推し活ぐー!

明日葉

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「ちょっと……!!起きなさいよ!!人様の家で寝こけるとか、若者でもあるまいし、いい加減にしてよ!?」
リビングに入るなり、おばさんは寝ているおじさんを起こそうと、ぺちーんと腕をはたきながらどなりつけている。
この光景……3年ぶりくらいに見るかも!!
お母さんが生きていた頃は、2家族は仲が良くて両親はどちらかの家でお酒を飲んでいたっけ。
そして、その横で、私とひー君が遊んで、9時ごろに仲良く一緒に寝ていたはずだ。
まあ、それも私が今の家に引っ越す小3くらいまでの話だけど。
家が少し遠くなっちゃって、お母さんが入退院を繰り返すようになってからは家での飲み会自体がなくなったから。
「っはーー、全然起きないわ!!」
「えと、あの、泊っていかれます??お布団ありますけど……」
「いやいやいや!!迎えに来たからね、帰るよ!!!そのために久、連れてきたから!!」
「えっ?」
「この人、ほんとすぐ寝るからさ、ほら、久、そっち持って!!」
おばさんはおじさんのかばんを肩にかけてひー君をソファー前に連れてきた。
おばさんとひー君はおじさんの腕を自分の肩にかけると、空いている方の手でおじさんのわきの下を持ち一気に引き上げた。
「わーー、すごーー。おばさんもひー君の力持ちですね!!」
「コツをつかめばできるようになるわ!まあ、こんなコツ知りたくもなかったけどね!!じゃあ、ほのちゃん、お邪魔しました!!あ、ごめん、悪いんだけど、玄関での人の靴だけ履かせてくれる?」
私は、おじさんの靴を履かせて、玄関のドアをあけた。
「あ、ありがと!!うちらがでたら、すぐカギ閉めて!!戸締り大事!!」
「はいっ!!おばさん本当にありがとうございました。おじさんにもよろしくお伝えください!あっ、ひー君も、本当にありがとう!」
「おーー」
扉の横からちょこんと顔を出して、二人に向けてひらひらと手を振る。
おばさんはニコっと笑ってくれたんだけど、ひー君は私の方をちっとも見ないで返事をするものだから、こんな時なのにちょっと残念に思ってしまった。
昔は仲よくあんなに遊んでいたのに、時の流れとは残酷なものだ。
だけど、あの時のテンションのままだと、私の方が対応に困っちゃったかもだけど。
どこでもくっついてきたもんな……ひー君。
「ほんと、愛想のない!今度、是非遊びにきてね!!おばさん、ほのちゃんと話したいからー!」
「あっ、はい、ありがとうございます!!」
ばたんと玄関の扉を閉めて、すぐに鍵をかける。

今日は……なんかすごい一日だったな。
耳が痛いほどの静けさの中、自分の部屋へと戻る。
ベッドに腰かけ、部屋に飾られた家族写真を眺める。
お母さんが生きていた頃、お父さんがセルフタイマー機能でとってくれたお気に入りの一枚だ。
さっきまでのにぎやかさが嘘のようで、これが私の日常なんだと思うといたたまれない気持ちになる。

南極……南極かあ……。
私は色々なことを考えていたはずなのに、いつの間にか眠ってしまっていた。
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