吾亦紅 〜誰かの物語〜

神永 遙麦

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10話

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 1年が経った。
 
 師走も過ぎお正月を迎えた。
 節分もバレンタインデーも、ひな祭りもホワイトデーも終わった。
 4月に入った、5月になった。多くの少年少女が成長を喜ばれた。
 夏休みに入った。海で声が響いた。
 お盆に入った。

 
 更に1年経った。
 
「伊野尾 爽風が有名私立校に入学した」というニュースが流れた。「蝦名 蝶の本の印税で入ったのでは?」という憶測が流れ炎上した。

 翔太は本を古本屋で売った。
 だが、古本屋の棚に並ぶことはなかった。

 10年の月日が流れた時、煌々と輝く夜景から1つの星が減った。
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