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終章 その湖畔のコテージで僕らは熱を分け合う
185 扉を開ける ※
しおりを挟む三本に増やした指で、執拗にナカを撫でこすり、ほぐしていく。
何度も何度も快感の波にさらわれるリクは、下腹部の辺りを自身の精でべとべとにしながら、乱れた呼吸を続けていた。
「はぁ……ぁ、あ、ぅう……ぁ」
「かわいいよ……リク」
シーツを蹴る。時折ピンと足先を伸ばして、喉を反らす。
黒い髪が踊る頭を枕に押し付けて、鼻にかかる泣き声を漏らし続けている。
「……ぁ、ヴァ、ン……、もぅ……」
気持ち良すぎて辛い、とでも言うようにリクが声をしぼり出した。
僕は涎すらうまく飲み込めないでいるリクの形のいい唇を唇で塞ぎ、ナカでうごめく指と同じように、舌先で咥内を撫でこする。
枕の端を握っていた指が、すがるように僕の肩に回った。
「んぅ……んっ、ん……ぅ」
「もう……ほしい?」
「ふぁぁ、ぁ……ぅ、んんっ!」
僕の怒張をリクのそれに重ね、こすり合わせた。
二人の下腹部で挟まれた互いの陰茎が、互いにどれだけ感じているかを主張しあっている。くぐもった声に、耐えきれない懇願がまじった。
「……ぅ、んんっ、ほ……しい……よぉ……」
「どんなふうに?」
「……い、れて……」
眉根を寄せて声をしぼり出す。
生理的なものか、それとも欲しくてたまらない気持ちがそうさせているのか、夜空のように輝く黒い瞳が涙に潤んでいる。とても……きれいだ。
「もぅ……挿れて……よぉ……」
「僕の、これを?」
「……ん、おねがい挿れて……はやく、いっぱいにして……もぅ……」
我慢できない……と続く言葉は声にならず、唇の形だけが僕の目に映る。
ばらばらに動かす指で気持ちのいい場所ばかり責め上げ、なのに最奥は手つかずのまま。広げるだけ広げた後孔は、潤滑液にまみれながらひくひくと口を開いている。
その内側の淡い粘膜すら、僕に見せつけるように。
「……は、やく……奥に、ほしぃ……」
リクが僕の耳たぶを軽く食む。
「ナカが……さびしい、んだ……」
「リク」
「……ヴァンが、いなくて……さびしい……」
鼻にかかる声で懇願される。
本当に、リクはどこまで僕をおかしくさせてくれるのだろう。
ふっ……と笑い、指を引き抜く。そのまますでに準備は整えてある僕の先端をあてがい、喘ぐ蕾の縁を撫でまわした。
リクが期待に息を飲む。
「いくよ」
「ん……きて、一気に、全部いれて……いい、から」
「いや……ゆっくりだ」
ぐぐぐっ……と押し広げる。
長い時間をかけて散々指でほぐしたけれど、それでも張り詰めた僕のものを押し込むのは簡単じゃない。
リクが大きく息を吸う。
その呼吸に合わせて、ぐっ、ぐっ、と先端を埋めていく。
ぐちゅうぅぅ……と音をたてて潤滑液が溢れ出す。
「っあ……ぁ、熱、いぃぃ……」
かすれた声が漏れた。
僕も、あまりのきつさに息を整えながら、ゆっくりと押し進め、一番太い部分を収め切る。リクはいつも欲しがってくれるけれど、どうしたって辛いだろうに……。
大きさに馴染むのを待つ。
はふはふと息を吐く。その呼吸が落ちつくの待ってから、更に少し先、リクの一番感じる場所を押し広げたところでまた止まった。
「あぁ……ぁ、ヴァン……!」
「僕ので押し擦られるのも……きもちいい、ね」
「んっ、ん……いい、きもちいい……よぉ」
細かく腰を揺らし、感じる場所をことさら責める。
がくがくと身体を揺らすリクは、頭を左右に振り鼻にかかる声と精をこぼした。繰り返し押し寄せる快感の波に、目の焦点が揺れている。
そこに恐怖の様子は無い。
僕はリクの腰を掴み、ぐうぅぅ……と更に深く腰を進めた。
「はぁ……ぁ、あぁあ! ぁ」
リクにとっては十分深い場所。
けれど今日はそこで止まらない、更に奥へ、奥へと突き進む。僕を飲み込んでいくたびに、リクの瞳が大きく見開かれていく。
「ぁ、ぁああ、まだ、まだ入ってくる。まだ、入って……ぁ!」
割り開かれ、そのまま貫いてしまうのではないかと感じているのだろう。
僕はそれでも、更に奥へと突き入れて行く。リクの内側が呼吸に合わせてうごめき、絡みついてくる。その熱と柔らかさに、僕の背筋は痺れた。
挿れただけで達してしまいそうなほど心地いい。
僕を包み込む、それがこの目の前のたまらなく愛しい子だというだけで、今すぐ僕の所有の証を注ぎたくなる。注いで、めちゃくちゃになるまで、激しく……。
「リク……」
見上げる顔の赤く色づいた頬を、手のひらで包んだ。
涙と汗と、唇から溢れた涎で濡れているというのに、可愛くて仕方がない。とろりと蕩けた瞳は、現実の感覚に追いついていないようだ。
そんなリクを、僕は今から、更に深い快感の中に落とそうとしている。
「……ヴぁ、ん……」
「いくよ」
瞳を見開くリク。
「ひっ、ぁああ、ぁぁぁあ!」
腰を掴み直し、ぐいぃぃ、と一気に最奥を突き上げる。
扉の前まで。そこを広げるように押し込んでいく。根元まで飲み込んだ蕾に、僕の根元がぴったりと重なった。熱く、汗のにじむ肌の感覚にくらくする。
はくはくと息を継ぐ、リクの下腹部、臍の近くに僕は手のひらをのせた。
「ここまで……はいった、よ」
「ぁぁあ、あ! ふ、かい……ぃ」
「そう、やっと……」
囁き、腰を抱えあげた。
再度浄化魔法をかけて、息をつく。僕の形に馴染むのを待つ。今までよりずっと深い挿入に、僕の胸も期待と心地よさにおかしくなりそうだ。
「やっと僕を全部、飲み込んだ……この奥の扉を……今、開けるよ」
僕の声はまるで自分に言い聞かせ、囁くようなものだった。
それでもリクが僕を見上げて言う。
「あ……けて……」
「リク」
「おかしくして。俺を、ヴァンの……で、めちゃくちゃに……」
続く声が甘く囁く。
「愛して……」
ぞわり、と痺れが背筋を走った。頷き答える代わりに唇を合わせる。同時に奥の窄まりに、先端を押し当てていく。
ゆっくりと、少しずつ、めり込ませていくと同時に、リクの瞳が大きく開き始めた。
「ひぁ、ぁ、ああ!」
身体を震わせ、リクが声を上げた。
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