婚約話も持ってこられないモブ令嬢はとりあえずイモを植える

ピエ

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モブ的な校外魔法実習1

夜のイベント

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現場からお送りするのはレイリリ・モブーナです。ただいま、夜の9時を過ぎたところです。学校の行事で外泊する場合、消灯時間は基本的には10時らしいのですが野営訓練も兼ねているため夜の探索をしないグループは結界の確認のため巡回を交代で行ないます。
引率の先生と私とセラビー、ケイティも夜間の見回りをしていたのですが私はなぜかはぐれてしまいました。
そんな脳内実況をしながら松明を持ってみんなが持つ明かりを探す。木々の隙間から2つの明かりを見つけたのでセラビー達かもと思ってそっちに行くことにした。

近づいてみると二人の男女の姿だけどセラビーとケイティではなかった。幼なじみコンビと言われているローラとマックスだった。

「どうしよう?みんなとはぐれちゃったわ。クレフは大丈夫かしら?」

「あいつならコベルト達と一緒だろ」

おや、彼女たちもはぐれたようですね。彼女たちと一緒に仲間を探すのがレイリリにとって安全でしょう。脳内で物語のナレーター風実況をしてみる。そっと近づくとマックスがローラの手を掴んだ。おや?これは・・・・・・告白見ちゃうモブフラグ?

「ローラ、俺、ずっとお前に言いたいことがあったんだ」

「マックス、どうしたの?急に真顔になっちゃって」

松明の火が二人の顔を照らす。松明の光で私は二人を見つけたのだからこ向こうも私のことを見つけない?
告白タイムを邪魔する気はないけど今の私は迷子。大事な雰囲気は察しても聞かないように遠くに行くのは自殺行為だから動けないんだよ。

「俺達、ガキの頃からずっと一緒だったろ。これからもずっと友達で、なんだかんだ一緒にいるんだと思ってた。
お前が先輩に告白されるのを見る前まではさ」

「やだ、そんなところ見ないでよ。スケベね~」

ローラが茶化すけどマックスは真剣な顔のままだ。少女漫画によくある幼なじみが告白されたから意識しだす恋。甘酸っぱいこの恋の行方は気になる。あ、告白みたらスケベ認定されちゃう。でも頼れるのはあの二人だけだし、恋の行方も気になるし、助けを求めて割り込んで告白クラッシュするのも悪いし。

「俺、お前のことが」 

パキッ

あ、告白シーンを逃すまいと無意識に前のめりになってうっかり枝踏んじゃった。

「誰だ!?」

「・・・・・・みんなー?そこにいるんですか~?巡回ではぐれちゃいました~」

うっかり告白クラッシュをしてしまった私はとっさに今ここに来たふりをした。
幼なじみの関係が壊れるかもしれないのに勇気をだして告白しようとしたら迷子になったクラスメイトに邪魔されたマックスが複雑な顔をしている。

「モブーナさん?大丈夫?もう大丈夫よ。一緒にみんなを探しましょう」

ローラも複雑な笑顔だけど安心しているようにも見えた。ん~、これはマックスのことを男と意識してなかったから?先輩の方が良かったとか?そういえば先輩への返事ってなんて返したんだろう?気になってしまうけど聞いたら覗き見していたのがバレるから胸の中にある質問の扉に鍵をかけた。

「いや、無闇に探し回らない方がいい。自陣に戻ろう。クレフ達ははぐれた時は戻るように言ってるから大丈夫だ。それよりモブーナさんは先生たちにはぐれたことを報告したほうがいい。きっと向こうもさがしているはずだ」

マックスが先頭になり、私とローラは並んで歩いた。ローラがテンション高めで色々と話しかけてくれたけどマックスの気持ちを考えると結構気まずかった。

キャンプ地点に戻ると先に戻っていたセラビー達と私を探す準備をしていた先生たちがいた。
私ははぐれた事をしこたま怒られた上に緊急時の連絡石をこういう時に渡していたのになぜ使わなかったとさらに怒られて反省文5枚を後日提出することになってしまった。
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