婚約話も持ってこられないモブ令嬢はとりあえずイモを植える

ピエ

文字の大きさ
上 下
12 / 34
モブ的な校外魔法実習1

初めての作戦会議

しおりを挟む
クラッカーの合図と同時にスライムを探しに行く他のグループ。頼りにしているカツレアさんはグループの人と行ってしまったので自分でなんとかしなくてはいけない。なんとかしたいのだけど何をすれば良いのだろう?

「モブーナさん、シュヤーノさん、まずは作戦を立てましょう」

ナイスな発言。他のグループがスライムを探しに行く中で私はなにも出来ず動けないままかと思っていたけどジエラルさんが提案してくれた。

「作戦?そのへんの枝を拾ってスライムぼこって核取ればいいんじゃね?」

シュヤーノさんは聖魔法使いなのに攻撃は物理攻撃一本なんですね。今日の鼻ピアスはよく見ると小さな花飾りタイプなんですね。なんて脳内実況をしてみる。

「恥ずかしいけど僕の体力はすぐに限界がきちゃうんです。だからできるだけ戦わずにスライムを捕獲していきたいんです」

私も学校の戦闘訓練は苦手だし、モンスターと無理に戦いたくない派なので彼の作戦に賛成して頷く。

「まあ、あたしもさ、追っかけ回すのはファントム様だけにしたいけどさ。スライムと戦わない方法なんてあんの?」

ファントム様?流行りの歌劇の役者さん?流行に疎いからよくわからない。今度、カツレアさんに聞いてみよう。

「戦わずに核を集めるためにスライムが集まりやすい場所に罠を仕掛けましょう。
僕の魔法で穴を作って石の槍を中に立てて、穴を隠せばそこを通ったスライムが落ちて刺さる。原始的な罠ですがうまくいけば核が取れると思います」

「中等学校の授業の時に先生が言っていたけどスライムは基本的に水属性だったよね。集まりやすいと言えば湖や川だけどこの林にあるかな」

私達は地図を広げて水場を探すと林の端に川があった。

「じゃああたしらが向かうのはこの川で決まりだね」

「川に向かいながら何か木の実などを探して食料確保も同時に行いましょう」

「食料ならいざとなればお芋なら出せるから任せて」

「野営の時はモブーナさんの植物魔法って便利ですよね」

「攻撃や防御には全然役にたたないし、こういう時しか活躍できないからジエラルさんの魔法の方がいいな」

唐突にシュヤーノさんが俯いて私とジエラルさんに向かって両手を広げた。

「ストーーーップ!あんたたちさ、その敬語と家名呼びヤメれない?なんかムズムズしてくんだけど」

「えっ、敬語と家名で相手を呼ぶのってだめですか?」

不思議そうに首をかしげるジエラルさん。それを見て固まるシュヤーノさん。
うん。同じグループのなったから他人行儀はやめようって言ったのにそれを疑問に持たれたら困るのは分かるよ、シュヤーノさん。

「シュヤーノさんは同じチームの連携を高めるために名前で呼び合う関係になりたいんだよ」

この間、シュヤーノさんが怒ってひったくりを追いかけたのを見て理由はあれだったけど悪い人ではないと思うのでフォローを入れる。

「そうなんですか?シュヤーノさ…、あっ、名前が、えっと……」

「ケイティでいい。あんたの名前は?」

「僕はセラビーで、……セラビーだよ」

「私はレリリリ」

「レイリリとセラビーね。怪我したら言ってきな。あたしの聖魔法で治療してやっからさ」

ケイティは外見と短気な性格ではあるけど優しいひとだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

黒の創造召喚師

幾威空
ファンタジー
※2021/04/12 お気に入り登録数5,000を達成しました!ありがとうございます! ※2021/02/28 続編の連載を開始しました。 ■あらすじ■ 佐伯継那(さえき つぐな)16歳。彼は偶然とも奇跡的ともいえる確率と原因により死亡してしまう。しかも、神様の「手違い」によって。 そんな継那は神様から転生の権利を得、地球とは異なる異世界で第二の人生を歩む。神様からの「お詫び」にもらった(というよりぶんどった)「創造召喚魔法」というオリジナルでユニーク過ぎる魔法を引っ提げて。

公爵家長男はゴミスキルだったので廃嫡後冒険者になる(美味しいモノが狩れるなら文句はない)

音爽(ネソウ)
ファンタジー
記憶持ち転生者は元定食屋の息子。 魔法ありファンタジー異世界に転生した。彼は将軍を父に持つエリートの公爵家の嫡男に生まれかわる。 だが授かった職業スキルが「パンツもぐもぐ」という謎ゴミスキルだった。そんな彼に聖騎士の弟以外家族は冷たい。 見習い騎士にさえなれそうもない長男レオニードは廃嫡後は冒険者として生き抜く決意をする。 「ゴミスキルでも美味しい物を狩れれば満足だ」そんな彼は前世の料理で敵味方の胃袋を掴んで魅了しまくるグルメギャグ。

大好きな恋愛ゲームの世界に転生したらモブだったので、とりあえず全力で最萌えキャラの死亡フラグをおっていきたいと思います!

赤蜻蛉
ファンタジー
メインで書いてた転生もののファンタジー恋愛小説!のつもりです。 長編書くのは実はこれが初めての作品なので、どうぞ暖かい目で見守って頂けたら嬉しいです。 他の小説サイトで書いてたモノを多少文章の誤字脱字や言い回しがおかしいところだけを直してアップしてます。 読み返しながら、色々複雑な気持ちです 。よろしくお願いします!

オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!

みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した! 転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!! 前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。 とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。 森で調合師して暮らすこと! ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが… 無理そうです…… 更に隣で笑う幼なじみが気になります… 完結済みです。 なろう様にも掲載しています。 副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。 エピローグで完結です。 番外編になります。 ※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。

はずれスキル念動力(ただしレベルMAX)で無双する~手をかざすだけです。詠唱とか必殺技とかいりません。念じるだけで倒せます~

さとう
ファンタジー
10歳になると、誰もがもらえるスキル。 キネーシス公爵家の長男、エルクがもらったスキルは『念動力』……ちょっとした物を引き寄せるだけの、はずれスキルだった。 弟のロシュオは『剣聖』、妹のサリッサは『魔聖』とレアなスキルをもらい、エルクの居場所は失われてしまう。そんなある日、後継者を決めるため、ロシュオと決闘をすることになったエルク。だが……その決闘は、エルクを除いた公爵家が仕組んだ『処刑』だった。 偶然の『事故』により、エルクは生死の境をさまよう。死にかけたエルクの魂が向かったのは『生と死の狭間』という不思議な空間で、そこにいた『神様』の気まぐれにより、エルクは自分を鍛えなおすことに。 二千年という長い時間、エルクは『念動力』を鍛えまくる。 現世に戻ったエルクは、十六歳になって目を覚ました。 はずれスキル『念動力』……ただしレベルMAXの力で無双する!!

ペットたちと一緒に異世界へ転生!?魔法を覚えて、皆とのんびり過ごしたい。

千晶もーこ
ファンタジー
疲労で亡くなってしまった和菓。 気付いたら、異世界に転生していた。 なんと、そこには前世で飼っていた犬、猫、インコもいた!? 物語のような魔法も覚えたいけど、一番は皆で楽しくのんびり過ごすのが目標です! ※この話は小説家になろう様へも掲載しています

手乗りドラゴンと行く異世界ゆるり旅  落ちこぼれ公爵令息ともふもふ竜の絆の物語

さとう
ファンタジー
旧題:手乗りドラゴンと行く追放公爵令息の冒険譚 〇書籍化決定しました!! 竜使い一族であるドラグネイズ公爵家に生まれたレクス。彼は生まれながらにして前世の記憶を持ち、両親や兄、妹にも隠して生きてきた。 十六歳になったある日、妹と共に『竜誕の儀』という一族の秘伝儀式を受け、天から『ドラゴン』を授かるのだが……レクスが授かったドラゴンは、真っ白でフワフワした手乗りサイズの小さなドラゴン。 特に何かできるわけでもない。ただ小さくて可愛いだけのドラゴン。一族の恥と言われ、レクスはついに実家から追放されてしまう。 レクスは少しだけ悲しんだが……偶然出会った『婚約破棄され実家を追放された少女』と気が合い、共に世界を旅することに。 手乗りドラゴンに前世で飼っていた犬と同じ『ムサシ』と名付け、二人と一匹で広い世界を冒険する!

家族もチート!?な貴族に転生しました。

夢見
ファンタジー
月神 詩は神の手違いで死んでしまった… そのお詫びにチート付きで異世界に転生することになった。 詩は異世界何を思い、何をするのかそれは誰にも分からない。 ※※※※※※※※※ チート過ぎる転生貴族の改訂版です。 内容がものすごく変わっている部分と変わっていない部分が入り交じっております ※※※※※※※※※

処理中です...