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乗ってみろよ ※
しおりを挟むベッドに膝を乗せると、いつの間に準備していたのか媚薬を口に含んだモーガンが私の髪を掴んで引き寄せ、口の中に流し込んできた。
生暖かい唾液と媚薬が、絡み合う舌と共に流れ込み、唇から溢れそうになる。
息が詰まる。
「うう……」
「飲み込めよ」
「……ん、くっ……」
命じられるままに飲み干した。
食道から胃のあたりが熱くなっていく。その熱はそのまま下半身に広がり、じわじわと全身を襲う疼きになる。
「は……あ、ぁぁ……」
「こいつはなかなかの味だな」
ひきつった笑いを漏らしてモーガンが呟く。
私と同じ媚薬を含んだためか、彼の雄は既に硬く猛っていた。
これを口で奉仕しろというのだろうか。それとも今日は限界まで焦らすのか。昨夜のように、最初から嫌というほどかき回されて狂いそうにさせられるか。どちらも辛くて不安に思う私にモーガンは命令する。
「俺に乗れ」
「え……?」
「俺を深く咥えながら、乗れと言っているんだ」
ベッドに仰向けで寝転がるモーガンに乗れということは……。
「公爵様の馬にも乗れたんだ、俺にだって乗れるだろう? 楽しい乗馬の時間だ」
唇をかみしめた。
心の中に闇が降りていく。
エヴァン様に優しく抱きかかえられながら、あの清々しい朝の風を受けたひと時や、ダニエル様の想いのこもった言葉を頂いた時間が、爛れた色に塗り替えられていくようで。
この場から逃げ出したい。
同時に抑えられなくなってきている体の疼きに私は大きく息を吸った。言葉にできない想いが、頭の中をぐちゃぐちゃにしていく。
「やれ」
言われて、そろそろとモーガンに跨り、手を添える。
これほど硬く太いものを飲み込むなんてできないと思うのに、快楽の味を覚えてしまった私の体は、難なく受け入れてしまった。
体の中を埋め尽くされただけで、びりびりと痺れが走る。
「ふああっ……あ、あ……」
「やっぱりお前の体はサイコーだ。吸い付いてくる」
言いながら、下から突き上げられて私の体は跳ねた。
「ほら、ちゃんとバランスを取れよ、落馬するぞ」
「……あ、いや……あ、ぁあ!」
「腰を振れよ」
容赦なく突き上げを繰り返す。
乱暴に内側を擦られ、落ちる私の重みもあって最奥まで一気に突かれる。息ができないほどの快楽が脳に突き抜け、目を見開く。瞬間、視線を感じた。
まさか……魔物か何か、この場所に侵入しようとしているのか。
すぐに結界を……と思う思考が、快感に砕かれる。
「や、ああっ、あ……ダメ、あ……」
「駄目じゃないだろ、ははっ、すげぇ」
何度も突かれ、激しい快感に腰が溶けていきそうだ。
なのに私自身は完全に達することができない。ガチガチに猛る自分を見て、荒い息を吐きながらいつもと違う状態におびえた。
「……なんだよ」
「あ、あぁ……い、いけない……」
「ははっ、中は気持ち良くなってるのに、お前自身はイケないってか?」
私の下で、横たわるモーガンが笑う。
「夕べのヤツと、違う媚薬だ。俺がイッて体の中が相手の精で満たされるまで、お前は完全にはイケない」
いったい、どういう……。
「ちょっとした魔法の仕掛けだそうだ。快楽の波は来るのに達することができない。中途半端なイキ地獄を、じっくりと……味合わせてやるよ」
「そ、そんな……ぁああ、あ」
「楽になりたかったら俺をイかせてみろよ。ほら!」
「ああっ!」
おかしくなる。
おかしくなる。
体の中は激しい疼きと痺れが渦巻いているのに、快感は背から脳を焼いているのに、完全にイくことができなくておなかの中がおかしくなっていく。
早く楽になりたくて、自分から腰を振り始める。
「ああっ、あ、や……いかせて、お願い」
「効果が出始めたか。こいつはすげぇな……はははっ」
「や、あ、ああっ、いかせて……あ、イかせてくださいっ……」
気持ちいい。
イきたい。
激しい快楽が繰り返し押し寄せて、びくびくと体を震わせているのに終わらない。
呼吸が続かない。
心臓がおかしくなってしまいそう……。
「……あぁ、ああっ、や……お願い……」
涙があふれてくる。
モーガンの胸に手をついて、懇願する。
満足げな笑みを見せて、私の顔を手のひらで撫でる。
「いつも冷静ですました顔をしてるってのに、俺の上で腰を振りまくって懇願するなんて、いい眺めだ」
「あ……あぁ、あ、お願い……です……」
「気持ちいいって言えよ」
モーガンは突き上げをやめて、乱れる私を眺めている。
私は言われた通りの言葉を繰り返した。
「きもち、いい……です、気持ちいい……っ」
「誰に……気持ちよくしてもらっているんだ?」
「は、ああっ……あ……」
頬を撫でていた手のひらを移して、私の胸の突起をねじる。
「ああっ!」
「言え、誰だ? お前を気持ちよくしているのは、誰だ?」
「……モーガンさま、です。ふぁ、あ、モーガンさま、あ、きもちいいっ……」
「そうだ……」
もう、なにも考えられない……。
「モーガンさま、もーがんさま、きもちいい……ああっ、あ、きもちいいっ……」
助けて……誰か……。
「上手だ。セシル」
くらくらする。
「あっ、あっ、きもちいいよぉ……ああっ、あ」
誰か……私を、抱きしめて……。
「ははは……セシル、上手に乗れた褒美やるよ……ほ、ら……!」
ふいに腰を掴まれて、二度三度と突き上げられた。
体の奥の奥まで。
そしてはじける熱に、意識が飛んでいく。
びくびくと痙攣する体。
息が止まる。
そのまま、私は……モーガンの胸に倒れ込み、意識を、失った……。
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