婚約話も持ってこられないモブ令嬢はとりあえずイモを植える

モブ的な学校生活２

モブ女子の放課後は忙しい２

私はセラビーの方を見ると彼は真剣な表情で先生の話を聞いていた。彼の向こうにいるケイティも真面目に先生の話を聞いていた。

「スライムを物理攻撃で倒す場合、斬る攻撃に弱い。鋭いものでの突き攻撃や硬いものでの打撃には強い。実際にやってみるのが分かりやすいな」

そう言って先生が白いスライムの入ったモンスターカゴの蓋を開けて腕を入れるとスライムを取り出した。地面に置くとプルンと揺れて林でみたスライムとちょっと違う感じがした。

「こいつは授業用の疑似スライムだ。疑似スライムといってもモンスターじゃないぞ。作り物だからな」

ずっとスライムだと思っていたけど作り物らしい。

「みんなでこいつを手で叩いたり蹴ったりしてみろ」

先生の言葉に私達は戸惑う。作り物が叩いたり蹴ったりすることで壊れてしまわないかと心配があった。

「使い捨てだからな。壊したら弁償がいるもんじゃないからな！心配はしなくていいぞ。むしろ豪快にやってくれてもいいぞ！」

ガハハと笑う先生。先生が笑っている間にケイティが白い疑似スライムに近づいて硬そうな黒い靴で踏みつけた。ポヨンと音が付きそうな弾力で疑似スライムの形が変わる。

「うええっ、ボヨンボヨンしてやがる。足が弾力で弾かれそうだ」

「おっ！良い感想だぞ！そうだ！スライムは弾力がある。だから力の弱い打撃は弾く。潰そうとおもったらデカくて重いものでないと難しいぞ」

私とセラビーもスライムを手で叩いたり足で踏んだりしたけどボヨンボヨンとする疑似スライムはおもちゃのようだった。
次に先生がナイフを貸してくれてスライムを切る練習をした。深く切るほど、スライムの身を削ぐほどダメージも深くなるという。

「スライムの核はスライムの弱点だ。奴らは体の真ん中に核があって突剣の達人は一撃でスライムの核を破壊するぞ。スライムに限った話じゃないが弱点を狙った攻撃はかなり有効だ。だけどな。戦い慣れてないうちは地道にダメージを与えて倒すのが一番だぞ」

「先生さ、もしもスライムを罠にかけようとしたらどうすんだい？」

先生に質問をしたのはケイティだった。さっき先生が罠を仕掛けてもあまり意味がないと言っていたのによっぽど林での実習でスライムに落とし穴の罠を壊されたことを根に持っているみたいだ。

「おっ。ケイティ。お前もやる気があるな！そういえばお前たちのチームは最初に罠を作ってたな。罠にはめたいなら罠に誘い込む必要があるぞ。林のスライムなら小動物を餌におびき寄せて自動発動する結界に閉じ込めるのがいいかもしれんな」

「なぜ結界なんですか？」

今度はセラビーが先生にたずねる。

「お前たちがしようとしてた落とし穴だけどな。スライムは足がないだろ。それに粘着力もある。でかいナメクジみたいなもんだ。あいつらは下り坂みたいになった穴は簡単に這い出せるんだぞ。敵を穴に落としたいなら上に登ろうとすると急な傾斜で下に落ちるような穴や直角の深い穴が理想だな」

穴のイメージは地面に三角形があり、底が広くて穴の入り口が狭いものだと先生が言った。