36 / 115
第三章 幼き魔女
3-11 幼き魔女と魔術師の誓いは成立する。
しおりを挟む
テーブルの上の料理はソース一つ残さず綺麗に食べ尽くされた。
これなら皿を洗うのも楽そうだな。そんなことを思いながら、腹が満たされて満足そうな顔をしているビオラを見た。
「ラス、これは最後の晩餐というやつか?」
「……なんだ、それは」
「ふむ。ずっと考えておった」
椅子から降りたビオラは、キッチンには不釣り合いな布張りのソファーに腰を下ろして深く座った。
「妾は鏡に封印されていた。お主がそれを解除したのは仕事だからだった」
「……あぁ、そうだ」
「なら、妾はその鏡の持ち主に引き渡されるのが、筋というもの。違うか?」
違わない。だが、本当にそれで良いのか。
ビオラの見た目はただの幼女。どう考えても、メナード家の後継者争いを左右する切り札になるとは思えない。
あの女であれば、ダグラスの母の意に添うことも出来たのだろう。とはいえ、あんなバケモノを俺が従わせるってのは、無理だったけどな。
今、ビオラとあの女──暴食の魔女が同一人物だと証明できるものは何もない。価値がないと判断されたら、ビオラは事情を知った者として始末される可能性も出てくるだろう。
俺が押し黙っていると、ビオラは小さな口でため息をつく。
「妾には、知る権利があると思わぬか?」
「……そうだな」
「妾を呼び覚まそうとしたものは、誰じゃ。何ゆえそれを望んだ? その者は、本当に暴食の魔女を手に入れられると思っておるのか?」
先ほどまでにこやかに笑い、口元を汚して肉に嚙り付いていた幼女は、そこにいなかった。
毅然とした態度で、真っすぐ俺を見る瞳はまるで宝石のように美しいが、その輝きはとても静かだ。
「……この海洋都市マーラモードを預かるのはメナード伯爵家だ。先代が他界し、後継者争いが起きている」
「成程。そこで、妾を呼び出し、敵対勢力を亡き者にしようと思ったわけじゃな」
「いや、依頼主はそれを阻止しようとしている」
「おかしな話じゃな。何故じゃ?」
「依頼主はメナード家長子ダグラス。第二夫人の子だ。第一夫人の子である弟ウィニーが後を継ぐこととなっていたが──」
もともと夫人同士も兄弟も仲が良かったと聞いている。それを素直に信じるのであれば、第三者が介入しているとしか思えない。
「ダグラスが後継となることを、母親が急に主張したそうだ。あの鏡を使えばダグラスの力になると」
「なるほど。母親は誰かに操られておるかもしれんということか」
「ダグラスはウィニーの後見人となり、兄弟で助け合いたいと言っているからな。そうなっては困る者が仕組んだ可能性もある」
「ふむ……その者の目ぼしはついておるのか?」
その問いに、俺は押し黙った。
引っ掛かるとしたら、あの魔剣事件だ。あれは明らかに俺を狙っていた。それも、メナード家に縁のある者に委ねられた。
確実に俺を始末する気があるなら、魔剣を暗殺者に預けるだろう。それをしなかったということは、他に目的があったとしか思えない。だが、その真実は未だ分からずじまいだ。
「──ダグラスが訪れる前、俺は命を狙われた」
「む? 何か恨みも買っておるのか」
「俺への恨みかどうかは分からない。何せ、犯人はまだ見つかっていないからな」
「そうなのか?」
「あぁ……精霊が封じ込められた魔剣を、何も知らない子どもに持たせた魔術師がいる。そいつは俺を殺すように嘘を並べ、その子どもに俺を殺るよう仕向けた」
「その魔術師がメナード家の者だと考えておるのか?」
「あぁ……その子どもってのが、メナード家に縁があるんだ。死んだ姉が、メナード家のメイドだったんだ」
「なるほど。確かに、その魔術師は関わっていそうじゃの。そやつが、封印の鏡なり、妾なりを手に入れようとしている可能性もあるかもしれんの」
ふむふむと頷いたビオラはその後、ダグラスやウィニーの派閥にについている後ろ盾はどうなっているのか、母親たちの出自はどこかなど事細かに聴いてきた。
俺も全てを把握している訳ではないが、聞きかじっている範囲で答えると、幼い娘らしくない真摯な眼差しでビオラは話に耳を傾けた。
説明を終え、しばしの沈黙が流れた後、ビオラが口を開いた。
「ラス、お主は妾を渡す決心をしたのか?」
「それは……無理だ」
「なぜじゃ? 妾を渡せば、報酬が手に入るのであろう?」
「そうだが……魔力の戻っていないお前を渡せば、どうなるか分かったもんじゃない。命の保証は出来ない」
「生ぬるいことを言っておるの」
「……こっちの都合で五百年後の世界に呼び覚ましたっていうのに、訳も分からず殺されたら、後味悪いだろう?」
暗に、殺される可能性があることを伝えると、ビオラは怯むことなく小さく「ふむ」と頷いた。
完全に復活させていたら、そう簡単にはビオラを殺めることなど出来ないだろう。
俺も、あの時は自分の身を守るのが精いっぱいだったくらいだ。暴食の魔女の魔力を半減させるために組んだ術式を発動する余裕なんて、一秒足りともなかった。
本来のビオラが暴食の魔女かどうかはさておき、力を持った魔女に違いない。
ただし、このちんちくりんになる前の話だ。今の魔力は一人前の魔女というには心もとない。
「ラスは可愛い妾に情が湧いたということかの」
どうしたらそういう結論になるのか。
呆れた俺がため息をつくと、ビオラは生意気な顔に戻った。ふふんと笑い、ソファーの上に立つと、腰に手をついて胸を張る。
「引き渡せばよい」
「──は?」
「本気じゃ。その代わり、お主には一つ約束をしてもらうぞ」
「約束?」
首を傾げる俺に、ビオラはにっと笑った。
「お主には、妾の本当の力を取り戻してもらう」
例え時間がかかろうとも。そう付け加えたビオラは小さな手を差し出してきた。
「心配せずとも、妾の悪運の強さは定評がある。何とかなるじゃろ」
「悪運ってな……」
「妾はお主が気に入ったのでな」
赤い瞳が光を湛えた。その奥に強い魔力の揺らぎを見た気がする。
「ノエルテンペストの名を受け継ぎし魔女ビオラの名において誓おう。妾の力、お主のために使うことを。さぁ、名を名乗れ。妾を呼び覚まし魔術師よ」
「俺の名は──ラッセルオーリー・ラスト」
小さな手を掴む。その瞬間、今まで感じたことのない強い衝撃が指先から体に突き刺さった。
ビオラの小さな唇がニッとつりあがる。
「契約は成立じゃ」
力のない幼き魔女。そう思っていた俺はとんだ間違いをしていたのかもしれない。
小さな手が離れ、熱さを伴いずきずきと痛む指を見た瞬間、俺はそう思った。
俺の右手、人差し指には赤い茨のような文様がくっきりと刻まれていた。
これなら皿を洗うのも楽そうだな。そんなことを思いながら、腹が満たされて満足そうな顔をしているビオラを見た。
「ラス、これは最後の晩餐というやつか?」
「……なんだ、それは」
「ふむ。ずっと考えておった」
椅子から降りたビオラは、キッチンには不釣り合いな布張りのソファーに腰を下ろして深く座った。
「妾は鏡に封印されていた。お主がそれを解除したのは仕事だからだった」
「……あぁ、そうだ」
「なら、妾はその鏡の持ち主に引き渡されるのが、筋というもの。違うか?」
違わない。だが、本当にそれで良いのか。
ビオラの見た目はただの幼女。どう考えても、メナード家の後継者争いを左右する切り札になるとは思えない。
あの女であれば、ダグラスの母の意に添うことも出来たのだろう。とはいえ、あんなバケモノを俺が従わせるってのは、無理だったけどな。
今、ビオラとあの女──暴食の魔女が同一人物だと証明できるものは何もない。価値がないと判断されたら、ビオラは事情を知った者として始末される可能性も出てくるだろう。
俺が押し黙っていると、ビオラは小さな口でため息をつく。
「妾には、知る権利があると思わぬか?」
「……そうだな」
「妾を呼び覚まそうとしたものは、誰じゃ。何ゆえそれを望んだ? その者は、本当に暴食の魔女を手に入れられると思っておるのか?」
先ほどまでにこやかに笑い、口元を汚して肉に嚙り付いていた幼女は、そこにいなかった。
毅然とした態度で、真っすぐ俺を見る瞳はまるで宝石のように美しいが、その輝きはとても静かだ。
「……この海洋都市マーラモードを預かるのはメナード伯爵家だ。先代が他界し、後継者争いが起きている」
「成程。そこで、妾を呼び出し、敵対勢力を亡き者にしようと思ったわけじゃな」
「いや、依頼主はそれを阻止しようとしている」
「おかしな話じゃな。何故じゃ?」
「依頼主はメナード家長子ダグラス。第二夫人の子だ。第一夫人の子である弟ウィニーが後を継ぐこととなっていたが──」
もともと夫人同士も兄弟も仲が良かったと聞いている。それを素直に信じるのであれば、第三者が介入しているとしか思えない。
「ダグラスが後継となることを、母親が急に主張したそうだ。あの鏡を使えばダグラスの力になると」
「なるほど。母親は誰かに操られておるかもしれんということか」
「ダグラスはウィニーの後見人となり、兄弟で助け合いたいと言っているからな。そうなっては困る者が仕組んだ可能性もある」
「ふむ……その者の目ぼしはついておるのか?」
その問いに、俺は押し黙った。
引っ掛かるとしたら、あの魔剣事件だ。あれは明らかに俺を狙っていた。それも、メナード家に縁のある者に委ねられた。
確実に俺を始末する気があるなら、魔剣を暗殺者に預けるだろう。それをしなかったということは、他に目的があったとしか思えない。だが、その真実は未だ分からずじまいだ。
「──ダグラスが訪れる前、俺は命を狙われた」
「む? 何か恨みも買っておるのか」
「俺への恨みかどうかは分からない。何せ、犯人はまだ見つかっていないからな」
「そうなのか?」
「あぁ……精霊が封じ込められた魔剣を、何も知らない子どもに持たせた魔術師がいる。そいつは俺を殺すように嘘を並べ、その子どもに俺を殺るよう仕向けた」
「その魔術師がメナード家の者だと考えておるのか?」
「あぁ……その子どもってのが、メナード家に縁があるんだ。死んだ姉が、メナード家のメイドだったんだ」
「なるほど。確かに、その魔術師は関わっていそうじゃの。そやつが、封印の鏡なり、妾なりを手に入れようとしている可能性もあるかもしれんの」
ふむふむと頷いたビオラはその後、ダグラスやウィニーの派閥にについている後ろ盾はどうなっているのか、母親たちの出自はどこかなど事細かに聴いてきた。
俺も全てを把握している訳ではないが、聞きかじっている範囲で答えると、幼い娘らしくない真摯な眼差しでビオラは話に耳を傾けた。
説明を終え、しばしの沈黙が流れた後、ビオラが口を開いた。
「ラス、お主は妾を渡す決心をしたのか?」
「それは……無理だ」
「なぜじゃ? 妾を渡せば、報酬が手に入るのであろう?」
「そうだが……魔力の戻っていないお前を渡せば、どうなるか分かったもんじゃない。命の保証は出来ない」
「生ぬるいことを言っておるの」
「……こっちの都合で五百年後の世界に呼び覚ましたっていうのに、訳も分からず殺されたら、後味悪いだろう?」
暗に、殺される可能性があることを伝えると、ビオラは怯むことなく小さく「ふむ」と頷いた。
完全に復活させていたら、そう簡単にはビオラを殺めることなど出来ないだろう。
俺も、あの時は自分の身を守るのが精いっぱいだったくらいだ。暴食の魔女の魔力を半減させるために組んだ術式を発動する余裕なんて、一秒足りともなかった。
本来のビオラが暴食の魔女かどうかはさておき、力を持った魔女に違いない。
ただし、このちんちくりんになる前の話だ。今の魔力は一人前の魔女というには心もとない。
「ラスは可愛い妾に情が湧いたということかの」
どうしたらそういう結論になるのか。
呆れた俺がため息をつくと、ビオラは生意気な顔に戻った。ふふんと笑い、ソファーの上に立つと、腰に手をついて胸を張る。
「引き渡せばよい」
「──は?」
「本気じゃ。その代わり、お主には一つ約束をしてもらうぞ」
「約束?」
首を傾げる俺に、ビオラはにっと笑った。
「お主には、妾の本当の力を取り戻してもらう」
例え時間がかかろうとも。そう付け加えたビオラは小さな手を差し出してきた。
「心配せずとも、妾の悪運の強さは定評がある。何とかなるじゃろ」
「悪運ってな……」
「妾はお主が気に入ったのでな」
赤い瞳が光を湛えた。その奥に強い魔力の揺らぎを見た気がする。
「ノエルテンペストの名を受け継ぎし魔女ビオラの名において誓おう。妾の力、お主のために使うことを。さぁ、名を名乗れ。妾を呼び覚まし魔術師よ」
「俺の名は──ラッセルオーリー・ラスト」
小さな手を掴む。その瞬間、今まで感じたことのない強い衝撃が指先から体に突き刺さった。
ビオラの小さな唇がニッとつりあがる。
「契約は成立じゃ」
力のない幼き魔女。そう思っていた俺はとんだ間違いをしていたのかもしれない。
小さな手が離れ、熱さを伴いずきずきと痛む指を見た瞬間、俺はそう思った。
俺の右手、人差し指には赤い茨のような文様がくっきりと刻まれていた。
0
お気に入りに追加
22
あなたにおすすめの小説
拝啓、婚約者様。ごきげんよう。そしてさようなら
みおな
恋愛
子爵令嬢のクロエ・ルーベンスは今日も《おひとり様》で夜会に参加する。
公爵家を継ぐ予定の婚約者がいながら、だ。
クロエの婚約者、クライヴ・コンラッド公爵令息は、婚約が決まった時から一度も婚約者としての義務を果たしていない。
クライヴは、ずっと義妹のファンティーヌを優先するからだ。
「ファンティーヌが熱を出したから、出かけられない」
「ファンティーヌが行きたいと言っているから、エスコートは出来ない」
「ファンティーヌが」
「ファンティーヌが」
だからクロエは、学園卒業式のパーティーで顔を合わせたクライヴに、にっこりと微笑んで伝える。
「私のことはお気になさらず」
外れスキル【無限再生】が覚醒して世界最強になった ~最強の力を手にした俺は、敵対するその全てを蹂躙する~
八又ナガト
ファンタジー
↑お気に入り登録をお願いします!↑
故郷の村を魔物に滅ぼされた少年シンは、その魔物を倒してくれたパーティー【黎明の守護者】に勧誘され、冒険者となった。
彼は【無限再生】という珍しいユニークスキルを持っているものの、その能力は負った傷を自動で治すという、ただそれだけのもの。
効果も低級の回復魔法に劣るような外れスキルだったが、それでも【黎明の守護者】のメンバーはシンを大切な仲間として扱ってくれた。
そんなある日のこと。
いつものようにダンジョン攻略を行うシンたちの前に、レベル1000のエクストラボスが現れる。
勝ち目がないと判断したリーダーのアルトは、シンに脱出用アイテム『転移結晶』の発動を命じる。
しかし『転移結晶』には発動条件があった。
その条件とは、アイテムの発動者のみ転移対象には含まれないというもの。
一人だけダンジョン内に取り残されることが確定したシンを、【黎明の守護者】の面々は嘲笑った。
続けて彼らは言った。
シンの故郷を滅ぼした魔物――それをけしかけたのは自分たちだったと。
にもかかわらず、自分たちを恩人だと勘違いして感謝するシンを心から馬鹿にしていたのだ。
それを聞いたシンは、死の淵で誓う。
自分を裏切り、大切な家族を殺したアルトたちを絶対に許さない。
どんな手段を用いてでも復讐してやると。
そんな誓いもむなしく、エクストラボスに殺されるシン。
しかしその時、外れスキルだったはずの【無限再生】が覚醒を遂げる。
『対象者の死亡を確認しました』
『全ての条件が達成されました』
『ユニークスキル【無限再生】が進化します』
『魂の再生成が行われます』
死からの再生。
そしてそれに伴い、彼はこの世界のルールから逸脱した特別な存在となった。
世界で唯一、ダンジョンのルールに縛られなくなった少年シン。
彼は覚醒した【無限再生】を利用し、瞬く間にチート成長を遂げていく。
――そして数年後、最強の力を手にしたシンはとうとう復讐を決行するのだった。
※別サイト様でも投稿しています。
転生したら村娘だったけどゴミ扱いされて山に捨てられたので、小屋にこもって魔術を極めます。〜なんでも屋管理中、、、〜
ココス
ファンタジー
雨宮あかり15は、ある日乗っていたバスの事故により、帰らぬ人となってしまう。
そこから生まれ変わり転生したのは村娘という控えめに言って平和的ポジション、しかしある事がきっかけで使い物にならないと判断された彼女は山に放棄されてしまう。そこから魔獣たちと暮らしていく中で、日々魔術を勉強し、困った人間たちを助けるファンタジーホームコメディ。
【完結】魔物をテイムしたので忌み子と呼ばれ一族から追放された最弱テイマー~今頃、お前の力が必要だと言われても魔王の息子になったのでもう遅い~
柊彼方
ファンタジー
「一族から出ていけ!」「お前は忌み子だ! 俺たちの子じゃない!」
テイマーのエリート一族に生まれた俺は一族の中で最弱だった。
この一族は十二歳になると獣と契約を交わさないといけない。
誰にも期待されていなかった俺は自分で獣を見つけて契約を交わすことに成功した。
しかし、一族のみんなに見せるとそれは『獣』ではなく『魔物』だった。
その瞬間俺は全ての関係を失い、一族、そして村から追放され、野原に捨てられてしまう。
だが、急な展開過ぎて追いつけなくなった俺は最初は夢だと思って行動することに。
「やっと来たか勇者! …………ん、子供?」
「貴方がマオウさんですね! これからお世話になります!」
これは魔物、魔族、そして魔王と一緒に暮らし、いずれ世界最強のテイマー、冒険者として名をとどろかせる俺の物語
2月28日HOTランキング9位!
3月1日HOTランキング6位!
本当にありがとうございます!
怒れるおせっかい奥様
asamurasaki
恋愛
ベレッタ・サウスカールトンは出産時に前世の記憶を思い出した。
可愛い男の子を産んだその瞬間にベレッタは前世の記憶が怒涛のことく甦った。
日本人ので三人の子持ちで孫もいた60代女性だった記憶だ。
そして今までのベレッタの人生も一緒に思い出した。
コローラル子爵家第一女として生まれたけど、実の母はベレッタが4歳の時に急な病で亡くなった。
そして母の喪が明けてすぐに父が愛人とその子を連れて帰ってきた。
それからベレッタは継母と同い年の義妹に虐げられてきた。
父も一緒になって虐げてくるクズ。
そしてベレッタは18歳でこの国の貴族なら通うことが義務付けられてるアカデミーを卒業してすぐに父の持ってきた縁談で結婚して厄介払いされた。
相手はフィンレル・サウスカールトン侯爵22歳。
子爵令嬢か侯爵と結婚なんて…恵まれているはずがない!
あのクズが持ってきた縁談だ、資金援助を条件に訳あり侯爵に嫁がされた。
そのベレッタは結婚してからも侯爵家で夫には見向きもされず、使用人には冷遇されている。
白い結婚でなかったのは侯爵がどうしても後継ぎを必要としていたからだ。
良かったのか悪かったのか、初夜のたったの一度でベレッタは妊娠して子を生んだ。
前世60代だった私が転生して19歳の少女になった訳よね?
ゲームの世界に転生ってやつかしら?でも私の20代後半の娘は恋愛ゲームやそういう異世界転生とかの小説が好きで私によく話していたけど、私はあまり知らないから娘が話してたことしかわからないから、当然どこの世界なのかわからないのよ。
どうして転生したのが私だったのかしら?
でもそんなこと言ってる場合じゃないわ!
あの私に無関心な夫とよく似ている息子とはいえ、私がお腹を痛めて生んだ愛しい我が子よ!
子供がいないなら離縁して平民になり生きていってもいいけど、子供がいるなら話は別。
私は自分の息子の為、そして私の為に離縁などしないわ!
無関心夫なんて宛にせず私が息子を立派な侯爵になるようにしてみせるわ!
前世60代女性だった孫にばぁばと言われていたベレッタが立ち上がる!
無関心夫の愛なんて求めてないけど夫にも事情があり夫にはガツンガツン言葉で責めて凹ませますが、夫へのざまあはありません。
他の人たちのざまあはアリ。
ユルユル設定です。
ご了承下さい。
異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します
桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる