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校門をくぐると、そこは桜並木だった。
満開の桜がはらはらと風で散り、歩道はピンク色のカーペットのよう。
そこで、私とひー君と李衣菜ちゃんは、お父さんに写真を撮ってもらっていた。
「穂香パパっ!!ここ、映えるっ!!MikMokに投稿したいから、この桜の木の下で踊るの撮ってー!!」
「こら、李衣菜ちゃん!!文月さんは、カメラマンなのに、何携帯電話で動画を取らせようとしているのよー!」
李衣菜ちゃんのお母さんが怒るけど、全然気にしていないのは李衣菜ちゃんもお父さんもおんなじだ。
「えっ、大丈夫ですよ瀬口さん。李衣菜ちゃん、おじさんでいいなら取るよー。はい、スタート」
李衣菜ちゃんは、真新しい紺色の制服を翻して、可愛らしく踊る。
「あ、じゃあ、あっちの桜の下で、ほのちゃんと久、ほら並んで写真とりましょ。」
「あ、はい。ひー君、行こー!」
「おー」
森乃のおばさんがカメラやら、携帯電話で、私とひー君を一生懸命とってくれた。
それぞれの家族写真はお父さんが撮影済みだ。
卒業式の写真もいい感じにとれていたし、今回の写真も楽しみ。
カメラチェックを終えたのか、李衣菜ちゃんはご満悦だ。
「おじさんにとってもらったー!こんな取り方あったんだって勉強になったー!!でもさー、やっぱ、この制服、イケてないっっ!!景色も、建物も最高なのに!!これ、なんで変えなかったんだろっ!!」
「確かにねー。事務服?って感じだもんね」
「俺は作業服に見える。これで動きやすいならいいけど、動きづらいのもどうなのかと思う」
まぶしいほど白いYシャツに、紺色の作業服にも事務服にも見える動きづらいだけのジャケット、それに紺色の女子はプーリッツスカート、男子はスラックス。
どう見ても、素敵な制服とは程遠い。
可愛いはずの李衣菜ちゃんも、カッコいいはずのひー君も1割は魅力が減るという、すさまじいアイテムだ。
この二人でこれなんだから、私は2割はひどく見えているはず。
見かねた李衣菜ちゃんのお母さんが、大改造にならない範囲で、三人のジャケットのウエスト部分と、私と李衣菜ちゃんのプーリッツスカートを手直ししてくれた位だ。
「まあま、何を着ていても、二人は可愛いから大丈夫!もちろんうちの息子もな―!!」
森乃のおじさんは、ひー君の頭をわしゃわしゃしながら、褒めている。
「ちょっ!!やめてよ!!久の髪せっかくセットしたのにーー!!」
森乃のおばさんが手櫛でせっせとひー君の髪をなおしてる。
その様子がおかしくて、思わず笑ってしまった。
体育館の保護者席に向かうお父さんたちと別れて、私たちはエンタメ科の教室へと向かった。
「あー、自己紹介とか緊張するなー。」
「りいな、どんな人いるか楽しみ!」
「40人が定員だから、今までの一クラス分とそんなに変わらないだろ。それに、自己紹介の時にチャンネル名で何やっているかでも言えば、間がもつんじゃない?」
「あ、そっか。ひー君流石!!」
そんなことを話しつつエンタメ科の教室に入ったんだけど……。
あれ……??机、少な……すぎない???
私たちは、顔を見合わせた。
満開の桜がはらはらと風で散り、歩道はピンク色のカーペットのよう。
そこで、私とひー君と李衣菜ちゃんは、お父さんに写真を撮ってもらっていた。
「穂香パパっ!!ここ、映えるっ!!MikMokに投稿したいから、この桜の木の下で踊るの撮ってー!!」
「こら、李衣菜ちゃん!!文月さんは、カメラマンなのに、何携帯電話で動画を取らせようとしているのよー!」
李衣菜ちゃんのお母さんが怒るけど、全然気にしていないのは李衣菜ちゃんもお父さんもおんなじだ。
「えっ、大丈夫ですよ瀬口さん。李衣菜ちゃん、おじさんでいいなら取るよー。はい、スタート」
李衣菜ちゃんは、真新しい紺色の制服を翻して、可愛らしく踊る。
「あ、じゃあ、あっちの桜の下で、ほのちゃんと久、ほら並んで写真とりましょ。」
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「おー」
森乃のおばさんがカメラやら、携帯電話で、私とひー君を一生懸命とってくれた。
それぞれの家族写真はお父さんが撮影済みだ。
卒業式の写真もいい感じにとれていたし、今回の写真も楽しみ。
カメラチェックを終えたのか、李衣菜ちゃんはご満悦だ。
「おじさんにとってもらったー!こんな取り方あったんだって勉強になったー!!でもさー、やっぱ、この制服、イケてないっっ!!景色も、建物も最高なのに!!これ、なんで変えなかったんだろっ!!」
「確かにねー。事務服?って感じだもんね」
「俺は作業服に見える。これで動きやすいならいいけど、動きづらいのもどうなのかと思う」
まぶしいほど白いYシャツに、紺色の作業服にも事務服にも見える動きづらいだけのジャケット、それに紺色の女子はプーリッツスカート、男子はスラックス。
どう見ても、素敵な制服とは程遠い。
可愛いはずの李衣菜ちゃんも、カッコいいはずのひー君も1割は魅力が減るという、すさまじいアイテムだ。
この二人でこれなんだから、私は2割はひどく見えているはず。
見かねた李衣菜ちゃんのお母さんが、大改造にならない範囲で、三人のジャケットのウエスト部分と、私と李衣菜ちゃんのプーリッツスカートを手直ししてくれた位だ。
「まあま、何を着ていても、二人は可愛いから大丈夫!もちろんうちの息子もな―!!」
森乃のおじさんは、ひー君の頭をわしゃわしゃしながら、褒めている。
「ちょっ!!やめてよ!!久の髪せっかくセットしたのにーー!!」
森乃のおばさんが手櫛でせっせとひー君の髪をなおしてる。
その様子がおかしくて、思わず笑ってしまった。
体育館の保護者席に向かうお父さんたちと別れて、私たちはエンタメ科の教室へと向かった。
「あー、自己紹介とか緊張するなー。」
「りいな、どんな人いるか楽しみ!」
「40人が定員だから、今までの一クラス分とそんなに変わらないだろ。それに、自己紹介の時にチャンネル名で何やっているかでも言えば、間がもつんじゃない?」
「あ、そっか。ひー君流石!!」
そんなことを話しつつエンタメ科の教室に入ったんだけど……。
あれ……??机、少な……すぎない???
私たちは、顔を見合わせた。
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