婚約話も持ってこられないモブ令嬢はとりあえずイモを植える

ピエ

文字の大きさ
上 下
23 / 34
モブ的な学校生活2

モブ女子の放課後は忙しい3

しおりを挟む
セラビーが顎に左手を当てて考え込む。やがて意を決したように顔をあげた。

「先生。もう一度、本物のスライムと戦うことはできませんか?やり直したいんです」

セラビーの言葉にバードン先生は頭を掻いてから真面目な顔をした。

「残念だけどなー、やりなおしっていうのはないんだ。普通は同じ敵と二度戦うことはないからな。命をかけた戦いっていうのは生き残るか死ぬかだ。補講をするのは他の仲間たちと比べてお前たちの経験や知識が浅いのを補ってやるためだ。学校を出たお前たちに沢山のことを吸収して生き残って欲しいからだ。どうしてもと言うなら二学期にまた実習があるからその時に頑張ってみろ」

「先生、あたしからも頼むよ。少人数制の学校だからデカい学校と違うんだろ?」

「お願いします。どうか僕達の経験や知識を補ってください。もっと学びたいんです」

「今、あたし達にはやり直しが必要なんだよ。頼むよ。先生」

ケイティが話しながらグイグイと先生に近づいていき、セラビーも途中から先生にお願いするのでその勢いに負けて先生が後ろに下がっていく。ここで私が二人のチームメイトとして何もしないわけにもいかず「先生、お願いします」とケイティとセラビーの後ろについて先生に頼む。

「・・・・・・よーしっ。分かった。お前たちの熱意に俺は負けた。だけどすぐには無理だ。林の使用許可や準備がある。来週の休校日に補講実習できるように学校に申請しておく。だけど学校に反対されたらそのときはすまん」

私達に諦めさせるのを諦めた先生は両手を上げて降参するように林で補講実習を学校にする申請を約束してくれた。

「よっしゃ!あたしたちのチーム最高じゃね!?」

ケイティが右手を上げてハイタッチを求めてきた。

「そうだね。良いチームだと思うよ」

私はその手にハイタッチをすると彼女はセラビーにもハイタッチを求めた。

「ケイティ、ありがとう。君が僕よりもずっと頑張っている姿をみて僕も頑張ろうと思ったんだ。君みたいに積極的になれたかな」

そう言いながら彼はハイタッチに応えた。

「十分なれてるじゃねーか。先生に林の実習の約束を取り付ける勉強マニアなんてセラビーくらいじゃん。あたしらまで巻き込んじまってさ~。あたしは暇だからいいけどよ。レイリリにはお礼を言っとけよ」

「うん。ケイティ、ありがとう」

そして今度はセラビーが私の方を見た。

「レイリリ。ありがとう。いつもノートを貸してもらっているのに補講まで巻き込んでしまってごめん」

そう言いながらハイタッチを求めてきた。男の子からハイタッチされる日が来てドキドキしてしまう。

「ぜんぜん大丈夫。私の方が皆の足を引っ張ったし、セラビー達に悪いと思ってたし。こちらこそありがとう」

自分で何を言っているのかよく分からないけど彼の手に自分の手の平を軽く当ててタッチした。
先生が「青春だな!」と私達の横で笑っていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

公爵家長男はゴミスキルだったので廃嫡後冒険者になる(美味しいモノが狩れるなら文句はない)

音爽(ネソウ)
ファンタジー
記憶持ち転生者は元定食屋の息子。 魔法ありファンタジー異世界に転生した。彼は将軍を父に持つエリートの公爵家の嫡男に生まれかわる。 だが授かった職業スキルが「パンツもぐもぐ」という謎ゴミスキルだった。そんな彼に聖騎士の弟以外家族は冷たい。 見習い騎士にさえなれそうもない長男レオニードは廃嫡後は冒険者として生き抜く決意をする。 「ゴミスキルでも美味しい物を狩れれば満足だ」そんな彼は前世の料理で敵味方の胃袋を掴んで魅了しまくるグルメギャグ。

大好きな恋愛ゲームの世界に転生したらモブだったので、とりあえず全力で最萌えキャラの死亡フラグをおっていきたいと思います!

赤蜻蛉
ファンタジー
メインで書いてた転生もののファンタジー恋愛小説!のつもりです。 長編書くのは実はこれが初めての作品なので、どうぞ暖かい目で見守って頂けたら嬉しいです。 他の小説サイトで書いてたモノを多少文章の誤字脱字や言い回しがおかしいところだけを直してアップしてます。 読み返しながら、色々複雑な気持ちです 。よろしくお願いします!

オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!

みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した! 転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!! 前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。 とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。 森で調合師して暮らすこと! ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが… 無理そうです…… 更に隣で笑う幼なじみが気になります… 完結済みです。 なろう様にも掲載しています。 副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。 エピローグで完結です。 番外編になります。 ※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。

はずれスキル念動力(ただしレベルMAX)で無双する~手をかざすだけです。詠唱とか必殺技とかいりません。念じるだけで倒せます~

さとう
ファンタジー
10歳になると、誰もがもらえるスキル。 キネーシス公爵家の長男、エルクがもらったスキルは『念動力』……ちょっとした物を引き寄せるだけの、はずれスキルだった。 弟のロシュオは『剣聖』、妹のサリッサは『魔聖』とレアなスキルをもらい、エルクの居場所は失われてしまう。そんなある日、後継者を決めるため、ロシュオと決闘をすることになったエルク。だが……その決闘は、エルクを除いた公爵家が仕組んだ『処刑』だった。 偶然の『事故』により、エルクは生死の境をさまよう。死にかけたエルクの魂が向かったのは『生と死の狭間』という不思議な空間で、そこにいた『神様』の気まぐれにより、エルクは自分を鍛えなおすことに。 二千年という長い時間、エルクは『念動力』を鍛えまくる。 現世に戻ったエルクは、十六歳になって目を覚ました。 はずれスキル『念動力』……ただしレベルMAXの力で無双する!!

ペットたちと一緒に異世界へ転生!?魔法を覚えて、皆とのんびり過ごしたい。

千晶もーこ
ファンタジー
疲労で亡くなってしまった和菓。 気付いたら、異世界に転生していた。 なんと、そこには前世で飼っていた犬、猫、インコもいた!? 物語のような魔法も覚えたいけど、一番は皆で楽しくのんびり過ごすのが目標です! ※この話は小説家になろう様へも掲載しています

【完結】前世の不幸は神様のミスでした?異世界転生、条件通りなうえチート能力で幸せです

yun.
ファンタジー
~タイトル変更しました~ 旧タイトルに、もどしました。 日本に生まれ、直後に捨てられた。養護施設に暮らし、中学卒業後働く。 まともな職もなく、日雇いでしのぐ毎日。 劣悪な環境。上司にののしられ、仲のいい友人はいない。 日々の衣食住にも困る。 幸せ?生まれてこのかた一度もない。 ついに、死んだ。現場で鉄パイプの下敷きに・・・ 目覚めると、真っ白な世界。 目の前には神々しい人。 地球の神がサボった?だから幸せが1度もなかったと・・・ 短編→長編に変更しました。 R4.6.20 完結しました。 長らくお読みいただき、ありがとうございました。

家族もチート!?な貴族に転生しました。

夢見
ファンタジー
月神 詩は神の手違いで死んでしまった… そのお詫びにチート付きで異世界に転生することになった。 詩は異世界何を思い、何をするのかそれは誰にも分からない。 ※※※※※※※※※ チート過ぎる転生貴族の改訂版です。 内容がものすごく変わっている部分と変わっていない部分が入り交じっております ※※※※※※※※※

異世界へ五人の落ち人~聖女候補とされてしまいます~

かずきりり
ファンタジー
望んで異世界へと来たわけではない。 望んで召喚などしたわけでもない。 ただ、落ちただけ。 異世界から落ちて来た落ち人。 それは人知を超えた神力を体内に宿し、神からの「贈り人」とされる。 望まれていないけれど、偶々手に入る力を国は欲する。 だからこそ、より強い力を持つ者に聖女という称号を渡すわけだけれど…… 中に男が混じっている!? 帰りたいと、それだけを望む者も居る。 護衛騎士という名の監視もつけられて……  でも、私はもう大切な人は作らない。  どうせ、無くしてしまうのだから。 異世界に落ちた五人。 五人が五人共、色々な思わくもあり…… だけれど、私はただ流れに流され……

処理中です...