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第一章 竜王参上!

七竜~ゲームは男どもと共に!~

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 色々と竜の国から持ってきたが、どのゲームが良かろうか……。やはり王道の勇者が魔王を倒すRPG か、それともハーレム勇者御一行の恋愛シュミレーション、軍を動かし敵の城を攻略する戦記もの……。実に悩ましい。

「ねぇ、ナハトさん?何があったの?それとも……なのかい?」
「フッガフウ!!(そんなわけあるか!)」
「いや、君がどんな趣味でも君の勝手だと思うけど……せめて、部下には見せない方がいいと思うよ?魔王軍の士気にかからるだろうから……」
「フガッガフウ!?ガフッガウ(何を言っているだ!?無駄に気を使うな!!)」
「……しかし、魔王が人に縛られているところを見せる趣味があるとは……僕より性癖ヤバくない?」
「フガァーー!!(比べるなぁーー!!)」

 まぁ、最終的には全てやらせればよいがな。三日四日徹夜でも魔王なら問題なかろう。だが、最初だからなここは頭を使う系は後に回しておこう。

「だって、その鎖自分でやった物なんでしょう?魔王を縛る鎖何って誰が出せるのさ……」
「フガァーー!!(アイツダァーー!!)」
「えっ?何でリヒテッンの方を見てるの?……ま、まさか縛ってもらったの!?」
「ガァアーー!!(違うーーー!!)」

 やはり、最初は王道の魔王を倒すものだなタイトルは【勇者の野望】……どこかで聞いたことのある名前だが……。竜の国にいる家臣にオススメのゲームを聞くとこれを渡されたからな。なんでも、戦闘中に選択肢が出てくるハラハラドキドキするゲームらしい。
 折角家臣がわざわざ選んでくれた一押しのゲームだからな無下には出来まい。ナハトにはこれをやらせようと思うのだが……。

「おい、ナハトなにを遊んでいるゲームやるぞ」
「フゥガウーファ!!(遊んでねぇーよ!!)」
「何を言っているのだ?…………あぁ【解除】」

 鎖を解くと同時にナハトが床に激突する。顔をおもいっきり打ち付けたようだ。……ざまぁ。イケメンは討ち滅ぼすべきである。これは家訓でな、まぁ……余の血族は余以外いないのだがな。

「お前なァーー!!マジふざけるなよ!」
「まぁ、よいではないか」
「よくねぇーよ!見ろ鎖の跡がついただろー!」
「…………男の肌など見なくないわ……」
「ッ!我だって見せたくて見せてる訳ないだろ!」

 ナハトが軍服の胸元を開け、指を指す。確かに鍛えられ、しきしまった肌に少し赤い跡がついておる。……これが女性であったらな余は喜ぶのだが……男が羞恥心に顔を赤くさせ涙目で睨み付けてくる。
 うぇ……。何か余が悪いことをしたか?したのなら謝ってやってもよい。だからチェンジしろ。

「おい、今失礼なこと考えただろ!」
「至極当然のことを考えただけである。そんな下らないことよりもだ、ゲームするぞ」
「下らないって言うなァー!!」

 ゲーム機にゲームを挿入して電源を入れる。ゲームとかでオープニングがあるやつがあるが余は見る派だ。これを見ていると「おぉ~始まった~」感がある。
 説明書には灰色の髪に黒目の男が主人公のようで旅の道中に出会った者をパーティーに加えながら魔王討伐に向かうというシンプルな内容である。まさにご定番のRPG ゲームであるな。

「よし、ナハト名前はどうするぞ?」
「えっ?……名前?」
「主人公の名前である」
「そんなの知らねぇよ」
「考えろ。さもなくばお前の名前【あああああ】とかになるぞ」
「我!?この黒画面の中でずっと歩いているが進まないヤツ我なのか!?」
「あぁ、それがお前だ。よいのか?旅の行く先々で【あああああ】様とか言われても。親が適当につけられたんだろうと哀れまれるぞ」
「いやだ……が……。名前と言われてもなぁ……」

 それほど深く考えることでもないであろう。こんなの適当でよいのだ。メインは戦闘なのだからな。

「ならさぁ【ナハト】でいいじゃない?プレイするのはナハトなんだから」
「いや、それは……なんか嫌だなぁ……」
「じゃあ【復讐の化身暗黒仮面】でどう?」
「いや!こいつ設定上は勇者なんだろう!?復讐に取りつかれてどうする!」
「【ブラックバス】」
「なんか、魚ぽい!しかも有害そう!」
「【ポヨヨロメ】」
「弱っ!一撃でしにそう!」

 トーデスが助言するが文句が多いぞ。だが、トーデスのヤツ真面目に考えてはいないな。最初だけだマトモなものは。

「なら、自分で考えればよかろう」
「うっ……それはそうだが……」
「適当でいいのだ、適当で」

 ナハトは顎に手を置き考えるように唸っている。本当、この男変なところ真面目で頭が固いのだ。もっと、柔軟に考えれないものか。まぁ、確かにゲームの名前で結構な時間を消費したこたが、余もあるが……。

「あぁぁー……、思い付かない……」
「ならさぁ、コントローラ見ないで押せばいいんじゃない、ほら」

 トーデスのヤツがそう言うやいなや、ナハトからコントローラを奪い無茶苦茶に名前を入力していく。
 ポチッと音ともに黒画面からストーリーが流れ出し、勇者の名前がデデーンと写る。

『勇者【マゾヒスト・ドエース】は旅に出た。』

 余らは無言でゲームの電源を切った。


 







◆◆◆◆◆

 すいません、相当停滞しておりました。これからも、不定期更新になると思いますが、読んでくださると嬉しいです。
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感想 1

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みんなの感想(1件)

宗谷七瀬
2017.01.27 宗谷七瀬

自由奔放な人(竜?)は見てて気分がいいですね(笑)
なんだか、日頃のうさが晴らせたようでスッキリします( ̄∇ ̄)

紫蘇テン
2017.01.27 紫蘇テン

 宗谷七瀬様感想ありがとうございます!

 そして大変嬉しいお言葉感謝です!後先考えずに書いているため、不定期でグダグダになりがちですが頑張って更新したいと思います。
 これかも宜しくお願いします(*´ω`*)

解除

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