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・いざ学生寮!
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「あなた達、もう、小学生ではないんですよ。わかりますよね。
式典の際には、ふざけない。これ、常識ですよね」
教室に入るなり、私とひー君に向けて、先生がお説教をし出す。
「でも、先生、先にあっちが……」
「ひー君、先生、すみませんでした。」
私はひー君の言葉を遮り、立って頭を下げた。
だって、この後すぐに保護者が教室に入ってくるってアナウンスがあった。
こんな、怒られているところ、お父さんが見たら、ますます心配されること請け合いだ。
「……すみませんでした。」
隣に座っていたひー君も、立って頭を下げる。
「森乃さん、文月さん、着席してください。以降気をつけましょうね。
皆さんはエンタメ科。良くも悪くも注目されるんです。
なので、行動には十分注意してください。」
お説教が終わって割とすぐ、お父さん達が、教室に入ってきた。
何故か7人分の保護者にしては、少ない数の大人だ。
入学式だけ見て帰った人とかもいるのかな。
「保護者の皆さん、はじめまして。
私、この度、エンタメ科、1年α組の担任になりました」
ナカフリ先生は、黒板に名前を書きだした。
中振例人
「中振と申します。入学式で紹介があったように数学科を担当します。
はじめてのエンタメ科ということで、何かと至らない点もあると思いますが、生徒たちと共に成長していきたいと思っておりますので、どうぞ、よろしくお願いいたします」
パチパチと私達生徒と保護者が拍手をする。
この人数だから、教室が広く感じるし、人が少ないから、音の反響がすごい。
なんだか、不安を感じる学園生活のスタートだった。
「ーーーというように、エンタメ科といいましても、学生の本分は勉強です。
学習指導要領にのっとり、規定時間分の学習は担保されますので、ご安心ください。
通常授業の他に、1~2時間、エンタメ科の領域の授業を行います。
まあ、部活動の延長のようなものですね。
あ、ただ、部活動は希望者は入っていただいてもかまいません。
普通科が先に活動しているので、途中からの参加という形にはなりますが。
白黒星学園には様々な部活動があります。
来週以降は部活動見学週間となっておりますので、希望者はそちらをご利用ください。」
先生から、私達と保護者に向けてオリエンテーションのような説明がされた。
ただ、入学のしおりに載っていたことばっかりだから目新しい情報がないので、李衣菜ちゃんが目を時々閉じて眠そうになっているのが見える。
「……以上で、こちらの説明は以上です。何か、質問等ありませんか。あ、保護者の方も結構です」
先生を見ようと思ったら、教壇の真ん前に座る李衣菜ちゃんが嫌でも目に入る。
李衣菜ちゃんが、目を瞑りだした瞬間に、説明が終わってよかった。
って、李衣菜ちゃん、先生の話終わったから!!目、開けてー!
「先生、よろしいですか?」
手を挙げたのは、李衣菜ちゃんのお母さんだ。
お母さんの声が聞こえたからか、李衣菜ちゃんははっと意識を取り戻す。
よ、よかった!李衣菜ちゃん、本格的に寝始めなくてっ!!
「こちらのクラスの定員は40名と聞いていたんですが、こちらの教室には7名しかいませんよね。
志望者がいらっしゃらなくて、こちらの人数になったということですか?」
皆が疑問に思っていたけど、いつ、どうやって聞いたらいいのかと思っていたことをずばりと聞いてくれた。
「そうですね。7名のみがエンタメ科に入学という運びとなりました。
志望者数はむしろ、多かったんです。全国から3257名の応募がございました。」
「え、じゃあ、なんで?」
李衣菜ちゃんは思わずといった様子で先生に問いかける。
「合格基準を満たしていたのが、皆さんだけだった。というだけことです。
簡単な筆記試験に加えて、小学校在学中の成績、素行、各々がインターネットに投稿する際の内容を詳しく精査しております。エンタメ科は黒白星学園の新設学科。全国から注目度が高い。
今後の学園の方針を考えると、40名の定員を満たすために、問題を起こしそうな33人を入学させるより、問題をおこさず、優秀な生徒7名を大事にした方が良いという結論に達したのです。」
「……そうですか」
それぞれに思うところはあったと思うんだけど、誰もこの場では発言しなかった。
ただ、私が思ったことはひとつ。
ーーーー絶対問題は起こせない。起こしたらダメっていう圧が凄すぎる。
式典の際には、ふざけない。これ、常識ですよね」
教室に入るなり、私とひー君に向けて、先生がお説教をし出す。
「でも、先生、先にあっちが……」
「ひー君、先生、すみませんでした。」
私はひー君の言葉を遮り、立って頭を下げた。
だって、この後すぐに保護者が教室に入ってくるってアナウンスがあった。
こんな、怒られているところ、お父さんが見たら、ますます心配されること請け合いだ。
「……すみませんでした。」
隣に座っていたひー君も、立って頭を下げる。
「森乃さん、文月さん、着席してください。以降気をつけましょうね。
皆さんはエンタメ科。良くも悪くも注目されるんです。
なので、行動には十分注意してください。」
お説教が終わって割とすぐ、お父さん達が、教室に入ってきた。
何故か7人分の保護者にしては、少ない数の大人だ。
入学式だけ見て帰った人とかもいるのかな。
「保護者の皆さん、はじめまして。
私、この度、エンタメ科、1年α組の担任になりました」
ナカフリ先生は、黒板に名前を書きだした。
中振例人
「中振と申します。入学式で紹介があったように数学科を担当します。
はじめてのエンタメ科ということで、何かと至らない点もあると思いますが、生徒たちと共に成長していきたいと思っておりますので、どうぞ、よろしくお願いいたします」
パチパチと私達生徒と保護者が拍手をする。
この人数だから、教室が広く感じるし、人が少ないから、音の反響がすごい。
なんだか、不安を感じる学園生活のスタートだった。
「ーーーというように、エンタメ科といいましても、学生の本分は勉強です。
学習指導要領にのっとり、規定時間分の学習は担保されますので、ご安心ください。
通常授業の他に、1~2時間、エンタメ科の領域の授業を行います。
まあ、部活動の延長のようなものですね。
あ、ただ、部活動は希望者は入っていただいてもかまいません。
普通科が先に活動しているので、途中からの参加という形にはなりますが。
白黒星学園には様々な部活動があります。
来週以降は部活動見学週間となっておりますので、希望者はそちらをご利用ください。」
先生から、私達と保護者に向けてオリエンテーションのような説明がされた。
ただ、入学のしおりに載っていたことばっかりだから目新しい情報がないので、李衣菜ちゃんが目を時々閉じて眠そうになっているのが見える。
「……以上で、こちらの説明は以上です。何か、質問等ありませんか。あ、保護者の方も結構です」
先生を見ようと思ったら、教壇の真ん前に座る李衣菜ちゃんが嫌でも目に入る。
李衣菜ちゃんが、目を瞑りだした瞬間に、説明が終わってよかった。
って、李衣菜ちゃん、先生の話終わったから!!目、開けてー!
「先生、よろしいですか?」
手を挙げたのは、李衣菜ちゃんのお母さんだ。
お母さんの声が聞こえたからか、李衣菜ちゃんははっと意識を取り戻す。
よ、よかった!李衣菜ちゃん、本格的に寝始めなくてっ!!
「こちらのクラスの定員は40名と聞いていたんですが、こちらの教室には7名しかいませんよね。
志望者がいらっしゃらなくて、こちらの人数になったということですか?」
皆が疑問に思っていたけど、いつ、どうやって聞いたらいいのかと思っていたことをずばりと聞いてくれた。
「そうですね。7名のみがエンタメ科に入学という運びとなりました。
志望者数はむしろ、多かったんです。全国から3257名の応募がございました。」
「え、じゃあ、なんで?」
李衣菜ちゃんは思わずといった様子で先生に問いかける。
「合格基準を満たしていたのが、皆さんだけだった。というだけことです。
簡単な筆記試験に加えて、小学校在学中の成績、素行、各々がインターネットに投稿する際の内容を詳しく精査しております。エンタメ科は黒白星学園の新設学科。全国から注目度が高い。
今後の学園の方針を考えると、40名の定員を満たすために、問題を起こしそうな33人を入学させるより、問題をおこさず、優秀な生徒7名を大事にした方が良いという結論に達したのです。」
「……そうですか」
それぞれに思うところはあったと思うんだけど、誰もこの場では発言しなかった。
ただ、私が思ったことはひとつ。
ーーーー絶対問題は起こせない。起こしたらダメっていう圧が凄すぎる。
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