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第一章 竜王参上!

六竜~立ち話は長々と共に~

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 余はトーデスと部屋に向かう。ナハトが余のために用意した部屋だ。転移魔法で一瞬で帰れるのにわざわざ用意する辺りやはり相当律儀なものだ。せっかくだから使わせてもらっているがな。日当たりも良いし、景色も良いと余の第二の部屋として使っている。

「ん~ここなの?」
「そうである」
「……ここ誰の部屋?」
「余のだが?」

 トーデスのヤツがじーと見つめてくる。……なんだ、嘘はついていないぞ?それともそっちの趣味か?ロリコン、ショタコンに続きホモとか、盛りすぎて胃もたれをおこすぞ?
 言っておくが余はそっちの趣味は一切無いからな。

「君ここの従業員じゃないの?この部屋客室だけど……」
「ん?違うぞ、余は……なんだ?遊びに来ている?」
「何で疑問糸?でも魔王城に遊びに来るって君何者?」

 あぁ、そう言えば名前言ってなかったな。

「余か?余は【竜王】をやっている【リヒテッン・ズィルバァヴァイス・アルタートゥム・ドラッヘ】親しいものリヒテッン様と言うな、好きに呼んでくれればよい」
「へー……ってええぇ!?」
「煩いぞ急に奇声を上げて」
「りっ、りりりりゅうおうううぅ!?」

 いきなりなんだ、そんな化け物を見たような反応は。地味にうざいぞ。頭蹴り飛ばしてやろうか。家臣には呆れたような諦めたような疲れたような顔をされた事が少々……たまに……多々あったが……まぁよい。

「竜王って本当にあの【暴虐の竜王】なの!?」
「誰だ、そんな名前付けたやつは」
「あと他にも、【殺戮の竜】とか【暴君竜帝】や【虚空の支配者】とかも呼ばれてるよ!」
「いらん!」

 なんだ、その中二病です!て言っているような名前は!殺戮に暴君て明らかに凶暴なやつであろうそれ、こんな温厚な余を捕まえてそんな物騒極まりない二つ名を付けたやつはどこのどいつであるか。引きちぎってミンチにしてブレスで焼き尽くすぞ、まったく。

「あの……竜王様?何故このような所におられるのですか?」
「なんだ急に態度を変えよって、先のままでよかろう」
「いや……はははは、そうで……そ、そうかい?」
「フム、その方がよいな」

 こいつに今更敬語を使われても気色悪いだけである。逆に鳥肌が立つぞ……いや、余の場合は竜肌か?それはそうとこいつ、ナハトに用があったのではないか?こんな部屋の前でグダグダしておってよいのか?

「お主ナハトに用があったのではないのか?」
「うん?あぁ、そうだったね……あまりにもの衝撃に忘れてたよ……」
「何に驚いたのだ?」
「いやいや、君だよ!?自覚なのかもしれないけど、君の存在は王の中でも特別扱いされてるからね!?」

 特別扱いとは……はて?こやつも同じ王でろうに。しかも人間の王とは違い実力で王位についたのだろ?余もそうだ。他を圧倒する力が無くては竜の王にはなれん。それは他の種族も同じと聞くが……。

「竜族自体が種族の中でも突出して特別な存在だからね、その王なら尚更だよ!」
「そうであるか?」
「知らなかったの!?」
「竜の国は他の種族がほぼいない大陸にあるからな、あまり情報が入ってこぬのだ」
「そうなの?」
「余がこの大陸に来たのもナハトのやつが召喚したからでこの大陸来たのは初だからな」

 竜族は本来の姿は一般的な成竜なら全長20~30ほどで、幼竜でも5~10と他の種族に比べれば大きく暮らすにしても何かと目立つ。それに見つかれば我らを倒そうと討伐に来る人間が多く煩わしいと旅の竜によく聞く。
 わざわざ面倒な所に誰も行きたくなどないわ。だから、竜の国に住む竜は基本的に国からは出ようとしない。気分転換にプラプラ旅をしにいく竜はいるがな。

「そうなんだー……へーー」
「そもそも余は冷静沈着で温厚であるから」
「レイセイチンチャク?オンコウ?誰が?」
「あぁ?何だ、なにか言ったか?」
「いや、君……」
「ウエルダンとミディアムお主はどちらが好みであるか?」
「ナンデモナイデスー」

 空耳と言うものもあるもだな。さぁて、さっさとトーデスをナハトに会わせるか。何故こんな所で立ち話をしなければならんのだ。余は紅茶を所望するぞ。

「さっさと入るぞ」
「あぁ、君は温厚なんだね」
「そうである」
「いやね、ボク二つ名を聞いたとき凄いヤバイやつなのかと思っててね」
「失礼な、余ほど常識竜はおらんぞ」
「……そ、そうなんだーー……」

 そうだ、だからその疑うような目を止めよ。余は部屋の扉に手をかけ扉を開く。あっ!……忘れておった……。部屋の中には……

「温厚?」
「…………」

 鎖に縛られ拘束された魔王ナハトさんがいた。




◆◆◆◆◆

 どうも、まさかの立ち話で一話終わるというつまらない展開になりました。すいません。色々説明した事がありまして、竜王のポジションとかね。
 次はもう少しテンポよくいきたいですね。あと、主人公の挿し絵です。

 
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