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モブ的な学校生活2
モブ女子の買い物は騒がしく2
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私の予想以上に人が多くて自警団の人達がいるのは買い物に来た人達の整理のためだった。
「はーい、ミーシャのハンドメイドショップに買い物に来た方~、並んでくださーい。最後尾はこちら~」
「列の最後尾」と書かれた板を掲げて誘導する自警団の人に促され私や他のお客さんが列にならぶ。早くも売り切れになりそうな予感。
私とローラの前に並ぶ見慣れたピンク色の髪。黒皮のジャケット。同じく黒皮のミニスカート。腰から下がったチェーンはおしゃれだろうか。喧嘩用だろうか。
「・・・・・・ケイティ?」
「あっ?」
振り返ったのは眉は生え揃ってきたけど目の下もまぶたも黒く塗って赤い口紅をつけたケイティだった。おしゃれの感性が真逆タイプなローラがドン引きしている。
「ああ、やっぱり。ケイティも手袋を買いにきたの?」
「こういうのが一つくらいあれば男受けがいいって聞いたからな。レイリリも買いにきたのか?」
「うん。一つくらいあったほうが家の仕事の手伝いの時とかに話の種になるから。途中でローラさんと会ったから一緒に来たんだよ」
隣で衝撃的な表情をローラがしている。ケイティってパステルカラーやレースの手袋とは無縁そうだもんね。でも彼女は先生に恋する乙女なんだよ。可愛いものを買うくらい先生が好きな彼女に心の中でニヤニヤしてしまう。
「レイリリさんとシュヤーノさんって、お友達なの?」
今も衝撃的な表情のままローラが聞いてきた。
「うん。友達だよ。実習で同じグループになってから仲良くなったんだよ」
「あんたもあたしのことはケイティって呼び捨てでいいぜ。よろしくな」
「よ、よろしく」
話をしているうちに順番がまわってきて私達は三人でミーシャのハンドメイドショップの売り物を見ることにした。残念ながら手袋は売り切れだったけど手提げかばんや古着で作られたコサージュなどを見ることができた。
「お、これ良いんじゃね?」
ケイティが手に取ったのはフリルがたっぷりのパステルピンク色の手提げカバンだった。途端にギラッとローラの目が光った。不穏な空気を感じる。
「・・・・・・似合わないわ」
「え?」 「はあ?」
私と同時にケイティも声を出した。
「その真っ黒黒のモジャみたいな服にパステルピンクのかわいいフリルは合わないの!しかも服はまだ体に馴染んでない皮!カバンは痛みが少ないし質のいいドレスからとったとはいえ古い布!違和感が仕事しかしない組み合わせ!分かる!?く・み・あ・わ・せ!言い換えればコーディネイト!手袋やカバンを買うのに服は自由よ!だけどもそれにそのカバンは暴虐よ!皮の服ってコーデが上級者向けなのに何考えてるのよ!奇抜なメイクをしたあなたがカバンを手に持っただけでゾワワって鳥肌が立ったわよ!」
いきなり饒舌を通り越して早口で語るローラに今度はケイティがドン引きしている。私も彼女の勢いに引いた。
「買いなさいよ!買えばいいわ!だけど服はカバンに合わせて全てやり直しよ!私が選んであげるからいかに自分が変なことをしているか自覚しなさい!」
「お、おう」
超高圧的なローラに押されてケイティがカバンを買うことになった。その時になって店員の女の子に初めて意識が向いた。年下っぽい店員さんもこの異常事態にドン引きした顔をしていた。ケイティからお金を受け取って「ありがとうございました」と引きつった笑顔を見たときにドコかでみたような気がした。
店員さんもこちらの視線に気がついてこちらを見たから目があった。
パチッとスイッチが入ったかのように彼女の目が見開いて「お探しものはございませんか~?」と尋ねられた。
「どれも素敵なんですけど目当ての手袋がなかったのが残念だったのでまた来ますね」
私がそう言うと「またお越しくださいね」と店員さんに頭を下げられた。残念だけど今度はあるといいなあ。
私はローラと服を選ぶことになったケイティと別れて家に帰った。服選びも見たかったけど肥料二袋を持ったままだと肥料の臭いが袋からムワンと漂ってくるから気になって買い物に集中できないんだよね。
「はーい、ミーシャのハンドメイドショップに買い物に来た方~、並んでくださーい。最後尾はこちら~」
「列の最後尾」と書かれた板を掲げて誘導する自警団の人に促され私や他のお客さんが列にならぶ。早くも売り切れになりそうな予感。
私とローラの前に並ぶ見慣れたピンク色の髪。黒皮のジャケット。同じく黒皮のミニスカート。腰から下がったチェーンはおしゃれだろうか。喧嘩用だろうか。
「・・・・・・ケイティ?」
「あっ?」
振り返ったのは眉は生え揃ってきたけど目の下もまぶたも黒く塗って赤い口紅をつけたケイティだった。おしゃれの感性が真逆タイプなローラがドン引きしている。
「ああ、やっぱり。ケイティも手袋を買いにきたの?」
「こういうのが一つくらいあれば男受けがいいって聞いたからな。レイリリも買いにきたのか?」
「うん。一つくらいあったほうが家の仕事の手伝いの時とかに話の種になるから。途中でローラさんと会ったから一緒に来たんだよ」
隣で衝撃的な表情をローラがしている。ケイティってパステルカラーやレースの手袋とは無縁そうだもんね。でも彼女は先生に恋する乙女なんだよ。可愛いものを買うくらい先生が好きな彼女に心の中でニヤニヤしてしまう。
「レイリリさんとシュヤーノさんって、お友達なの?」
今も衝撃的な表情のままローラが聞いてきた。
「うん。友達だよ。実習で同じグループになってから仲良くなったんだよ」
「あんたもあたしのことはケイティって呼び捨てでいいぜ。よろしくな」
「よ、よろしく」
話をしているうちに順番がまわってきて私達は三人でミーシャのハンドメイドショップの売り物を見ることにした。残念ながら手袋は売り切れだったけど手提げかばんや古着で作られたコサージュなどを見ることができた。
「お、これ良いんじゃね?」
ケイティが手に取ったのはフリルがたっぷりのパステルピンク色の手提げカバンだった。途端にギラッとローラの目が光った。不穏な空気を感じる。
「・・・・・・似合わないわ」
「え?」 「はあ?」
私と同時にケイティも声を出した。
「その真っ黒黒のモジャみたいな服にパステルピンクのかわいいフリルは合わないの!しかも服はまだ体に馴染んでない皮!カバンは痛みが少ないし質のいいドレスからとったとはいえ古い布!違和感が仕事しかしない組み合わせ!分かる!?く・み・あ・わ・せ!言い換えればコーディネイト!手袋やカバンを買うのに服は自由よ!だけどもそれにそのカバンは暴虐よ!皮の服ってコーデが上級者向けなのに何考えてるのよ!奇抜なメイクをしたあなたがカバンを手に持っただけでゾワワって鳥肌が立ったわよ!」
いきなり饒舌を通り越して早口で語るローラに今度はケイティがドン引きしている。私も彼女の勢いに引いた。
「買いなさいよ!買えばいいわ!だけど服はカバンに合わせて全てやり直しよ!私が選んであげるからいかに自分が変なことをしているか自覚しなさい!」
「お、おう」
超高圧的なローラに押されてケイティがカバンを買うことになった。その時になって店員の女の子に初めて意識が向いた。年下っぽい店員さんもこの異常事態にドン引きした顔をしていた。ケイティからお金を受け取って「ありがとうございました」と引きつった笑顔を見たときにドコかでみたような気がした。
店員さんもこちらの視線に気がついてこちらを見たから目があった。
パチッとスイッチが入ったかのように彼女の目が見開いて「お探しものはございませんか~?」と尋ねられた。
「どれも素敵なんですけど目当ての手袋がなかったのが残念だったのでまた来ますね」
私がそう言うと「またお越しくださいね」と店員さんに頭を下げられた。残念だけど今度はあるといいなあ。
私はローラと服を選ぶことになったケイティと別れて家に帰った。服選びも見たかったけど肥料二袋を持ったままだと肥料の臭いが袋からムワンと漂ってくるから気になって買い物に集中できないんだよね。
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