冒険者に拾われ聖騎士に求められた僕が、本当の願いに気づくまで。

鳴海カイリ

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第六章 死を許さない呪い

207 我慢しなくていいぜ※

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「ふぁ……ぁ、あ……」

 自分でもやったことの無いような手つきで優しく撫でられ、その心地よさに身悶えする。甘い痺れが腰から全身に広がって、体中が蕩けていきそうだ。
 頭の下のクッションを強く握り、僕は喘ぎながら顔を左右に振った。

「……そんなとこ、ぁ、あ……アランっっ……」
「まだ触っているだけだぜ」
「だけ……でも……ぁ、だって……」

 きゅっ、と根元を握られてから、ゆっくりとしごき上げるように、アランの大きくて熱い手のひらが先端に向かう。そのまま先を親指でくりくりと先を弄られると、それだけで僕の腰は揺れてしまった。
 ぬるり、と先から何かがにじみ出していく。

「何? ぁ……なにか、でちゃう……」
「気持ちよくなってるって、証拠だ」
「まって……アラン、手が汚れちゃう……よ」

 起き上がってアランの手を止めようと思っても、甘い痺れで腰に力が入らない。片手を伸ばして、止めようとする。その手をアランはつかみ、僕の指に口をつけた。
 貴族が挨拶でするような指先のキスじゃない。
 指先の一本一本を唇で撫で、舌で舐めて甘噛みする。
 その動き合わせて僕の雄の方も、優しく柔らかくしごき上げていく。

 ダメだ。頭が真っ白になって……何も、考えられなくなっていく……。

「ふぁぁ……ぁ、あ……ぁ……」
「気持ちいいか?」

 指から胸の突起にと、アランの舌で可愛がられて僕は甘い息を吐く。
 腹の下ではくちゅくちゅと音を立てる僕自身が、更に硬くじんじんと痺れて抵抗する力を奪っていった。

「お前を、気持ちよく……させたい……」
「……アラ、ン……んんっ……」
「お前の気持ちいいって顔が、見たい。声を聞かせてくれよ……」

 胸や首筋に唇を這わせながら、吐息のように低く囁く。
 アランにお願いされるとそれだけで、僕は嫌と言えなくなってしまう。

 アランが喜んでくれるのが嬉しい。
 すごく、すごく、恥ずかしくて、いけないことをやっているような気持ちもあるのに、もっと素の自分をさらけ出したくなる。

「んぅ……きもちいい、きもちいい、よぉ……」
「ここも?」

 耳に唇をつけられ、わざと舌先でちゃぷちゃぷと音を立てる。
 耳の中まで犯されているような感覚に、僕は肩をよじらせて体を震わせた。アランは「ふふ」と笑い声を漏らす。

「ここも……」

 片手で扱き上げる手を止めないまま、もう片方の手が脇から尻をまわって僕の後ろのすぼまりの縁を撫でた。そのままするりと指先が入ってきそうな感覚に、僕の腰が浮いてしまう。

「……ふぁ、あ!」
「ここに男を咥えたことは、あるのか?」
「ない、ないよぉ!」
「一度も?」

 耳に唇を付けながらアランが囁く。

「キスだって……あの夜の、アランが……初めて……だったんだ……」

 切れ切れの声で答える。
 アランがふっと頭を離して僕を見降ろした。その顔は驚いたものだ。

「マジかよ」
「……唇のキス……は、アランが初めて……だよ」

 泣きそうな声を絞りながらアランを見上げる。
 アランは、蕩けるほど嬉しそうな笑顔で僕を見つめ返していた。

「すっげぇ……嬉しい」

 そう囁いて、僕の唇に唇を深く合わせる。
 舌先が入り込んで、僕は絡みつく熱い動きをされるがままに受け止めた。舌と舌を絡ませ合い、飲み切れなかった唾液が唇の端を伝って首筋に落ちていく。
 僕はクッションから手を離して、アランの背や頭を抱き寄せた。

 しっとりと汗ばむ襟元。
 指先に絡みつく、暗い灰色の髪。すこし……ごわついている感覚すら懐かしくて、嬉しくて、たまらなくなる。
 こんなふうにアランに抱きついたのは、何年ぶりだろう……。

「んんっ……ん、ふ、ぁ、んん……」

 じんじんと痺れる腰から僕の硬く立ち上がった中心に、堪えきれないほどの熱が集まっている。今にも爆発して、吹き出してしまいそうだ。

「ふぁ……ア、アランっっ……」
「腰が揺れてる」

 嬉しそうに囁くアランの手は、止まるどころかどんどん僕を駆り立てていく。
 お尻のすぼまりの縁も同時に撫でられて、尾骨のあたりが堪らないほどうずうずしてきた。

「まっ……て、アラン、ダメ、もぅ……」
「何がもうダメなんだ?」
「で、でちゃ……う……ぅう……」

 何かが噴き出してきそうだ。
 僕は堪えきれずに、荒い息で頭を左右に振った。

「出ちゃうよ、なんか……出ちゃう」
「出せよ」

 僕の雄を扱きながらアランは囁く。

「全部……飲み干してやるからさ」

 そう言うと、アランは突然僕の立ち上がった部位を口の中に含んでしまった。
 眠る前に湯あみをして綺麗にしていても、そんな場所を口に入れてしまうなんて……。

「ひぁああ!」

 生暖かい、ぬるりとしたものが僕を包み込む。
 歯で傷つけないように口元は開いたまま。たった今まで僕の舌と絡まり合っていたアランの舌が、今度は僕の敏感な部分を舐め上げ、包み、軽く吸う。
 その動きに合わせて僕の腰が浮き、耐えきれずに僕は喉をのけぞらせた。
 クッションの端を強く握りしめる。

「……ぁ! あ、ダメ、アラン、ダメ」
「我慢……しなくて、いいぜ」
「いや、いやいや、あぁっ! あ、出ちゃう。出ちゃうよ!」

 アランの口に吐き出すなんて、ダメだ。汚いよ。
 なのに手と口を使って、僕をどんどん追い立てていく。

「ああっ、あ、出ちゃうよぉ! 出ちゃう、もぅ、ダメ、ぁっあ!」

 必死に抵抗しても、我慢の限界だ。
 僕は涙をにじませながら、大きく息を吸った。

「あぁぁっ……っぁああ――っ!」

 ぴくん、ぴくんと腰が震える。
 と同時に熱いものがとぷりと溢れて、吐き出されていった。
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