推し活ぐー!

明日葉

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教室でのオリエンテーションを終えて、向かったのは学生寮だ。
相変わらずホテルのフロントみたいなロビーで、中振先生が話し出す。
「こちらが、皆さんが今日から暮らしていく寮です。
送っていただいた荷物は、すでにお部屋に運び入れていますので、折を見て開封していって下さい。
夕食を兼ねた入寮式は、午後6時からになっています。
会場は15階、スペースアルファです。あ、こちらが1年α組のオープンスペースです。
詳しくは、管理人の那加さんにお願いしますね」
「あ、はい!寮の管理人の那加仁子ながのりこです!エンタメ科1年α組と芸能科1年A組を担当するので、何でも相談してくださいね。
大学生の息子がいるよ!那加ちゃんでも、のりちゃんでも、管理人さんでも好きに呼んでくださいっ!
あ、管理人は他にも一杯いますから、おいおい覚えてもらえると助かります。
この腕章とエプロンとキャップが目印です!」
ちょびっとふくよかで、お饅頭みたいなお腹をした元気な女の人は管理人さんだったらしい。
大学生の息子さんがいるらしいんだけど、凄く年齢不詳。
物凄く若そうにも、そうじゃなさそうにも見える。
朱色のキャスケットに朱色のエプロンと腕章には全部白黒星学園校章が入っている。
首にはネックレスみたいにネームカードがかかっている。
「ここからの案内は私がしますね」
「それでは、私はここで。明日から学校が始まりますから皆さん、遅刻しないようにね。
保護者の方は午後6時まで滞在可能ですので、ごゆっくりお過ごし下さい。
それでは1年間宜しくお願い致します。」
一礼して、中振先生は去っていった。

「はいはい、教室で配られた学生証ちゃんとありますかー?出してくださいー!」
教室を出る直前に配られたのは写真入り学生証だ。
首にかけられるようにネックストラップや、リールケースももらっている。
私はネックストラップに学生証を入れていたから、那加ちゃんのように首にかけてみた。
「はい、説明があったと思うけど、これ、部屋の鍵になっています。このエントランス横のゲートパネルに学生証をかざすと、このように通れるようになります。
安全対策として、この辺りは防犯カメラで一杯だから。
面倒くさがってカードを使わないで超えようとしないこと。
すぐに、警報が鳴って真横の部屋に詰めている警備員が飛んできます。
受付のコンシェルジュも、武道の達人だからね。」
説明を受けてコンシェルジュのおじいさんも、ペコっと頭を下げてくれた。
確かに。何やら只者ではない雰囲気を感じる。
学生寮の入り口に、どこかの大きな会社とか、駅の改札みたいな装置がついていた。
「したがって、保護者の方が面会にいらした場合は、ロビーでお待ちいただき、入校証を発行して頂く形になります。登録していただいた顔写真と照合して、本人確認をさせていただくので、少々お時間をいただきます。今日もお使いの入校証をこちらにかざしてください」
生徒と保護者の全員がゲートを通るのを待って、那加ちゃんは説明を再開した。
このエレベーター乗る時、この学生証もしくは、入校証を使います。
登録された階数にしか止まりません。
だから、1年α組は、各種施設のある1~3階と地下、15階、そして女子は16階、男子は17階ね。
保護者の方は15階とお子さんのいる階数が発行されます。
基本的に自分の部屋とクラス用オープンスペース、そして、1~3階と地下以外は保安の観点から立ち入り禁止です。
私は管理人用パスなので、どこでも止まります。では、乗りましょう。」
そう言って、那加ちゃんはネームカードをかざした。

「こちらが、1年α組のオープンスペースです。」
オープンスペースと呼ばれるその場所には、大型テレビと、天井から降ろせるスクリーン、そして、それらを取り囲むように配置されたソファーとローテーブル。
少し離れたところに5つ大きなテーブルに、それぞれ椅子が配置されている。
多分40人分を想定してつくられているんだろう。
今のこの人数だと、余裕で持て余す。
「こちらに、飲み物と軽食を用意しました。それぞれ、ここでも自分の部屋でも好きな所で食べていいからねー。では、お子さんの部屋を一緒に見に行くも良し、荷物を開けるもよし、午後6時までご自由にお過ごしください。」
備え付けの各種ジュースや、お茶、コーヒーが出る機械は、ドリンクバーのと一緒の造り。
ホテルのケーキバイキングみたいにプチケーキやサンドイッチにゼリー、プリンにアイス、そして色とりどりの果物がテーブルに所狭しと並んでいた。









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