推し活ぐー!

明日葉

文字の大きさ
上 下
39 / 59

しおりを挟む
「じゃあ、それ、やってみたらいいんじゃないの?何が似合うとか似合わないとか。それの小学生、中学生バージョン。興味があって好きなことなんでしょ?」
私と李衣菜ちゃんは目を見合わせる。
なんだか、一気に方針が決まって、なんだかびっくりする。
「ひー君、すごいねーー!」
「ほんとっ!!すごいすごーーーいっ!!ひー君!さすがーーーーっ!!」
「瀬口にひー君って呼ばれたくない。違う呼び方でよんで」
「えーーー、じゃあ何て呼べばいいの」
「は、森乃でいいだろ?」
「えーーー、りいな、仲間はずれなのーーー??」
なんだかんだ言って李衣菜ちゃんとひー君が仲良くなってくれて嬉しい。
李衣菜ちゃんのチャンネルの方向性が決まって、なんだか道が開けたような気持ちになった。

「じゃあ、そうと決まれば、まずは、穂香変身企画も撮っちゃおうよっ!森乃もっ!!」
「はーー??俺??やだよ??」
「なに言ってるのー!発案者っ!顔ちゃんと隠すからさ、ねっ、ねっ?」
「男の子の変身企画っていうのは、確かにウケるかも。それに、ひー君がもっと格好良くなるし、いいことづくしかもね、ひー君どうかな?」
「ーーーー今日は無理。穂香からやりな。俺、どうやって撮影しているのが受けてるのかちょっと研究しとくから」
ほのちゃんから、穂香にいつの間にか呼び方が変わっていて苦笑いする。
確かに男の子がほのちゃんとか言ったら恥ずかしいのかもしれないけど、やっと呼んでくれたと思ったら穂香って呼び捨てとか、ひー君の変わりように驚いた。
だけど、他でもない、ひー君だから、全然嫌ではないよ。
「仕方ないなーー!でも、今度ちゃんと撮らせてよーー!!じゃ、ほのちゃんの服見せて見せてーっ!!」
李衣菜ちゃんが私に覆いかぶさるようにぴょーんと飛んできた。
私は李衣菜ちゃんを受け止めて、二人で私の部屋に向かった。
いつも着ているいつもの服は李衣菜ちゃんの手にかかればちょっとおしゃれになる。
何でもおしゃれはバランス。らしいのだ。
Tシャツの裾を少しパンツにインするだけで、足長効果があるとか、帽子の被る角度を少し変えるだけで小顔効果があるとか、顔周りの髪の毛の残し方で華やかさを演出できるとか、知らないことばかりだ。
李衣菜ちゃんの言う通りに着方を少し変えるだけで、こんなに違うなんてすごいっ!
これ、きっと流行るんじゃないかな??

それからの李衣菜ちゃんの活躍はすさまじかった。
クラスメイトの手持ち服を使った変身企画をやったり、自分の持ち物紹介をやったり、変身前の服と変身後の服を来てMikMokで踊ってみたり。
もちろん、ひー君もファッション変身企画に登場させられていた。
そして、その成果かちょっとおしゃれになっていた。
なんだかんだ付き合うひー君は、優しいところが全然変わっていない。
撮り方や音楽の入れ方とか、私にも、李衣菜ちゃんにもアドバイスしてくれていた。
私は、あんまり役に立ったとはいえないんだけど、李衣菜ちゃんがもう少し、裾が短かったらいいのにーといったパンツを裾上げしたり、このリボンがなかったらこのシャツよかったのにーと言ったリボンを取って、不自然じゃないように手直ししたりした。
平たく言うと裁縫係かな?
なんか、一生分の裾上げをした気がする。
でも、皆が喜ぶ様子は私も嬉しかった。

それに加えて、李衣菜ちゃんはおしゃれに関係する色んな資格を取り出して、その資格習得の最年少記録を次々更新していった。
お勉強はできないけど、好きなことはすぐ覚えられる!って。
一度人気が出ると人が人を呼ぶとはこのことで。
李衣菜ちゃんは一気に10万人の登録者がいる人気MikMokerになった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

その答えは恋文で

百川凛
児童書・童話
あの手紙を拾ったことが、全ての始まりだったのだ。 「成瀬さん、俺の彼女になってみない?」 「全力でお断りさせて頂きます」 「ははっ。そう言うと思った」 平岡くんの冗談を、私は確かに否定した。 ──それなのに、私が平岡くんの彼女ってどういうこと? ちょっと待ってよ、ウソでしょう?

おばあちゃんっ子 ーもうこの世界にいないあなたへー

かみつ
児童書・童話
20年以上前に死んでしまった、祖母との大切な思い出を、思い出すままに書いていきます。人はどんなに大事な想いもいつかは忘れていく生き物です。辛いこともそうです。だから、もう2度と思い出すことのないことかもしれない、何気ないことも、書いていきます。 人として、とても素晴らしい、 誰からでも愛されるそんな祖母でした。 今は亡き祖母へ もう届くことのない、わたしの想いをここに書き記します。

おねこのさんぽみち

はらぺこおねこ。
児童書・童話
おねこのうたを詩や物語にしてみました。 今まで書いた詩を…… これから書く詩を…… 徒然るままに載せていきます。 また。ジャンルがなにになるかわかりませんのでおそらく一番近い「児童書・童話」で書かせていただきます。

龍神の化身

田原更
児童書・童話
二つの大陸に挟まれた海に浮かぶ、サヤ島。サヤ島では土着の信仰と二つの宗教が共存し、何百年もの調和と繁栄と平和を享受していた。 この島には、「龍神の化身」と呼ばれる、不思議な力を持った少年と少女がいた。二人は龍神の声を聞き、王に神託を与え、国の助けとなる役割があった。少年と少女は、6歳から18歳までの12年間、その役に就き、次の子どもに力を引き継いでいた。 島一番の大金持ちの長女に生まれたハジミは、両親や兄たちに溺愛されて育った。六歳になったハジミは、龍神の化身として選ばれた。もう一人の龍神の化身、クジャは、家庭に恵まれない、大人しい少年だった。 役目を果たすうちに、龍神の化身のからくりに気づいたハジミは、くだらない役割から逃げだそうと、二年越しの計画を練った。その計画は、満月の祭の夜に実行されたが……。 40000字前後で完結の、無国籍系中編ファンタジーです。

天神様の御用人 ~心霊スポット連絡帳~

水鳴諒
児童書・童話
【完結】人形供養をしている深珠神社から、邪悪な魂がこもる人形が逃げ出して、心霊スポットの核になっている。天神様にそれらの人形を回収して欲しいと頼まれた中学一年生のスミレは、天神様の御用人として、神社の息子の龍樹や、血の繋がらない一つ年上の兄の和成と共に、一時間以内に出ないと具合が悪くなる心霊スポット巡りをして人形を回収することになる。※第2回きずな児童書大賞でサバイバル・ホラー賞を頂戴しました。これも応援して下さった皆様のおかげです、本当にありがとうございました!

花言葉

未来教育花恋堂
児童書・童話
花言葉は,ギリシャ神話や伝説から生まれたもの,咲いている雰囲気からついたものなどです。その花言葉を基にした短い創作小説です。

白紙の本の物語

日野 祐希
児童書・童話
 春のある日、小学六年生の総司と葵は図書室で見つけた白紙の本に吸いこまれてしまう。  二人が目を開けると、広がっていたのは一面の銀世界。そこは、魔女の魔法で雪に閉ざされてしまった国だった。 「この国を救って、元の世界に帰る」  心を決めた総司と葵は、英雄を目指す少年・カイと共に、魔女を倒す旅に出る。  雪に隠された真実と、白紙の本につむがれる物語の結末とは。  そして、総司と葵は無事に元の世界へ帰ることができるのか。    今、冒険が幕を開く――。 ※第7回朝日学生新聞社児童文学賞最終候補作を改稿したものです。

ICHIZU~とあるコーギー犬の想い~

花田 一劫
児童書・童話
ママちゃん大好きなコーギー犬のラム。「ハアッ・ハアッ」ラムの犬生が終わろうとしていた。ラムの苦しさが無くなったが、それはあの世の世界だった。ラムはそれを知らずにママちゃんを探した。 そこに津軽弁で話す神と思われるケヤグ(仲間)が現れた。神の力でラムはママちゃんに会えるのか?

処理中です...