16 / 25
乗ってみろよ ※
しおりを挟むベッドに膝を乗せると、いつの間に準備していたのか媚薬を口に含んだモーガンが私の髪を掴んで引き寄せ、口の中に流し込んできた。
生暖かい唾液と媚薬が、絡み合う舌と共に流れ込み、唇から溢れそうになる。
息が詰まる。
「うう……」
「飲み込めよ」
「……ん、くっ……」
命じられるままに飲み干した。
食道から胃のあたりが熱くなっていく。その熱はそのまま下半身に広がり、じわじわと全身を襲う疼きになる。
「は……あ、ぁぁ……」
「こいつはなかなかの味だな」
ひきつった笑いを漏らしてモーガンが呟く。
私と同じ媚薬を含んだためか、彼の雄は既に硬く猛っていた。
これを口で奉仕しろというのだろうか。それとも今日は限界まで焦らすのか。昨夜のように、最初から嫌というほどかき回されて狂いそうにさせられるか。どちらも辛くて不安に思う私にモーガンは命令する。
「俺に乗れ」
「え……?」
「俺を深く咥えながら、乗れと言っているんだ」
ベッドに仰向けで寝転がるモーガンに乗れということは……。
「公爵様の馬にも乗れたんだ、俺にだって乗れるだろう? 楽しい乗馬の時間だ」
唇をかみしめた。
心の中に闇が降りていく。
エヴァン様に優しく抱きかかえられながら、あの清々しい朝の風を受けたひと時や、ダニエル様の想いのこもった言葉を頂いた時間が、爛れた色に塗り替えられていくようで。
この場から逃げ出したい。
同時に抑えられなくなってきている体の疼きに私は大きく息を吸った。言葉にできない想いが、頭の中をぐちゃぐちゃにしていく。
「やれ」
言われて、そろそろとモーガンに跨り、手を添える。
これほど硬く太いものを飲み込むなんてできないと思うのに、快楽の味を覚えてしまった私の体は、難なく受け入れてしまった。
体の中を埋め尽くされただけで、びりびりと痺れが走る。
「ふああっ……あ、あ……」
「やっぱりお前の体はサイコーだ。吸い付いてくる」
言いながら、下から突き上げられて私の体は跳ねた。
「ほら、ちゃんとバランスを取れよ、落馬するぞ」
「……あ、いや……あ、ぁあ!」
「腰を振れよ」
容赦なく突き上げを繰り返す。
乱暴に内側を擦られ、落ちる私の重みもあって最奥まで一気に突かれる。息ができないほどの快楽が脳に突き抜け、目を見開く。瞬間、視線を感じた。
まさか……魔物か何か、この場所に侵入しようとしているのか。
すぐに結界を……と思う思考が、快感に砕かれる。
「や、ああっ、あ……ダメ、あ……」
「駄目じゃないだろ、ははっ、すげぇ」
何度も突かれ、激しい快感に腰が溶けていきそうだ。
なのに私自身は完全に達することができない。ガチガチに猛る自分を見て、荒い息を吐きながらいつもと違う状態におびえた。
「……なんだよ」
「あ、あぁ……い、いけない……」
「ははっ、中は気持ち良くなってるのに、お前自身はイケないってか?」
私の下で、横たわるモーガンが笑う。
「夕べのヤツと、違う媚薬だ。俺がイッて体の中が相手の精で満たされるまで、お前は完全にはイケない」
いったい、どういう……。
「ちょっとした魔法の仕掛けだそうだ。快楽の波は来るのに達することができない。中途半端なイキ地獄を、じっくりと……味合わせてやるよ」
「そ、そんな……ぁああ、あ」
「楽になりたかったら俺をイかせてみろよ。ほら!」
「ああっ!」
おかしくなる。
おかしくなる。
体の中は激しい疼きと痺れが渦巻いているのに、快感は背から脳を焼いているのに、完全にイくことができなくておなかの中がおかしくなっていく。
早く楽になりたくて、自分から腰を振り始める。
「ああっ、あ、や……いかせて、お願い」
「効果が出始めたか。こいつはすげぇな……はははっ」
「や、あ、ああっ、いかせて……あ、イかせてくださいっ……」
気持ちいい。
イきたい。
激しい快楽が繰り返し押し寄せて、びくびくと体を震わせているのに終わらない。
呼吸が続かない。
心臓がおかしくなってしまいそう……。
「……あぁ、ああっ、や……お願い……」
涙があふれてくる。
モーガンの胸に手をついて、懇願する。
満足げな笑みを見せて、私の顔を手のひらで撫でる。
「いつも冷静ですました顔をしてるってのに、俺の上で腰を振りまくって懇願するなんて、いい眺めだ」
「あ……あぁ、あ、お願い……です……」
「気持ちいいって言えよ」
モーガンは突き上げをやめて、乱れる私を眺めている。
私は言われた通りの言葉を繰り返した。
「きもち、いい……です、気持ちいい……っ」
「誰に……気持ちよくしてもらっているんだ?」
「は、ああっ……あ……」
頬を撫でていた手のひらを移して、私の胸の突起をねじる。
「ああっ!」
「言え、誰だ? お前を気持ちよくしているのは、誰だ?」
「……モーガンさま、です。ふぁ、あ、モーガンさま、あ、きもちいいっ……」
「そうだ……」
もう、なにも考えられない……。
「モーガンさま、もーがんさま、きもちいい……ああっ、あ、きもちいいっ……」
助けて……誰か……。
「上手だ。セシル」
くらくらする。
「あっ、あっ、きもちいいよぉ……ああっ、あ」
誰か……私を、抱きしめて……。
「ははは……セシル、上手に乗れた褒美やるよ……ほ、ら……!」
ふいに腰を掴まれて、二度三度と突き上げられた。
体の奥の奥まで。
そしてはじける熱に、意識が飛んでいく。
びくびくと痙攣する体。
息が止まる。
そのまま、私は……モーガンの胸に倒れ込み、意識を、失った……。
20
お気に入りに追加
49
あなたにおすすめの小説

美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜
飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。
でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。
しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。
秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。
美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。
秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。
悪役令息の七日間
リラックス@ピロー
BL
唐突に前世を思い出した俺、ユリシーズ=アディンソンは自分がスマホ配信アプリ"王宮の花〜神子は7色のバラに抱かれる〜"に登場する悪役だと気付く。しかし思い出すのが遅過ぎて、断罪イベントまで7日間しか残っていない。
気づいた時にはもう遅い、それでも足掻く悪役令息の話。【お知らせ:2024年1月18日書籍発売!】
幽閉王子は最強皇子に包まれる
皇洵璃音
BL
魔法使いであるせいで幼少期に幽閉された第三王子のアレクセイ。それから年数が経過し、ある日祖国は滅ぼされてしまう。毛布に包まっていたら、敵の帝国第二皇子のレイナードにより連行されてしまう。処刑場にて皇帝から二つの選択肢を提示されたのだが、二つ目の内容は「レイナードの花嫁になること」だった。初めて人から求められたこともあり、花嫁になることを承諾する。素直で元気いっぱいなド直球第二皇子×愛されることに慣れていない治癒魔法使いの第三王子の恋愛物語。
表紙担当者:白す(しらす)様に描いて頂きました。
愛していた王に捨てられて愛人になった少年は騎士に娶られる
彩月野生
BL
湖に落ちた十六歳の少年文斗は異世界にやって来てしまった。
国王と愛し合うようになった筈なのに、王は突然妃を迎え、文斗は愛人として扱われるようになり、さらには騎士と結婚して子供を産めと強要されてしまう。
王を愛する気持ちを捨てられないまま、文斗は騎士との結婚生活を送るのだが、騎士への感情の変化に戸惑うようになる。
(誤字脱字報告は不要)

皇帝陛下の精子検査
雲丹はち
BL
弱冠25歳にして帝国全土の統一を果たした若き皇帝マクシミリアン。
しかし彼は政務に追われ、いまだ妃すら迎えられていなかった。
このままでは世継ぎが産まれるかどうかも分からない。
焦れた官僚たちに迫られ、マクシミリアンは世にも屈辱的な『検査』を受けさせられることに――!?


王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?
名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。
そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________
※
・非王道気味
・固定カプ予定は無い
・悲しい過去🐜のたまにシリアス
・話の流れが遅い

お荷物な俺、独り立ちしようとしたら押し倒されていた
やまくる実
BL
異世界ファンタジー、ゲーム内の様な世界観。
俺は幼なじみのロイの事が好きだった。だけど俺は能力が低く、アイツのお荷物にしかなっていない。
独り立ちしようとして執着激しい攻めにガッツリ押し倒されてしまう話。
好きな相手に冷たくしてしまう拗らせ執着攻め✖️自己肯定感の低い鈍感受け
ムーンライトノベルズにも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる