婚約話も持ってこられないモブ令嬢はとりあえずイモを植える

ピエ

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モブ的な校外魔法実習1

スライムの核を求めて

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2つのグループから情報収集した私達は罠を2箇所ほどしかけつつ最初の罠を確認しに川に戻ってきた。スライムはウロウロしているけど皆に追いかけ回されて警戒しているのでこちらに近づいてこない。
最初に仕掛けたどの罠も罠の穴を隠すために被した枝と枯れ葉は乱れた様子がない。
少し隙間を作って穴の中を見たけどスライムはいなかった。

「いないね」

私がそういうと一緒に穴を覗く二人もうなずいた。

「一匹くらいは罠にかかっていると思ったんだけどなあ。夜の集合時間の前にまた確認しよう。それまではスライムと直接戦うようにしよう。作戦はケイティさんがパラライズでスライムの動きを封鎖。状況に合わせて体力回復をお願いするよ。僕は魔法で攻撃する。レイリリは枝で攻撃と僕と彼女のマジックパワーMPをアイテムを使って回復してほしい」

セラビーが左手を顎にあてて考えながら作戦を伝えた。

「作戦変更すんだね。バンバンやろうぜ!バシバシとスライムを倒しにな!」

「よーし!頑張ろう!」

セラビーの掛け声に私達はお~!と応える。

スライムを見つけるとケイティが放つパラライズの射程まで近づく。

「ビリっとしびれな!パラライズ!」

私が知っているパラライズの呪文と違うけどケイティの魔法はスライムに効いており動きを麻痺させた。

「大地よ!我に力を!ストーンプレス!」

セラビーが魔法で攻撃するとドカンと大きな石がスライムの上から落ちる。ブチュッとスライムが潰れる。石が消えるとスライムの形状が戻った。

「やあああー!」

私も攻撃をキメようと枝を振り上げてスライムを叩こうとしたけど同時にスライムの麻痺効果がとけて避けられる。枝がスライムの体をかすめたからかすり傷くらいにはなったかな?
せめて属性付与が使えれば植物属性と木製の武器今回ならば普通の枝の属性相乗効果で攻撃力を上げれてかすり傷でもそれなりのダメージになるのに。

「落ち込むなよ!次だ!次!パラライズ食らわすぞ!」

ケイティがすぐさま私を励ましながらパラライズでスライムを麻痺させる。

「大地よ!我に力を!ストーンプレス!」

しっかりとダメージを与え、形がもとに戻らず潰れてしまったスライム。

「うっし。倒せたみたいだな」

「油断大敵だよ。僕が核を取りにいくから二人は何かあったときに備えて」

両腕を前に伸ばしてそろそろと歩くセラビー。私は枝を構えてセラビーの背中を見守る。セラビーはスライムの前に立つと腕の袖をまくってスライムの体に手を突っ込んだ。
安全だと思った私はセラビーに駆け寄る。一歩遅れたケイティの方が足が早くて先に彼の元に着いた。

「核、取れるか?」

「なんとかね。今、核をつかんだ」

不安げなケイティに向かって優しく笑うセラビー。彼はゆっくりとスライムの体から腕を抜いて手の平を私達に開いて見せた。
小さな赤い宝石のようなスライムの核が手の平に乗っていた。まずは一個、手に入ったんだ。

この勢いを保つために私達はまたスライムと戦うのだけどビギナーズラックというのは二回続かなかった。

「ああ!おしいっ!」「そこだ!」「また逃げるぞ!」「「「「ああ~~~~~!倒されたー!!」」」

何度もスライムを追いかけ、時には他のグループにスライムを倒されてしまうこともあった。
麻痺したスライムに向かって枝を振り回し、大地の力を借りた魔法が放たれる。時には短気を起こして素手で戦おうとするケイティを何度か止めながらスライムと戦った。

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