婚約話も持ってこられないモブ令嬢はとりあえずイモを植える

ピエ

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モブ的な学校生活1

モブ女子のクラスに転校生が来た。

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アレックスさんが聞いた噂の転校生がついにやって来た。先生の隣で教壇に立つその姿は皆を釘付けにするほど目立つものだった。
ピンク色の長いウェーブの髪。頭の真上にはギラギラ光る髪留めでつややかな髪を纏めて垂らしており、まるでピンク色の噴水のようなヘアスタイル。剃り落とされた眉毛と射抜かれそうな水色の目。
はっきりとした鼻筋と金色に光る鼻ピアス。この学校の制服はまだ届いていないようだ。前の学校の制服なのか真っ黒なブレザーと真っ黒なブラウス。真っ黒なプリーツスカートはとってもミニ丈だった。痛そうなトゲの飾りがついた黒いカバンと赤い靴下。角張った黒い革靴が威圧的に感じる。
隣に立っている先生が死んだ目をしていた。礼儀正しい人が多いこの学院。顔の怖い不良系男子でも制服やカバンの改造はしていない。
彼女に注意できる度胸は先生になかったんだなと分析する。婚約破棄騒動のときも思ったけど注意できないこの学校って大丈夫なのかな・・・・・・。

「隣国のマジワードから引っ越してきた【ケイティ・シュヤーノ】さんだ。聖魔法の使い手として能力が開花したばかりで魔法を使うことにまだ不慣れだ。みんな、この国のことや魔法のことで彼女が困っていたら助けて欲しい」

どちらかといえば先生が助けて欲しそうだと思うけど口にはしなかった。
周囲は「あの外見なのに聖魔法使い!」とざわざわと騒いでいる。
私達の魔法は星の力を授かることで使えると言い伝えられている。
火の魔法なら火の星。水の魔法なら水の星。私のジャガイモを出す魔法は植物魔法なので木の星の力に分類される。
星から力を授かると魔法が使え、その力が強いほど強い魔法になる。聖魔法は太陽の力と言われており滅多に人が授かることのない力だ。

「あたしの名前はケイティ。こんな格好だけどあんた達の勉強の邪魔をするつもりはないよ。だけど馴れ合つもりもない。そこんところよろしく」

もっとどすの効いた低いダミ声かと思ったけど女の子らしい高くてキレイな声だった。

「席は……ランドラさん、手を上げてくれ。彼の後ろに席を用意しているからシュヤーノさんの席はそこだ」

ランドラさんの後ろの席ってことは私の隣ってことじゃん。名前順だから仕方ないけどさ。
シュヤーノさんが靴音を立てながら私の隣の席に来た。私が会釈するとシュヤーノさんは軽く会釈してくれた。趣味が違いすぎて仲良くなれそうにないけど悪い関係にはならなさそうで良かった。彼女が椅子に座ると授業が始まった。
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