槍の無表情聖女~彼女は舞いて笑う~

紫蘇テン

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第二章 【学園】

二槍~クラスメイトは飛んでいる~

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 私のクラスは1年S組になった。
 そして、今は槍も剣も必要ない自己紹介をしている。穏やかだ。まぁ、さっきの型破りな自己紹介と言うにはいささか乱暴過ぎるものに比べれば大抵が穏やかになるか。

 皆自分の得意なことを言っている。ここは先程の自己紹介と変わらないが好きな食べもや好きな事を言ったり、友人らしき人達が茶々を入れたりと、のどかなり。
 前世で私をいじたりする人は……いなかったなぁ。私自身いじられても反応できるか分からないけど。

「次、23番」

 私だ。……何を言えば良いのだろう。

「【ヨハネス・シーザ・ルニルク・ハールザルク】です。武器は槍で……好きなことは槍を磨くことです」

 凄く短く終わってしまった。だがそれも仕方なかろう、何故かクラス全員が私の方を会話を止めて凝視してくるのだから。喋りづらあたらありゃしない。
 
 ヂッリリリーー

 あとは、ぼんやりと後の自己紹介を聞いていると終わた。

「よし、それでは次の時間は班を決めるからな。ちゃんと時間通りに集まるように!」

 班かぁ……。私ちゃんと組めるだろうか?知り合いは……誰もいなしいなぁ。普通誰か一人ぐらい顔見知りがいてもいいものだが生憎と私はお茶会とか開かない。
 最低限、舞踏会と誕生日会に行くぐらいだ。それも挨拶に忙しくて世間話が出来なかったから会って「あら、久しぶり~」なんって言う相手は哀れかな。いないのだ。

 私がそんな風に悲しき想いに耽っていると、回りがなにやら賑やかになっていた。

「なんすんだよ!」
「煩いな、庶民が」
「なんだよ、貴族がそんなに偉いのかよ!」
「あぁ、偉いぞ。だからそこをさっさと退きたまえ」

 えっ?なにアレ?
 今にも殴りかからんばかりの勢いで会話?喧嘩?をする二人がいる。この場合いがみ合うの方が正しいだろうか?見てなかったら事情はよくわからないけど……あれ誰か止めた方がよいのでは?

「おれ達は、ただ話をしていただけだろう!」
「そうだ!」
「それが邪魔だと言っているのだ。その頭ではそんなことも分からないのか?」
「なんだと!」
「この貴族が!」

 庶民と呼ばれた少年が貴族に向かって風の魔法を行使した。なのに貴族の少年は抵抗するでもなくただそれを食らった。
 そして……

「えぇ……」

 私の方に飛んできた。マジか……。どうしよう、魔法を発動し体感時間を長くすることが私は出来るので考える。今はスローモーションで貴族の少年が飛んでくるところが見える。
 これ避けれるけど、避けたら間違いなく少年が頭を机にぶつける。

 私の選択肢は一、避ける。二、回避する。三、投げ返す。……でも一番したくない事が正解なのが人生の残酷なところだろう。四の、受け止めるがこの場合は正しいだろうか?

 私は手を前に出し受け止めやすい体勢をする。

「あっ、軽い……」
「!?」

 そして、飛ばされてくる少年を上手いことキャチしたのはいいがコレどうしてくれようか?驚愕の目で私の見てくる少年と目が合って非常に気まずい。
 それに受けとめ方としてこれが一番取りやすかったからとは言えども、流石にお姫様抱きはないと自分でも思う。

 こう言うのって普通もっとロマンチックにするものではないだろうか?いや、そもそも逆だ。女がしてどうする。このポジションにはアルサード様辺りが適任でしょうよ。

「えぇ……と……。大丈夫ですか?……怪我はありませんか?」
「はっ?えっ……ない?」
「そうですか……。下ろしますよ?」
「あぁ……?」

 そんなキョトンとした顔しないでくださいよ。受け止めたこと後悔するではないですか。と言いたい。でも私は頑張って言葉を呑み込んだ。偉いぞ、私。

「……」
「……」
「……」
「……」

 なんで誰も喋らないですか!?この貴族の少年を飛ばした少年二人!あんたらさっさと喋らんかい!なにコレ?





◆◆◆◆◆

 遅くなりました。話とか考えてなくて行き当たりぼったりで考えているので遅くなります。
 戦闘のシーンは別視点で書くつもりです。
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