パルクールって知ってる?」
「ああ、パリ五輪の競技候補になってたやつ?」
ひー君が答えるけど、他の皆は私を含めてぴんときていない。
「そー、それっ!!」
「えーごめん、李衣菜わかんないー。なあに?ぱるくーるって?」
「えーと、口で説明めんどいな、ちょっと見てて!」
烈君はオープンスペースの家具が置いていない所に移動したかと思うと、壁をトトンと昇って天井付近まで飛び上がったと思ったら、複雑に回転しつつ地面に降り立った。
まるで、そこに重力がないかのようだ。
「わーーーーー!!すっごい!!」
「ねーすごっっ!!」
皆で思わず拍手してしまう。
「こういう……」
「加行さん!!こういう天井が低いところでは技の披露は控えてほしいとあれほどっ!!」
那賀さんにお小言を言われる烈君は、ペロッとしたを出している。
「わー、すんません!口で説明するよりこうしたほうが早いからいっつもやっちゃう!!」
もう、那賀さんには披露済みなのね……。
「怪我しそうなことは、できるだけ控えてくださいね。練習する場は他にいくらでもあるんだから!それじゃあ、次、愛ヶ埼さん」
「あ、愛ヶ埼日向です。Ttubeで料理動画をやっています。えっと、見、見なくても大丈夫ですっ!!」
李衣菜ちゃんよりも小さくて可愛らしい雰囲気の子が日向ちゃん。
肩くらいの髪を高い位置でポニーテールにしている。
黒目がちの円らな瞳に小さい鼻と口は、守ってあげたい!って思っちゃう。
「えーー、見たいから教えてー!」
李衣菜ちゃんはいつでも距離を詰めていく。
携帯電話を片手に日向ちゃんの傍にちょこんと寄って行った。
「はいはい、そういうのは後でね!次、田井中さん!」
「はいっ、田井中学です。えと、Ttubeでゲーム実況やってます。Eスポーツの大会とかにも出ています。俺のチャンネルも別にたいしたものやってないので、見なくて大丈夫で……」
長めの前髪の、すらっと背が高い男の子。
前を見ているのか気になってたんだけど、ゲームをやるくらいだから見えているんだよね?
Eスポーツって、ゲームの大会だよね。すごいなー!私壊滅的にゲームできないしっ。
「えーー、ゲームって何系?」
烈君が学君に質問しだす。
「えと、ミジンコを色付きの調味料で打つ……」
「えっ、俺もあれ好き!!後で一緒にやろーーぜーーー!!」
「李衣菜もやったことないけどやりたいーーー!!」
二人とも根っからの陽キャなんだなぁ……。
「ゲームも消灯時間前までなら、あのテレビでできますよ。ご飯を食べたら自由にやってください。あ、消灯時間まで。時間厳守ですよ。次、森乃さん」
「はい、森乃久臣です。VitterとKinstaで勉強垢やってます。勉強した内容を呟いているだけなんで、特に見なくて大丈夫です。ゲームは好きだけど得意じゃない。から、学と烈、俺も混ぜて!ミジンコのって、なんかコツあんの??」
ひー君は烈君と学君の近くに寄っていった。
成長したなあ、ひー君。
昔は私としか遊ばなかったのに……ってあれ?
ーーーー遊んでいたのは、私とひー君、二人だけだったっけ?
皆で館内を回って、どこに何があるのか、何時から何時まで使えるかなどの説明を受けていく。
本当は、先輩後輩の顔合わせの意味を兼ねて1階の食堂で行っているらしいんだけど、エンタメ科は先輩がいないからなのかな?このオープンスペースで那加さんに説明を受けるだけだ。
「あとは、このしおりに書いてあるので、しっかり目を通しておいてくださいね。あら、ちょっと時間あまっちゃた。そうねー、自己紹介でもしましょうか。7人だけだしっ!じゃ、そうね、李衣菜ちゃんからっ!」
適当に近くの人に当てたのか、李衣菜ちゃんが指名された。
「はい!瀬口李衣菜です!瀬口って苗字は可愛くないので、りいなって呼んでくださいー。VitterとMikMokやっています!はいっ、これ名刺ーー!!このアドレスが、りいなのアカウントだから是非フォローしてください!主にファッション系を投稿してますっ!エンタメ科、人数少なくてびっくりしたけど、皆と仲良くなれたら嬉しいですっ!」
李衣菜ちゃんは、春休みに、私とひー君と作った名刺を皆に配る。
これ、アイドルファン同士が配ったりするときに作る人がいるみたいで、せっかくエンタメ科に入るから、真似して作ってみたんだよね。
もちろんこれも私の動画に作り方をアップしたよ。
「二湖杏果です!私はメイク系の動画を投稿しています。VitterとTtubeとMikMok全部やってるよ。Kinstaは日常系の写真を投稿してる。私、ファン交換用の名刺しかないから、アドレスは今度教えますー」
杏果ちゃんは腰までの茶色の長い髪の美人さんだった。
その髪がビックリするくらいサラサラっ!
目元がなんだかキラキラ光っていて、思わず目で追っちゃう。
メイク動画を投稿しているって言ってたからお化粧なのかな?
背は私より高くて、モデルさん?ってくらいスタイルがいい。
「はいはーーい!ファンって、誰のファンなのー?りいな、実は、へへっ、FIZZERの水流透真君のファンなんだー!!」
「えっ、私も!!同担じゃんっ!!じゃあ、この名刺あげる!」
同担っていうのは同じ人を応援しているってこと。
二人はキャーキャー盛り上がり出した。
「はいはいーー、その話はあとでね。次、文月さんどうぞー!」
「文月穂香です。Ttubeの「推し活ぐー!」というチャンネルでハンドメイド系動画を投稿しています。チャンネル名と投稿者名はお父さんが決めたので、今となってはちょっと恥ずかしいなって思っています。李衣菜ちゃんと同じ小学校の出身です。私も名刺作ったのでもらってくださいー。」
私も皆に名刺を配って回った。
「穂香はねー、FIZZERの樹林棋王君のファングッズ作ってるの!すっごい上手でねー、本まで出してるんだよー!」
「え、本?すごいね!」
近くに座っていた男の子が、話しかけてくれた。
茶色というか黄色っぽい短髪の男の子は自己紹介がまだだから、何と呼んでいいかわからない。
日に焼けた肌に白い歯がまぶしい爽やかなスポーツマンって感じの男の子。
ムキムキって感じじゃなくて、なんだか豹とか鹿みたいな、しなやかな筋肉がついている感じ。
「あ、ありがとう!」
「じゃあ、次は加行さん!」
話していた男の子が立ち上がった。
「加行烈です!烈って呼んで!俺もVitterとTtube、MikMok、Kinsta全部やってる!なんでかってと、皆パルクールって知ってる?」
「ああ、パリ五輪の競技候補になってたやつ?」
ひー君が答えるけど、他の皆は私を含めてぴんときていない。
「そー、それっ!!」
「えーごめん、李衣菜わかんないー。なあに?ぱるくーるって?」
「えーと、口で説明めんどいな、ちょっと見てて!」
烈君はオープンスペースの家具が置いていない所に移動したかと思うと、壁をトトンと昇って天井付近まで飛び上がったと思ったら、複雑に回転しつつ地面に降り立った。
まるで、そこに重力がないかのようだ。
「わーーーーー!!すっごい!!」
「ねーすごっっ!!」
皆で思わず拍手してしまう。
「こういう……」
「加行さん!!こういう天井が低いところでは技の披露は控えてほしいとあれほどっ!!」
那賀さんにお小言を言われる烈君は、ペロッとしたを出している。
「わー、すんません!口で説明するよりこうしたほうが早いからいっつもやっちゃう!!」
もう、那賀さんには披露済みなのね……。
「怪我しそうなことは、できるだけ控えてくださいね。練習する場は他にいくらでもあるんだから!それじゃあ、次、愛ヶ埼さん」
「あ、愛ヶ埼日向です。Ttubeで料理動画をやっています。えっと、見、見なくても大丈夫ですっ!!」
李衣菜ちゃんよりも小さくて可愛らしい雰囲気の子が日向ちゃん。
肩くらいの髪を高い位置でポニーテールにしている。
黒目がちの円らな瞳に小さい鼻と口は、守ってあげたい!って思っちゃう。
「えーー、見たいから教えてー!」
李衣菜ちゃんはいつでも距離を詰めていく。
携帯電話を片手に日向ちゃんの傍にちょこんと寄って行った。
「はいはい、そういうのは後でね!次、田井中さん!」
「はいっ、田井中学です。えと、Ttubeでゲーム実況やってます。Eスポーツの大会とかにも出ています。俺のチャンネルも別にたいしたものやってないので、見なくて大丈夫で……」
長めの前髪の、すらっと背が高い男の子。
前を見ているのか気になってたんだけど、ゲームをやるくらいだから見えているんだよね?
Eスポーツって、ゲームの大会だよね。すごいなー!私壊滅的にゲームできないしっ。
「えーー、ゲームって何系?」
烈君が学君に質問しだす。
「えと、ミジンコを色付きの調味料で打つ……」
「えっ、俺もあれ好き!!後で一緒にやろーーぜーーー!!」
「李衣菜もやったことないけどやりたいーーー!!」
二人とも根っからの陽キャなんだなぁ……。
「ゲームも消灯時間前までなら、あのテレビでできますよ。ご飯を食べたら自由にやってください。あ、消灯時間まで。時間厳守ですよ。次、森乃さん」
「はい、森乃久臣です。VitterとKinstaで勉強垢やってます。勉強した内容を呟いているだけなんで、特に見なくて大丈夫です。ゲームは好きだけど得意じゃない。から、学と烈、俺も混ぜて!ミジンコのって、なんかコツあんの??」
ひー君は烈君と学君の近くに寄っていった。
成長したなあ、ひー君。
昔は私としか遊ばなかったのに……ってあれ?
ーーーー遊んでいたのは、私とひー君、二人だけだったっけ?
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