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モブ的な学校生活1
モブ女子、事件の一部を目撃
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今日は学校が休みなので畑でジャガイモを掘って家に持って帰った後は街に出てブラブラすることにした。
カツレアさんに手袋を楽しむのは貴族の嗜みという話を聞いたので彼女オススメの店にまずは行ってみた。白を基調としたクラッシクな店で出入りするお客さんからも高級感が漂う。
一人で入るには敷居が高い外装に場違い感を感じるけどせっかく来たので手袋をショーウィンドーでチェックする。
・・・・・・わおっ。予想していた値段よりゼロが一つ多いよ。
「手編みのレースで素材も良いものよって話には聞いていたけどこの店の手袋は本当にすごかったわ」
おもわず言葉が漏れた。そして視界の端に私より年下らしきキラキラオーラを放っている女の子三人が店のドアで立ち止まるのを捉えた。
「ねえ、ほんとうに入りますの?」「なんだか敷居が高く感じましてよ」
女の子二人が躊躇している。分かるよ。私も敷居が高くて店に入れないから。
「私達はれっきとしたお客ですわよ。それにあちらにおられる方は私達と同じ年頃ですわよ。その方がこの店の手袋はすごかったと絶賛しているのですから一組持っておけば困ることはないはずですわ」
どうやら私の心から漏れた声が彼女たちに聞こえたらしい。手袋はすごいと思うけど買ってはいないんだよ。店にすら入ってないよ。
「淑女のたしなみとして手袋は必需品の時代ですわよ。いざ!参りますわ!」
リーダーらしい女の子が店のドアを開けて乗り込む。残り二人の女の子も「えいっ」という顔をして店に足を踏み入れた。
お金持ちの子ってすごいわ。私にはこれを気軽にたしなめないわ。うちみたいなちょっとだけ羽振りのいい成金には無理だわ。
私は陳列されている手袋とその値段をみて心の中で「ひゃーっ」とか「どひゃーっ」て驚きの声を上げながら一通り見ると店には入らずに場所を離れた。
街中をブラブラと目的もなく歩いているとンク色の髪を持ち周囲に強烈なインパクトを与える全身真っ黒な姿が見えた。距離は離れているけどこちらに向かって歩いてくる。
一度見たら忘れられないトゲトゲのついたカバンを持っているし、あの姿はケイティ・シュヤーノさんだ。
外見があんまり近づきたい方ではないけど悪い人ではないから挨拶くらいはしようと思っていたら、建物の影から誰かが出てきてシュヤーノさんとぶつかった。あ、シュヤーノさんが尻もちをついた。
・・・・・・あらま、シュヤーノさんを置いてぶつかったおじさんがこっちに向かって走ってくるわ。
「どろぼうだ!捕まえてくれー!!」「どろぼう!ひったくりっ!つかまえてーーー!」
複数の男女の叫び声が響き、おじさんが出てきた方向から男女が飛び出てきた。あのおじさんはひったくりらしい。
私や通行人の間をすり抜けてひったくりが逃げていく。私は慌てて尻もちをついたまま動かないシュヤーノさんに駆け寄る。
「大丈夫ですか?」
「あいつ ぶちのめすっ」
声をかけると彼女の眉の剃り跡がグーンとつり上がった。私のことが見えなくなっているようで怒りの形相のまま彼女は立ち上がってひったくりを追いかけていく。
ぼんやりと見つめているとひったくりもひったくりを追う被害者らしい人たちもシュヤーノさんも角を曲がって完全に見えなくなった。お金持ちの女の子たちとひったくり犯を一日で見たせいでお金で人生が変わるんだなー、なんて思ってしまった。
翌日の朝刊に小さな記事だけど「聖・ルルーン学院生 お手柄! 自主練帰りにひったくりを確保!」という見出しで「レオン・セカニールが剣術の自主練習をした帰りにひったくりと遭遇し華麗な格闘術で捕まえた」という記事が載っていた。
シュヤーノさんがひったくりをぶちのめせたのかは記事からは分からないけど、ちゃんとひったくりが捕まってよかったなと思った。
カツレアさんに手袋を楽しむのは貴族の嗜みという話を聞いたので彼女オススメの店にまずは行ってみた。白を基調としたクラッシクな店で出入りするお客さんからも高級感が漂う。
一人で入るには敷居が高い外装に場違い感を感じるけどせっかく来たので手袋をショーウィンドーでチェックする。
・・・・・・わおっ。予想していた値段よりゼロが一つ多いよ。
「手編みのレースで素材も良いものよって話には聞いていたけどこの店の手袋は本当にすごかったわ」
おもわず言葉が漏れた。そして視界の端に私より年下らしきキラキラオーラを放っている女の子三人が店のドアで立ち止まるのを捉えた。
「ねえ、ほんとうに入りますの?」「なんだか敷居が高く感じましてよ」
女の子二人が躊躇している。分かるよ。私も敷居が高くて店に入れないから。
「私達はれっきとしたお客ですわよ。それにあちらにおられる方は私達と同じ年頃ですわよ。その方がこの店の手袋はすごかったと絶賛しているのですから一組持っておけば困ることはないはずですわ」
どうやら私の心から漏れた声が彼女たちに聞こえたらしい。手袋はすごいと思うけど買ってはいないんだよ。店にすら入ってないよ。
「淑女のたしなみとして手袋は必需品の時代ですわよ。いざ!参りますわ!」
リーダーらしい女の子が店のドアを開けて乗り込む。残り二人の女の子も「えいっ」という顔をして店に足を踏み入れた。
お金持ちの子ってすごいわ。私にはこれを気軽にたしなめないわ。うちみたいなちょっとだけ羽振りのいい成金には無理だわ。
私は陳列されている手袋とその値段をみて心の中で「ひゃーっ」とか「どひゃーっ」て驚きの声を上げながら一通り見ると店には入らずに場所を離れた。
街中をブラブラと目的もなく歩いているとンク色の髪を持ち周囲に強烈なインパクトを与える全身真っ黒な姿が見えた。距離は離れているけどこちらに向かって歩いてくる。
一度見たら忘れられないトゲトゲのついたカバンを持っているし、あの姿はケイティ・シュヤーノさんだ。
外見があんまり近づきたい方ではないけど悪い人ではないから挨拶くらいはしようと思っていたら、建物の影から誰かが出てきてシュヤーノさんとぶつかった。あ、シュヤーノさんが尻もちをついた。
・・・・・・あらま、シュヤーノさんを置いてぶつかったおじさんがこっちに向かって走ってくるわ。
「どろぼうだ!捕まえてくれー!!」「どろぼう!ひったくりっ!つかまえてーーー!」
複数の男女の叫び声が響き、おじさんが出てきた方向から男女が飛び出てきた。あのおじさんはひったくりらしい。
私や通行人の間をすり抜けてひったくりが逃げていく。私は慌てて尻もちをついたまま動かないシュヤーノさんに駆け寄る。
「大丈夫ですか?」
「あいつ ぶちのめすっ」
声をかけると彼女の眉の剃り跡がグーンとつり上がった。私のことが見えなくなっているようで怒りの形相のまま彼女は立ち上がってひったくりを追いかけていく。
ぼんやりと見つめているとひったくりもひったくりを追う被害者らしい人たちもシュヤーノさんも角を曲がって完全に見えなくなった。お金持ちの女の子たちとひったくり犯を一日で見たせいでお金で人生が変わるんだなー、なんて思ってしまった。
翌日の朝刊に小さな記事だけど「聖・ルルーン学院生 お手柄! 自主練帰りにひったくりを確保!」という見出しで「レオン・セカニールが剣術の自主練習をした帰りにひったくりと遭遇し華麗な格闘術で捕まえた」という記事が載っていた。
シュヤーノさんがひったくりをぶちのめせたのかは記事からは分からないけど、ちゃんとひったくりが捕まってよかったなと思った。
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