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・いざ編集部!
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いつ来ても、マルバツ出版の編集部はちょびっと散らかっている。
廊下まで積みあがる本に、机の上に山のようになった書類。
これで、必要な紙が見つかるのかなって、最初は思っていたけど、皆何がどこにあるかをしっかり把握しているらしく、ささっと必要な物を取り出しているのに驚いた。
たまに、紙の雪崩がおきることはあったけれど。
「す、すごい!!本当に紙だらけ!!」
私が初めて来たときと全く同じ感想を李衣菜ちゃんが言うものだから、思わず笑ってしまう。
「ね、すごいよね。私も最初びっくりした。」
聞くのと見るのではやっぱり違うから、驚くのも無理はない。
私たちは、一階の受付でもらったVISITOR(訪問者)と書かれたネームプレートを首から下げて、編集部を通り抜け、奥にある打合せスペースへ向かった。
「ここで、いっつも待ってるの。遅れることもあるから座って待っててって言われてるんだ。座っていようか」
打合せスペースは、パーテーションで仕切られていて、3か所設けられている。
空いているところに座るシステムらしいんだけど、今日は3つ全部あいていたから、一番奥のスペースに座る。
食卓テーブル位の机と椅子が4つ置いてある。
ちょうど学校の給食の班にしたみたいな形みたいだなー、と夏休みなのにしみじみ思ってしまった。
「ごめんなさいね!ちょっと遅れちゃった!!」
野々原さんがたくさん紙のはみ出したファイルを両手にもって走りながらやってきた。
「いいえ大丈夫です!今日もよろしくお願いします。こちら、友人の瀬口李衣菜ちゃんです。」
「はじめまして、瀬口李衣菜です、今日はよろしくお願いいたします!こちら母からです。よかったら皆さんで召し上がってください!」
「あと、こちらは父からです。本日うかがえなくて申し訳ありません。こちら、父から北海道銘菓です。」
「あらあら、ご丁寧にどうも。こちらこそよろしくね。瀬口さんのマカロンこれ人気の美味しいやつね!ありがとう!お父さん今度は北海道に行っていたのね。」
「はい、昨日一回帰ってきて、今日からは沖縄だそうです」
「あら、端から端。この時期沖縄は暑いでしょうねー。あっ、これ、もしよかったら飲んでー」
ペットボトルのお茶を2本差し出されて、私達はありがたく受け取った。
「えっ、全部売れたんですか!?この間発売したばかりなのに??」
「そうなのよ。ありがたいことに嬉しい悲鳴。でもここ2日間の売り上げがあまりに凄くて、調べたわけ。そしたら、これ。二人は知ってた??」
差し出されたタブレットには、FIZZERの樹林棋王君のVitterのつぶやき。
机の上に置かれた「小学生の考える、小学生のための押し活グッズ!」の本の写真。
それに添えられた『すごく嬉しい』のつぶやき。
私は目が点になった。
「えっ、凄!!穂香、推しに認知されてる!!」
いやいやいやいや、待って!李衣菜ちゃん、びっくりしすぎて間違ってる!!
私、別に樹林君のファンじゃないんだよーーっ!!
「ね、凄いわよね!!その反応ってことは、知らなかったのね!推しに認知される瞬間!!初めて見たーー!!」
李衣菜ちゃんと野々原さんはきゃっきゃと大盛り上がりだ。
もう、こんな雰囲気で言えやしない。
私、樹林棋王君のファンじゃないうえにFIZZERのファンでもないなんてっ!!
「すごい、こんなことってあるんですね」
私の小さなつぶやきは、まるで、感極まったファンの声かのように聞こえたんだと思う。
しまいには、李衣菜ちゃんと野々原さんは涙ぐみだした。
「凄い、よかったねー、穂香!」
「ファン冥利に尽きるわね、わかるわ、私も推しに認知されたら……想像しただけでっ!!」
野々原さんは15年来のとあるロックグループのファンらしい。
給料のほとんどを、ファングッズを買ったり、各地のコンサートに足を運んでいると最初の顔合わせで聞いた。
その時に、FIZZERのファンでないと伝えておけばよかったのに、私は緊張と野々原さんのオタ活ぶりに圧倒されて、訂正の機会を失ったのだ。
ーーーーーーーーーもう、野々原さんには、樹林君のファンで通そう。
私は軽く天を仰いだ。目に映る間接照明がいつもよりもまぶしい。
ところで、李衣菜ちゃんは興奮しすぎて、私が樹林君のファンじゃないことすっっぽり抜け落ちているでしょう?
後からほんっとーーーーに怒るからね!!!
私は二人とは別の意味で涙ぐんだ。
廊下まで積みあがる本に、机の上に山のようになった書類。
これで、必要な紙が見つかるのかなって、最初は思っていたけど、皆何がどこにあるかをしっかり把握しているらしく、ささっと必要な物を取り出しているのに驚いた。
たまに、紙の雪崩がおきることはあったけれど。
「す、すごい!!本当に紙だらけ!!」
私が初めて来たときと全く同じ感想を李衣菜ちゃんが言うものだから、思わず笑ってしまう。
「ね、すごいよね。私も最初びっくりした。」
聞くのと見るのではやっぱり違うから、驚くのも無理はない。
私たちは、一階の受付でもらったVISITOR(訪問者)と書かれたネームプレートを首から下げて、編集部を通り抜け、奥にある打合せスペースへ向かった。
「ここで、いっつも待ってるの。遅れることもあるから座って待っててって言われてるんだ。座っていようか」
打合せスペースは、パーテーションで仕切られていて、3か所設けられている。
空いているところに座るシステムらしいんだけど、今日は3つ全部あいていたから、一番奥のスペースに座る。
食卓テーブル位の机と椅子が4つ置いてある。
ちょうど学校の給食の班にしたみたいな形みたいだなー、と夏休みなのにしみじみ思ってしまった。
「ごめんなさいね!ちょっと遅れちゃった!!」
野々原さんがたくさん紙のはみ出したファイルを両手にもって走りながらやってきた。
「いいえ大丈夫です!今日もよろしくお願いします。こちら、友人の瀬口李衣菜ちゃんです。」
「はじめまして、瀬口李衣菜です、今日はよろしくお願いいたします!こちら母からです。よかったら皆さんで召し上がってください!」
「あと、こちらは父からです。本日うかがえなくて申し訳ありません。こちら、父から北海道銘菓です。」
「あらあら、ご丁寧にどうも。こちらこそよろしくね。瀬口さんのマカロンこれ人気の美味しいやつね!ありがとう!お父さん今度は北海道に行っていたのね。」
「はい、昨日一回帰ってきて、今日からは沖縄だそうです」
「あら、端から端。この時期沖縄は暑いでしょうねー。あっ、これ、もしよかったら飲んでー」
ペットボトルのお茶を2本差し出されて、私達はありがたく受け取った。
「えっ、全部売れたんですか!?この間発売したばかりなのに??」
「そうなのよ。ありがたいことに嬉しい悲鳴。でもここ2日間の売り上げがあまりに凄くて、調べたわけ。そしたら、これ。二人は知ってた??」
差し出されたタブレットには、FIZZERの樹林棋王君のVitterのつぶやき。
机の上に置かれた「小学生の考える、小学生のための押し活グッズ!」の本の写真。
それに添えられた『すごく嬉しい』のつぶやき。
私は目が点になった。
「えっ、凄!!穂香、推しに認知されてる!!」
いやいやいやいや、待って!李衣菜ちゃん、びっくりしすぎて間違ってる!!
私、別に樹林君のファンじゃないんだよーーっ!!
「ね、凄いわよね!!その反応ってことは、知らなかったのね!推しに認知される瞬間!!初めて見たーー!!」
李衣菜ちゃんと野々原さんはきゃっきゃと大盛り上がりだ。
もう、こんな雰囲気で言えやしない。
私、樹林棋王君のファンじゃないうえにFIZZERのファンでもないなんてっ!!
「すごい、こんなことってあるんですね」
私の小さなつぶやきは、まるで、感極まったファンの声かのように聞こえたんだと思う。
しまいには、李衣菜ちゃんと野々原さんは涙ぐみだした。
「凄い、よかったねー、穂香!」
「ファン冥利に尽きるわね、わかるわ、私も推しに認知されたら……想像しただけでっ!!」
野々原さんは15年来のとあるロックグループのファンらしい。
給料のほとんどを、ファングッズを買ったり、各地のコンサートに足を運んでいると最初の顔合わせで聞いた。
その時に、FIZZERのファンでないと伝えておけばよかったのに、私は緊張と野々原さんのオタ活ぶりに圧倒されて、訂正の機会を失ったのだ。
ーーーーーーーーーもう、野々原さんには、樹林君のファンで通そう。
私は軽く天を仰いだ。目に映る間接照明がいつもよりもまぶしい。
ところで、李衣菜ちゃんは興奮しすぎて、私が樹林君のファンじゃないことすっっぽり抜け落ちているでしょう?
後からほんっとーーーーに怒るからね!!!
私は二人とは別の意味で涙ぐんだ。
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